幸せになるための27のドレス

大人気ドラマ「グレイズ・アナトミー」で一躍有名となった
080528_27dress.jpgキャサリン・ハイグル主演のラブコメディ。
 ドラマを観ていなくても、充分にキャサリン・ハイグルが面白くて可愛い女性だということが認識できてしまうほど
現在の女性たちに好かれるキャラに好感が持てるに違いない。

アウトドアグッズ会社の社長秘書をしているジェーン(キャサリン・ハイグル)は、常に誰かの為に尽くしてしまう性格のようだ。

いつでも仕事以外の時間は友人の結婚式を成功させるために翻弄している。日本では花嫁付き添い人(ブライドメイド)というカタチは
無いのだが、アメリカでは常識らしい。ジェーンは結婚を控えた友人の希望をくまなく聞き入れ何もかも手配し、結婚式当日にはブライドメイドとして花嫁の幸せな笑顔を見て、微笑むのだ。
これがジェーンの素晴らしいところでもあり、自分よりも友人たちの為に生きてしまう毎日。
おかげで、彼女のクローゼットには今までブライドメイドとして頑張った結果の27着のドレスが飾られている。

――――いつかは、私も主役に…と思うジェーンだが長い間、片思いをしている。片思いから一歩踏み出せずにいるジェーン。
そんな時に、モデル業をしているジェーンの妹・テス(マリン・アッカーマン)が押しかけてくる。
ワガママで自己中心的な妹・テスによってジェーンは更に問題が多発し、改めて自分自身の幸せを考えさせられることになるのだ…。

キャサリン・ハイグル演じるジェーンは、誰にでも親切で頼まれたら何でもやってしまうような女性だ。自分のことは、とりあえず後回し。
ただ、友人らが彼女を頼りすぎてしまうのも、彼女の完璧なまでの腕を知っているからだろう。

27回のブライドメイドの経験以上に彼女は他人の幸せこそが生き甲斐のような日々を送っている。
でも自身の恋愛には臆病で一歩踏み出す勇気さえない。ほんの少しの一歩で何かが変わるときってあると思う。
片思いを長く続けているなら、思い切って伝えてしまえ!と思うのが私の個人的な意見。
そしてジェーンの勇気を信じて、それをバネにして女性たちは自分の幸せを掴みたくなるに違いない。
恋愛、仕事、何でも構わない。今の自分が新たなる一歩を踏み出す勇気をくれる本作はキャサリン・ハイグルだからこそ共感できるのである。

更に普通の女性が27回という驚異的なブライドメイド経験を取材したがる新聞記者ケビン(ジェームズ・マーズデン)との価値観のズレまくった議論も見逃せない。
男性ならでの視点が女性には意外と刺激的に聞こえるはず。
ちなみにジェームズ・マーズデンは、ディズニー映画「魔法にかけられて」の奇妙&微妙なオトボケ王子役で大ウケされたことも記憶に新しい。

http://movies.foxjapan.com/27dress/
5月31日より日比谷みゆき座他全国ロードショー
(c)2008 TWENTIETH CENTURY FOX AND SPYGLASS ENTERTAINMENT FUNDING, LLC

【映画ライター】佐藤まゆみ

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カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2008年5月28日 by p-movie.com

告発のとき

ミリオンダラー・ベイビー(2004)」、「クラッシュ(2004)」と、
080528_kokuhatu.jpgアカデミー賞受賞したポール・ハギス監
 督・脚本の新作。
現在のアメリカの混沌とした日常を描いた「クラッシュ」に続き、イラク戦争から帰還した兵士の物語を題材に描いている。
米プレイボーイ誌の記事に書かれた実話であることから誰もが関わりを懸念する題材には間違いない。

原題は<エラの谷>、旧約聖書に出てくる言葉である。
2004年11月、ハンク・ディアフィールド(トミー・リー・ジョーンズ)の元に息子マイクがイラクから帰還したがその後、姿を消したと告げられる。
軍人一家で育った息子に限って無許可離隊などあり得ないと思ったが、ハンクは妻ジョアン(スーザン・サランドン)を家に残し息子を探すために帰還したはずのフォート・ラッド基地へ向かう。
地元警察のエミリー(シャーリーズ・セロン)にも捜索をお願いし協力してもらったが、残念なことにマイクは焼死体で発見される…。

マイクと一緒にイラクから帰還した兵と話を続けていくハンクだったが、マイクの行動を何一つ知る者はいなかった。
そんな時に息子マイクが持っていた携帯電話の壊れかけた画像データをハンクは目にすることになる。
マイクがどうイラクで戦っていたのか、そして一緒にいた仲間たちとの会話など知ることになる。
イラク戦争でアメリカ兵は4000人以上の戦死者を出す中で、奇跡的に帰還できた兵士も多い。
現実には”帰還できたから良かった”では終わっていないのである。イラクでの経験をしてしまった若い兵士達は帰国してからも悪夢は続く。

本作では実際にあった事件を扱っているだけでなく、たくさんの帰還兵の心の闇と苦しみさえもリアルに描かれている。
これでも、まだ戦争を続けますか? 戦死しても、生き残って帰国できても、彼らに与えられたのは暗闇の傷ついた心なのである。

日本人は平和に浸りすぎているから身近には感じることは出来ないかもしれない。
でも、日本人はちゃんと知っている―――戦争によって及ぼす人間の痛みや苦しみを。そして二度と繰り返さない時代を作って行く事が使命だと。

http://www.kokuhatsu.jp/
6月28日より有楽座他TOHO系にて全国ロードショー
(C)2006 Elah Finance V.O.F.

【映画ライター】佐藤まゆみ

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カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2008年5月28日 by p-movie.com

チェスト!」初日舞台挨拶

3月1日鹿児島、15日九州にて先行上映されてきた映画「チェスト!」が4月19日ついに全国公開を迎
chest_01.jpgえた。

新宿バルト9にて行われた初日舞台挨拶には髙嶋政宏、主演の高橋賢人、宮﨑香蓮、雑賀俊郎監督らが駆けつけ公開を待ちわびた満員の観客達を盛り上げた。

劇中と同じ衣装で登場した主人公の父親・隆夫役の髙嶋は、役作りのためクランクインする前から自費で鹿児島へ行き、方言を覚えるため地元の漁師達と直接話を聞き一晩中飲み明かしたエピソードを披露。また撮影中には漁師らしく見えるようにと、少しでも時間があれば日焼けをしていたため「白くなっていないか?」と日焼けノイローゼになるくらいだったとか。

そんな髙嶋の演技に雑賀監督は「髙嶋さんの親父っぷりは見事!鹿児島弁も完璧すぎて字幕が必要になりそうなくらい!」と太鼓判。

また多くの子供達との撮影については、決して子ども扱いせず一人の俳優として接したことで、タイト
chest_03.jpgルでもある自分を乗り越える合言葉「チェスト!」そのままに、大きく成長する様子を肌で感じたと感慨深く語った。

主役・隼人役の高橋は撮影を通じて、作品の中でも描かれている鹿児島に古くから伝わる郷中教育
 の教え「負けるな!嘘をつくな!弱いものをいじめな!」の意味を改めて考え、実生活でも実践するよう頑張っていると力強く真っ直ぐな瞳で語った。

またヒロイン・敦美役の宮﨑は初めての映画出演にもかかわらず「鹿児島の皆さんが温かく迎えてくれ、また同世代の女の子達ともすぐに仲良くなれたので撮影にも緊張せず臨めました」と余裕の笑顔。今後の活躍がますます楽しみだ。 

そして、特別ゲストとして関東鹿児島県人会連合会を代表して副幹事長の千葉法子さんから出演者
chest_02.jpg全員と監督へ花束が贈呈された。

千葉さんは「鹿児島で400年伝わる郷中教育という青少年への教えを登場人物の成長を通して描かれ、キラキラした錦江湾、そして桜島、キラキラした役者さんたちの姿を存分に楽しんでいただければと思います。」と温かいエールを送った。

 

新宿バルト9他全国絶賛上映中

http://chesuto.com/

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カテゴリー: 特 集

2008年4月22日 by p-movie.com

軍鶏 Shamo

日本の人気コミック「軍鶏(原作:橋本以蔵)」を映画化。
080411_shamo.jpg監督はバイオレンスと人間の真髄まで描ききった「ドッグ・バイト・ドッグ」のソイ・チェン監督。
普通の家庭で育った名門私立高校へ通う16歳の少年が両親をナイフで惨殺する事件が起きる。
少年は成嶋亮(ショーン・ユー)。そのまま高等少年院へ送られる。
本来、気弱で貧弱な彼を待っていたのは、少年院の世界でのイジメ。
“親殺し”というかつて例を見ないほどの事件の犯人とされた彼への風当たりは少年院の院長からも蔑まれていた。
そんな時、空手の授業で指導を勤める黒川(フランシス・ン)と出会い、本気で空手を学ぶのである。
誰にも踏付けにされたくないという一心だけで…。

日本のコミックが香港と日本の実力派俳優らと創り上げた世界はまさにバイオレンスとアクション中心。
だが、それ以上に主人公演じるショーン・ユーの心理を理解されたくはない拒絶感に圧倒される。
舞台はコミックを忠実に描いたらしく、日本であるのに、16歳の少年の行き先が高等少年院という設定以上のモノは何一つ描かれない。
もちろん両親を殺害した少年の本当の心の中は、わざとえぐらない展開にしている。
本当の目的は、少年が両親を殺害したという事実より、その少年の出所後の生き方を空手という世界で<生き抜く術を
学ぶストーリーに仕上がっている。ただ、常に相手に牙を剥き、全力で相手を殺しかねないほどまでの闘いは彼にとって
本当の痛みを受けると同時に自虐とも感じてしまう。
自分を変える力は痛みと平行して強さも備わって来るハズだと信じるラストに彼の生き様に
明るい未来を感じぜずにはいられない。

http://www.shamo-movie.jp/
5月3日より新宿トーア、シアター・イメージフォーラム他全国ロードショー
(C)2007 IZO HASHIMOTO / ART PORT INC. / PONY CANYON INC. All rights reserved

【映画ライター】佐藤まゆみ

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カテゴリー: アジア | 映画レビュー

2008年4月11日 by p-movie.com

パラノイドパーク

ガス・ヴァン・サント監督・脚本の最新作「パラノイドパーク」。
080411_paranoido.jpg16 歳の少年アレックスは、はじめたばかりのスケートボードに夢中になっている普通の高校生。
スケートボードをする若者たちが集まる”パラノイドパーク”へ友人と出掛ける週末が気に入っている。
だが、その日友人は恋人と出掛けてしまいアレックスは一人でパラノイドパークを訪れる。
それが誤ってひとりの男性を死なせてしまう結果を生み出してしまう。目撃者は誰もいない。
アレックスは何事も無かったように日常生活を送る。
ただ、アレックスにとって、その瞬間を境に全ての世界が変わって見えていく。
言葉にならない感情、誤って人ひとりを死なせてしまった秘密を抱えながらも顔色ひとつ変化せずに日々を送る。
だが彼の思いは映像の中で流れる不協和音のような、その場にふさわしいのか解からない音楽に包まれる。
アレックス演じるゲイヴ・ネヴァンスの天使のような美しい顔立ちからは思いもよらない気持ちがあふれる。
彼、彼をとりまく両親や彼女との関係が心の中がアンバランスで不安定に訴えて来る。
苦しみとの葛藤が入り混じる映像と音楽が彼のすべてなのかもしれない。
彼が今後どう生きるのかは誰にも解からない。
ただ16歳という少年の心に近づくことが出来た作品は生まれて始めてかもしれない。

http://paranoidpark.jp/index.html
4月12日 シネセゾン渋谷他にて全国順次ロードショー
(C)2007mk2

【映画ライター】佐藤まゆみ

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カテゴリー: アメリカ | ヨーロッパ | 映画レビュー

2008年4月11日 by p-movie.com