東京フィルメックスとは・・・(2010.12.01)


「東京フィルメックス」は、独創的な作品をアジアを中心とした世界から集めた、国際映画祭です。

コンペティション部門では新進作家を紹介し、優れた作品を顕彰してバックアップしていきます。また、最先端をいく注目作や、海外の国際映画祭を賑わせた話 題作を、先駆けて上映します。内外から監督や映画人をお招きして、観客との質疑応答を行うなど、交流の場を設けています。

「東京フィルメックス」は、映画文化の未来を大切にします。
まだ世界には発見されることを待っている映画がたくさん存在し、次々に生まれています。未知なる作品や驚くべき才能との出会いは、新しい映画の発展を期待 させます。より進化した豊かな映画文化を迎えるために、できることは何かを考え、”あるべき映画祭”をめざしていきます。

(東京フィルメックス「沿革」より)

東京フィルメックス公式サイト http://filmex.net/2010/

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2010年12月1日 by p-movie.com

『ロビン・フッド』ラッセル・クロウ&ケヴィン・ディランド来日記者会見

彼は闘いのカリスマ。その生き様は伝説。

映画史において30作品以上に渡って映像化されてきた“ロビン・フッド”の伝説を、『グラディエーター』のリドリー・スコット&ラッセル・クロウが装いも新たに復活させた。

『グラディエーター』級の大スペクタクルをメインディッシュに据えながらも、今回最も特徴的なのはそのストーリーだ。これまでのヒーロー伝説とは全く違うアプローチを取り、「なぜ、ロビンフッドは誕生したのか?」「どうして権力に立ち向かおうとしたのか?」といった根本的な部分を見事に再創造した作品に仕上がっている。

そんな本作の日本公開(12月10日)を前に、主演のラッセル・クロウと「LOST」でも知られる共演者ケヴィン・ディランドが来日し、記者会見を行った。ラッセルにとっては『ビューティフル・マインド』以来となる8年ぶり、2度目の来日となる。


以前、『ロビン・フッド』の海外インタビュー中に腹を立てて部屋を飛び出していったことのあるラッセル。等身大の彼もまた、映画のキャラと同じ野生味たっぷりの武勇伝に事欠かない。今回の記者会見も開始時間がだいぶ遅れ、司会者からは「質疑応答は20分ほどになります。フォトセッションは短めになるかもしれません」との事前アナウンスが行われていた。彼の性格上、ということなのだろう。

なにしろ相手は野生味あふれる戦士、グラディエーターなのだ。会見でいったい何が起こるか、どんな奇襲が仕掛けられるのか、我々には見当もつかない。私はゴクリ唾を呑みこみ、会場の記者たちも最低限の覚悟を決めた(多分)。

そして、現場が慌ただしくなる。ついに来た。あいつがやってきた。
ラッセル・クロウ、登場―

そこには予想だにしない笑顔があった。愛想笑いだろうか?いや戦士に偽りは似合わない。あれは満面の笑顔だった。ときに勇ましく顔を引き締め、スーツをパリッと着こなし、ふたりは常に紳士的に振る舞った。そこには野獣の姿は微塵も無かった。

質問が飛ぶ。「あの強靭な肉体を維持すべく、普段からトレーニングされてるんですか?」

ラッセル・クロウ
「今回の映画では6ヶ月間に渡って身体づくりを行ったよ。その主なものはアーチェリーの練習だったけれどね。でもね、映画の予定がないときには全くトレーニングしてないんだ。僕は映画ごとにアプローチを変える。そこでの必要性にあわせて肉体改造もしっかり行うといった感じかな。その過程ではたくさんの生傷に見舞われてきたよ。アキレス腱や脛、腰、肋骨の損傷。それに肩は二度も手術した。年齢を重ねるごとに身体に無理が効かなくなってるのが分かる。それでも素晴らしい作品に仕上げるためなら、多少の傷は仕方ないよ」

なるほど、文字通り肉体をすり減らして映画製作に臨んでいるわけなのか。そんな先輩俳優の姿を間近で目撃してきたデュランドさんは果たして何を感じた?映画の中では粗野なライバルにして最高の仲間となる彼が、物腰柔らかにこう応える。

ケヴィン・デュランド
「彼との共演は今回で3度目だけど、本当にいつも自分の兄貴のようにたくさんのことを学んでる。まず現場での彼は集中力が抜群に高いんだ。なおかつ、みんなで規模の大きなシーンに挑むときには周囲への気配りを忘れない。とても頼りになる存在さ」

また、今回の来日は叶わなかったが、巨匠リドリー・スコットはラッセルについて「長年連れ添った夫婦のような存在」と評しているという。この言葉についてラッセルはこう返した。

ラッセル・クロウ
「長年連れ添った夫婦?ははは、それの意味するところはきっと『完璧』ってことだと思うよ。何をするにしても互いにためらいがない、言葉少なめの『あ・うん』の呼吸で臨める。我々の関係はそんな感じじゃないかな。僕はというと、リドリーを画家のような存在だと思ってる。そして俳優である自分は彼に絵具を渡す役回りだ。彼が『もうちょっと青が欲しい』と言えば、その要求に全力で応えるというわけさ。ルネサンス期の画家に例えるならば、彼はティッチアーノかな。どの作品も非常に精神的、宗教的な主題を感じさせるからね。彼のような稀代のアーティストと仕事ができて本当に嬉しいし、心から感謝しているよ」

その後、日本人ゲストの神田うのさんを招いての束の間のコラボレーション。そして、ついに…ついに懸案のフォトセッションの時間がやってきた。「フォトセッションは短めになるかも」 序盤の注意事項を想いだし、筆者も僅かにみぞおちのあたりが痛くるのを感じたわけだが…

そんな我々が目にしたのは想像を遥かに絶する光景だった。

ラッセル・クロウはおもむろにテレビカメラ陣の方を向き、まさかの笑顔と、ピースサインを決めたのだ。会場にいた全員に衝撃が走った。まさかあのラッセルが!ある者は歓声を上げ、ある者は拍手を送った。会場は最後の一瞬において激しく発火した。もちろん幸福な意味において。

後に確認したラッセルのツイッターでのつぶやきが、また嬉しい。

“Tokyo is awesome.”

“Tokyo premiere tonight. Lighting the Roppongi Hills christmas tree with a sword apparently.Tokyo has been so kind and welcoming. ”

今回の来日によって個人的にラッセル・クロウへの印象が180度変わった。野獣説はマスコミが面白おかしく書きたてているだけだ。実際の彼はとても紳士的で心根の誠実な、最高の戦士だった。

公式HP>http://robinhood-movie.jp/
12月10日(金)、全国ロードショー
配給:東宝東和

【ライター】牛津厚信

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2010年11月30日 by p-movie.com

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1

2001年から続いてきた映画版もいよいよ最終章へ突入。11月19日公開の「PART1」と、2011年7月15日公開の「PART2」で正真正銘のフィナーレとなる。『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』よりシリーズを統率してきたデイヴィッド・イェーツ監督曰く、「Part1はロードムービーに、Part2はオペラと呼ぶにふさわしい壮大なものになる」とのこと。さて、今回の“ロードムービー”とやら、完成度のほどは?

その冒頭、今回初登場となる英国俳優ビル・ナイの超アップ映像が風雲急を告げる。ビル・ナイとイエーツといえば『ある日、ダウニング街で』(05)の主演&監督コンビとして高評価を受けた仲。ついにこの俳優が顔を出してきたことからも、シリーズ最終レーンのゴングの高鳴りが聞こえてくる。

彼が演じるのは新たな魔法大臣。ついに公に悪の帝王ヴォルデモートの復活を認め、もう世界は安全ではなくなった、と事実上の非常事態宣言を発令する役割だ。

その切羽詰まった渦中でくだされる魔法使いそれぞれの決断、別れ、そして旅立ち。

ハリー、ロン、ハーマイオニーらは大人たちのもとを離れ、7つの「分霊箱」を探す旅に出る。それらはヴォルデモートの魂を分離し、彼の力を最強たらしめている秘密でもある。ハリーたちがヴォルデモートを倒す唯一の方法は、これら分霊箱をひとつひとつ破壊し、悪の帝王の力を少しずつ削ぎ落していくことだった―。

実は今回の映画版で個人的にとてもショックなことがあった。僕が「ハリー・ポッター」原作を通して最も好きだった場面、太っちょで意地悪な従兄ダドリーがハリーに感謝の言葉を口にするシークエンスが丸っきりカットされているのだ。この箇所を読みながら不覚にも涙したというのに、なんということだ。。。しかし映画の資料に目を通すと、製作を担うデイヴィッド・ヘイマンの言葉にその舞台裏が垣間見えた。

「僕らは第3作目を境に、物語をハリーの目線で描こうと、方向転換したんです」

なるほど、だからこそ本作は第3作目から驚くほど洗練されていったのだ。太っちょ従兄ダドリーの主観にスポットが当たらなかったのは極めて残念だが、ここは涙を呑み、謹んで本作の更なる輝きに期待しよう。

と、心新たに臨んだ『ハリー・ポッター』。もはやかつてのキッズムービーの様相はどこへやら。そのあまりのダークさには大人の観客であっても身をのけぞらせてしまうことだろう。魔法戦闘シーンも『賢者の石』の頃のような杖を振ってパパパパーンと光が放射される趣向は毛頭なく、もはや戦争の域。銃撃戦のように激しく小刻みに容赦のない破壊合戦が繰り広げられる。

幼なじみの3人がこれまで慣れ親しんできたホグワーツやロンの自宅を離れ、全く勝手を知らないロンドンの繁華街やスコットランドの大自然へと身をさらす。これってまるで青年の通過儀礼みたいだ。幼いころより彼らの成長を見守ってきた観客側としても胸が熱くなるのを禁じえない。

また、史上最もお金のかかったこのロードムービーは、実のところそのロード部分に関しては“杖ひと振り”の瞬間移動で事足りるので、路上を楽しむ醍醐味こそ欠ける。が、それでも彼らが精神的な葛藤を乗り越えて結束力を高めていく過程を見つめる上で、やはり“ロード”は出現している。

いや、これはストーリー上というよりもむしろ、演技上の達成度が素晴らしいせいかもしれない。これまではあまり意識していなかった3人の青年俳優のプロフェッショナリズムが、今回いよいよ英国名優たちの力に依存しない形で“一人立ち”をはじめたな、と思えるのだ。それゆえのロードムービー=俳優修業=最期の試練というわけだ。

ちなみに本作は2D撮影後に3D変換処理がなされるはずだったが、その作業が間に合わず、ワーナーブラザーズは本作を2D版のみで上映する決断をくだした。だが、幸か不幸か、結果的にそれでよかったと僕は思っている。それは、本作は随所に3Dを意識した奥行きのある撮影方法を取っているものの、全体的にあまりにダークで、衝撃性を伴った演出が組み込まれており、小学生の観客が3Dで享受するには刺激が強すぎるように感じたからだ。

アメリカでのレーティングでは『炎のゴブレット』『不死鳥の騎士団』以来となる「PG-13」指定(前作『謎のプリンス』は“PG”だった)。これは想像でしかないが、本作が仮に3Dで公開されたならば、もう少しレーティングが厳しくなったのではないだろうか。そういう危惧を覚えるほど本作には緊迫感が満ち満ちている。ってことはむしろ大人の観客にとっては打ってつけということでもある。

さて、「PART2」ではいよいよクライマックスの大戦闘が待っている。その舞台にはPart1でほとんど描かれることのなかったホグワーツ魔法魔術学校がフィーチャー。イェーツ監督の奏でる「壮大なオペラのごときフィナーレ」は一体どう華々しく緞帳を下ろすのだろうか。

公式サイト http://harrypotter.warnerbros.co.jp/hp7a/
11月19日(金)、丸の内ピカデリー他全国ロードショー

(C)2010 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. HARRY POTTER PUBLISHING RIGHTS(C)J.K.R.  HARRY POTTER CHARACTERS, NAMES AND RELATED INDICIA ARE TRADEMARKS OF AND(C)WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED

【ライター】牛津厚信

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2010年11月19日 by p-movie.com

『ソーシャル・ネットワーク』特別試写会 15組30名様にプレゼント!

★本年度東京国際映画祭オープニング作品★
デヴィッド・フィンチャー監督最新作

世界最大のSNS誕生の物語
5億人の友達を創った男は、
何を手に入れ何を失ったのか

【「ソーシャル・ネットワーク」特別試写会】
●日時:12/17(金)18:00開場/18:30開映
●場所:中野サンプラザ(中野区中野4-1-1)
●プレゼント数:15組30名様

【プレゼント応募先】
名前・住所・性別・年齢をお書きの上、下記メールにてご応募ください。
応募先:mail@p-movie.com
応募締切:2010年12月10日(金)
※当選者の発表はプレゼントの発送をもってかえさせていただきます。

2003年、ハーバード大学に通う19歳の学生マーク・ザッカーバーグは、親友のエドゥアルド・サヴェリンとともにある計画を立てる。それは、大学内で友達を増やすため、大学内の出来事を自由に語りあえるサイトを作ろうというもの。二人で始めたこの小さな計画は、瞬く間に大学生たちの間に広がり、ナップスター創設者のショーン・パーカーとの出会いを経て、ついには社会現象を巻き起こすほどの巨大サイトへと一気に成長を遂げる。一躍時代の寵児となった彼らは、若くして億万長者へと成り上がっていくのだが、その裏ではカネ、女、そして裏切りの渦に巻き込まれ、最初の理想とは大きくかけ離れた場所にいる自分たちに愕然とする――。

2010年7月、日本を含む全世界の登録者数が5億人を突破したと発表したソーシャル・ネットワーク・サービス“Facebook”(フェイスブック)。数年以内には、登録者数が10億人に到達する可能性があるとも言われている。今なお急成長を遂げている巨大帝国の裏側と真実に迫る話題作!!

本作のメガホンを取るのは、『エイリアン3』(92)、『セブン』(95)、『ゲーム』(97)、『ファイト・クラブ』(99)、『ゾディアック』(07)など、次々に批評家とファンの注目となる作品を手掛け、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(08)ではアカデミー賞監督賞にノミネートされた鬼才デヴィッド・フィンチャー。

「インターネット時代のビル・ゲイツ」と呼ばれる“Facebook”創始者のマーク・ザッカーバーグを演じるのは、『ヴィレッジ』(04)、『イカとクジラ』(05)などに出演し注目を集める若手実力派俳優ジェシー・アイゼンバーグ。彼の親友のエドゥアルド・サヴェリン役を、「新スパイダーマン」として世界中が注目するアンドリュー・ガーフィールドが演じる。さらには世界中で大人気のグラミー賞受賞アーティスト、ジャスティン・ティンバーレイクも登場し、若手俳優たちの競演も見所の一つとなっている。

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監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド、ジャスティン・ティンバーレイク、ルーニー・マーラ  ほか
原作:ベン・メズリック著「facebook 世界最大のSNSでビル・ゲイツに迫る男」(青志社)
全米公開:2010年10月1日
原題:The Social Network
公式サイト:http://socialnetwork-movie.jp

2011年1月15日(土)丸の内ピカデリーほか全国ロードショー

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2010年11月19日 by p-movie.com

スプリング・フィーバー

狂おしいほどの欲望と、絶望。
移ろい、漂う、心と身体。


春の微熱―。

寝てるのか覚めているのかもよくわからない。私の意識はただ宙を彷徨い、気づけばぼんやりと夜明けの南京を眺めやっている。すべてが青に包まれるこの瞬間。ふと春の嵐が吹き荒れる。水面は幾重にも波動を膨らませ、森の木々は音を立てて騒ぎ立て、そして私の胸の内も少し、ざわめく―。

『スプリング・フィーバー』の映像に触れながら、そんな心の声が聞こえたような気がした。

『天安門、恋人たち』でタイトル通りの中国のタブーを扱い、当局より5年間の活動中止処分を受けたロウ・イエ監督。それは映画監督にとって死刑宣告にも等しいものだったろう。

だがロウ・イエはその処分をものともせず、当局の許可を一切受けぬままに『スプリング・フィーバー』を撮り上げてしまった。いわゆるゲリラ撮影というやつだ。監督にとっても俳優にとっても、ある程度の覚悟を必要とする仕事だ。そんな表現者としての大勝負の心情を、ロウ・イエは闘争心や憎しみに例えるでもなく、ただひたすら“春の微熱”へと昇華させている。少なくとも僕にはそう感じられた。

そこには大規模な経済発展を遂げる表向きの中国とはまた別の顔があった。この価値観の多様ぶり。そこで写し取ったものを芸術性へと発露させる卓越した手腕。転んでもただでは起きないどころか、それを作品として持ち上げていく得体の知れぬパワーに驚嘆させられる。

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人目を避けて激しく求めあう男と男がいる。夜な夜な繁華街に繰り出す彼らを、背後からひとりの探偵が追う。彼は男の妻に頼まれ、彼らの情事を逐一報告する役目を担っていた。探偵にも女の恋人がいた。が、ふとしたきっかけが運命を変える。差しのべられた手。彼もまた、気づけば境界を高く越え、深い微熱に呑みこまれようとしていた。。。

中国で同性愛がどれほど受け入れられているのか分からない。が、欧米ほどオープンでないことはよくわかる。身を切るほど哀しく織りなされる愛の風景は、「夜の闇」と「探偵の出現」によってフィルム・ノワールのごとく妖艶かつスリリングに展開。やがて闇(ノワール)は朝の光に中和され、観客は夜明け前の“青”が支配する極めて幻想的な情景へといざなわれていく。

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果たして、この映画の中のたったひとりでも、望むべき愛を貫けた者はいただろうか。誰かにその愛を祝福してもらえただろうか。その運命に後悔はなかっただろうか。

そこに答えは存在しない。

男はただ微熱だけを携えながら、ひとり南京の街を歩き、雑踏へと飲みこまれていく。

そんな姿がこの中国で孤独にカメラを回し続けるロウ・イエそのもののように思えた。映画製作という究極の愛撫の手段を禁じられた男が、なお愛を叫んでいる。またその愛は、当局からすればイビツで出来そこないの愛かもしれないが、この狂おしい2時間に身をさらすと、まるで祖国への熱を帯びた恋文のように感じられてやまない。

この世のすべては春風のいたずらのごとく移り変わる。中国社会も然り。その変移はこの国が『スプリング・フィーバー』とロウ・イエという才能を徐々に体内へと受け入れていく過程とも言えるのかもしれない。

ロウ・イエを定点観測していれば、中国文化の体内温度が手に取るようにわかる。彼がこれからもジャ・ジャンクーと並ぶ“中国社会の映し鏡”として世界の注目を集めていくことは間違いない。

http://www.uplink.co.jp/springfever/
11月6日(土)、渋谷シネマライズほか、全国順次ロードショー

【ライター】牛津厚信

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2010年11月5日 by p-movie.com