構想から18年、総製作費100億円を投じて「M:I-2」のジョン・ウー監督が
壮大なスケールで三国志を映画化した2部作の完結編。
昨年公開され、興収49億円を叩き出す大ヒットとなったpart1に続き、
いよいよ三国志最大の激戦”赤壁の戦い”が幕を開ける。
part1で曹操に対して協同作戦で勝利を得た周瑜(トニー・レオン)、
孔明(金城武)率いる孫権・劉備連合軍。
雪辱に燃える曹操(チャン・フォンイー)は2000隻の軍艦を率いて赤壁に陣取る。
だが、水上の戦に不慣れな曹操軍には病気が蔓延、兵士が次々と倒れてゆく。
この逆境を利用して一計を案じる曹操。
その策略は的中し、劉備軍は孔明を残して撤退に追い込まれる。
兵力を割かれた孫権軍は孤立。
圧倒的不利な状況の中、周瑜、孔明らは知力と互いの信頼を持って曹操に立ち向かう。
何といっても見どころはクライマックスの赤壁の戦い。
長江が燃え上がる中、両軍の死力を尽くした戦いの様子が圧倒的な迫力で描かれる。
孔明の知力を物語る名エピソード”10万本の矢”も登場。
冒頭に簡単な説明が付くので、part1を見ていない人でも問題なく楽しめる。
日本人が慣れ親しんできた三国志とは違い、本作では赤壁の戦いを
孔明の独壇場とは捉えていない。
周瑜、孫権、尚香、小喬など登場人物それぞれに活躍の場を与え、
全員が協力することで強大な曹操軍に立ち向かう物語としている。
そこで描かれるテーマは”信頼と友情”。
殺伐とした世の中にジョン・ウー監督が太古の英雄たちの物語を借りて伝えるのは、
人間同士の信頼が未来を切り開く力になるというメッセージだ。
吉川英治の小説や横山光輝の漫画とは展開が大きく異なり、
三国志ファンの中には違和感を覚える人もいるだろう。
だが、吉川版、横山版が存在するのと同様、本作は”ジョン・ウー版三国志”。
元々、数多くの三国志作品の原点”三国志演義”も歴史書を脚色した物語である。
ジョン・ウー流の三国志が存在してもいいはずだ。
そもそも日本人にとって三国志の魅力とは、
“中国を舞台に、数々の武将・豪傑が繰り広げる壮大な歴史ロマン”ではないだろうか。
だとすれば、劉備、関羽、張飛、趙雲ら名だたる武将たちがこぞって活躍する
「レッドクリフ」は、少しもその精神から外れるものではない。
むしろ、三国志を知らない人たちにもその魅力が伝わるように、
“三国志のエッセンスを集約した超大作”と呼ぶ方がふさわしい。
いずれにしても、このスケールで三国志を映像化した前例がないのは事実。
「トロイ」や「グラディエーター」などのヨーロッパ史劇を見る感覚で
ジョン・ウー版三国志を楽しんでほしい。
映画「レッドクリフ PartⅡ -未来への最終決戦-」
オフィシャルサイト:http://redcliff.jp/index.html
赤壁で、激突。 -信じる心が、未来を変える。
2009年4月10日(金)より、TOHOシネマズ 日劇ほか全国超拡大ロードショー
(C) 2009, Three Kingdoms, Limited. All rights reserved.
【映画ライター】イノウエケンイチ
タグ:レッドクリフpart2 -未来への最終決戦-
カテゴリー: アジア | 映画レビュー
2009年4月10日 by p-movie.com