テネイシャスD 運命のピックをさがせ!

ジャック・ブラック率いる実在のバンド「テネイシャスD」がロック界を超えて、
映画界へ進出した作品「テネイシャスD-運命のピックをさがせ!」。
劇中、妙なギターショップの店員演じるベン・スティラーが製作していることもあり、
思い切り笑ってストレス解消の出来る作品である。

080726_unmei_no_pick.jpgコメディアン、いや、どんな役でもこなせてしまう俳優として最高の演技を魅せてくれる
強烈な印象を与えてくれるジャック・ブラック。
彼が盟友カイル・ガスと組んだのがロックバンド”テネイシャスD”である。
このバンドがロックを飛び出しファンタジーなストーリーで映画を魅了してくれるから
ある意味スゴイ作品である。
もちろん内容は完全にフィクションなんだけど、最高のロックスターになる為の努力は
意外と本気っぽく感じ取れるから面白い。

JB(ジャック・ブラック)は少年時代からロックをこよなく愛する男。
だが、信仰深い保守的な家庭ではの悪魔のように思われるROCK。
突如怒り出した父親(ミートローフ)にロックを取り上げられてしまい、JBは家出をする。
長い年月を旅し、ロックバンドの仲間をアメリカ中探しまくったJBだが、
運命の出会いはハリウッドで果たす。
海岸で演奏していた自称ロックスター(=本当は無職)のKG(カイル・ガス)が弾く
ギターのとりこになったJBは一緒にバンド”テネイシャスD”を結成することとなる。
ここから二人の汗と涙の努力、そして気付かされる運命のピックを手に入れるまでの
アクション混じりの物語が始まるのである。

ハードロックが好きな私にとって、彼らが劇中、歌っているシーンは
まるでミュージカルのように心にガンガン響いて来る。
力の入れ方が、何か他とは違っていて音楽以上の強さをアピールして
来るから激しい映画なのだ。
多少、言葉のキツさがまたハードロック的で自虐的でもあるから
笑いが止まらないのだろう。
ロックの世界を堪能するには、この作品だけで充分!!と、大袈裟にも聞こえがちだが断言したくなるほど魅了される。
どの映画でもジャック・ブラックには黙って引き込まれてしまうのだから、
観て損はない作品である。

映画「テネイシャスD 運命のピックをさがせ!」オフィシャルサイト
http://www.tenaciousd.jp/
目指すはロックで”成り上がり”
7月26日(土)より全国ROCKSHOW!
(C)MMVI NEW LINE PRODUCTIONS,INC.All Rights Reserved.

【映画ライター】佐藤まゆみ

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2008年7月26日 by p-movie.com

きみの友だち

思春期の心の彷徨をいつも繊細なタッチで紡ぐ重松文学。彼の奏でる物語に深く共感し、生きる勇気をもらった読者は数知れない。そんな重松が「自分の子どものために書いた」と語る名作「きみの友だち」が、とびきりの優しさに包まれた映画として生まれ変わった。
080724_kimi_no_tomodachi.jpg足に交通事故の後遺症が残る恵美(石橋安奈)、カラダが弱く入退院を繰り返す由香(北浦愛)。ふたりは幼い頃からいつも一緒だった。といっても大声でおしゃべりしたり、高らかに笑いあったりはしない。ただ互いに”そこにいること”が大きな心の支えとなってきた親友同士だ。

物語は彼女たちの友情が軸となり、空に浮かんだ雲のようにゆっくりと進んでいく。その周囲にさまざまな”友だちのかたち”を覗かせながら。

たとえば…

彼氏ができて遠ざかっていく親友に複雑な想いを寄せるハナ(吉高由里子)。運動神経抜群でクラスの人気者ブン(森田直幸)と、彼を誇らしげに見つめ続ける幼なじみのヨッシー(木村耕二)。とっくに引退したはずのサッカー部にちょくちょく顔を出しては後輩をしごく”面倒くさい”佐藤先輩(柄本時生)。

重松文学の大きな魅力は、決して安易な悪意、挫折、絶望を描かないことにある。友だちをめぐる各エピソードには必ずホッとできる救いの場所があり、僕らは次から次に現れる魅力的なキャラクターたちに愛情を持ってぶつかっていくことができる。

その結果、登場人物の中に思わぬ”自分のかたち”さえも発見し、思わず苦笑したり、ますます愛着を感じたりもするだろう。

僕がとりわけ魅了されたのがヨッシーという青年だった。一見、なんのとりえもなさそうな彼が、親友の陥ったピンチを思わぬ具合に救う。その方法が泣けてくるほど味わい深いのだ。

きっと将来ヨッシーのような人間が世界を平和に変える。そんな確信に近い想いが込み上げてくるほど、この映画には細部に至るまでたくさんの愛が詰まっている。

いつまでも浸っていたい、この透き通るような世界観。

青少年の陰湿な友人関係や、お涙頂戴の難病モノを想定していた僕は思わぬ具合に意表を突かれた。映画『きみの友だち』は作者の価値観を押し付けることなく、自分がたったひとりで生きてきた孤独な存在などでは決してないことを、そっと、やわらかく肯定してくれる秀作である。

映画「きみの友だち」オフィシャルサイト
http://www.cinemacafe.net/official/kimi-tomo/
たとえいなくなったとしても、
一生忘れない友だちが、一人、いればいい
7月26日(土)より、新宿武蔵野館、渋谷シネ・アミューズほか全国ロードショー
(C) 2008 映画「きみの友だち」製作委員会

【映画ライター】牛津厚信

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2008年7月24日 by p-movie.com

7月19日『新宿ピカデリー』オープン!!

080719_piccadilly_01.jpg7月19日伊勢丹新宿本店に隣接する都心最大級の規模を誇るシネマコンプレックス「新宿ピカデリー」がオープンします。全10スクリーンにデジタル映写機を導入し、年内には国内初となる映画を集中管理する、次世代のシアターオペレーションが完成します。

080719_piccadilly_02.jpgピュアホワイトを基調とした館内は、逸る気持ちをさらに高ぶらせてくれそうです。コンセッションではクロワッサンやデニッシュなどの飲食も充実しています。特に餡子クロワッサンはとても美味でした。是非、映画鑑賞のお供にいかがでしょうか。

080719_piccadilly_04.jpgまた、世界初の試みとして映画館の特別席「プラチナルーム」が年間3000万円で販売されます。販売については、伊勢丹新宿本店内JTB伊勢丹トラベルカウンターで取り扱われています。「プラチナルーム」はプライベート型の贅沢なバルコニー席で、カッシーナのソファで寛ぐことができます。また、バルコニー席の中央に設けられた「プラチナシート」も年間1000万円で利用することができます。

詳しくは情報満載の「新宿ピカデリー」ホームページへどうぞ
http://www.shinjukupiccadilly.com/index.html
新宿から始まる映画ライフ 7月19日(土)オープン!!
(C) 2007-2008 SHOCHIKU Co.,Ltd.AllRights Reserved.

【ライター】ハルE

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2008年7月19日 by p-movie.com

『TOKYO!』 レオス・カラックス来日記者会見

デビュー以来、”恐るべき子供”として世界を衝撃の渦に巻き込んできた奇才レオス・カラックス監督。
080718_tokyo_01.jpgそんな彼が『ポーラX』以来9年もの沈黙を破り、オムニバス映画『TOKYO!』にて待望の最新作を発表する。その名は<メルド>。フランス語で「糞」という意味を持つこの短編が提示した衝撃世界とは!?ここに16日に行われた緊急来日会見の模様をお伝えする。

■繊細な感性から生まれた衝撃的アイディア

080718_tokyo_02.jpg小規模の会場で行われた親密なる記者会見は、絶え間なくタバコをくゆらせるカラックスのペースを寸分も崩すことなく進められた。サングラスで表情を隠し、質問者の方へ顔を上げることもない。ささやくようにして語られる回答は常に簡潔…。

そんな繊細さからは想像もつかない衝撃世界を目まぐるしく展開させたのがこの<メルド>なのだ。その着想の瞬間を、彼はこう振り返る。

「パリ市内を歩きながら思いつきました。地下からいきなり怪人が現れ、行きかう人々を倒しながら進んでいったら面白いだろうな、と。(『TOKYO!』の)話を頂いたのはその後ですが、まずは東京のことなど何も知らない状態で一気に書き上げました」

その怪人は、突如マンホールから這い出てくると、銀座の大通りを闊歩しながら通行人にあらゆる悪行を浴びせかける。まるで降って湧いた天災のごときこの男、姿カタチこそ全く違うが、その精神性はまさに”ゴジラ”のごとし!

カラックスはこの未知なる存在を「CGや着ぐるみではなく、リアルな人間の身体で表現することこそ重要で、心惹かれた」と語る。

さらに彼は、<メルド>の日本語訳「くそ」という言葉を真顔で何度も繰り返しながら、このタイトルの由来を明かす。

「私自身、この言葉が大好きです。この映画は子供のように退化していく”私たちの時代”について語ったものでもあり、この怪人は”子供”そのものだと思います。子供ってよく『うんこ!』とかって平気で口にしますよね」

破壊的なまでに無邪気、無軌道なまでの差別主義者。そんな常識では計り知れない存在こそ、この怪人<メルド>なのだ。破壊の限りを尽くす彼の姿を見ていると、これは映画界におけるレオス・カラックス自身なのではないかとすら思えてくる。

■長きに渡る沈黙の意味とは…?

080718_tokyo_03.jpg9年間ものあいだ、メルドと同じく沈黙を守り通してきた彼。映画作家にとってこんなにも長らく新作を発表する機会がなかったという状況を、カラックス自身はいったいどのように捉えているのだろう?筆者が直接、質問をぶつけてみた。

するとこんな率直な答えが返ってきた。

「私は自分のことを”映画作家”と限定して考えたことはありません。人生の中でときどき映画を作っている人、と捉えています。映画を作らなくても他のことをやって…たとえば、旅をするとか、本を読むとか、恋に落ちるとか、病気をするとか、書き物をするとか、そういうことで割と平気でいられるときもありますし、逆に映画を作らないことでどうしようもない胸の苦しみを感じるときだってあります。

実は映画を発表するたびに自分というものに失望してしまうのです。ですからその都度、そこから立ち直る期間が必要となります。振り返ってみると、20代には3本の長編を撮り、30代には1本、そして40代になると、いまのところ、半本(短編)。…だんだん映画制作から遠ざかっているような気がしますね」

やはりこの人、商業主義とは圧倒的に次元の違う世界に住んでいる。

彼にとっての映画制作とは、仕事というよりも、むしろ人生の節目において自分の体内に蓄積されたものを一気に吐き出す”儀式”のようなものかもしれない。そして、そのとき炸裂する芸術性の威力は、常に計り知れないレベルにまで膨れ上がるのだ。

会見が終わったあと、PMG用に写真撮影をお願いしてみたのだが、「ごめんなさい、写真はあまり好きではないのです」と丁重に断られてしまった(なのでここに掲載してあるものは全てオフィシャル写真です)。無念の思いは尽きないが、いや逆に、レオス・カラックスが軽々と写真撮影に応じてくれたならば、そっちのほうこそ失望そのものではないか。

僕には、颯爽とどこかに去っていく彼の後ろ姿を、いつまでも見つめているしか術がなかった。彼がこの『TOKYO!<メルド>』に続く新たな創作の場に身を委ねてくれることを強く願ってやまない。とりあえずは気を揉むことなく、努めて気長に待つこととしよう。

映画「TOKYO!」オフィシャルサイト
http://tokyo-movie.jp/
(C)2008  『TOKYO!』
晩夏、シネマライズ、シネ・リーブル池袋にて世界先行ロードショー

【映画ライター】牛津厚信

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2008年7月18日 by p-movie.com

7月のバリアフリーシアター『やわらかい手』

7月のバリアフリーシアターは、今冬公開され、話題となった
洋画「やわらかい手」(R-15)です。
川崎市アートセンターの「アルテリオ・シネマ」では、
初の洋画作品のバリアフリー上映となります。

副音声ガイドの吹替え声優には
「いつか読書する日」の監督・緒方明さんがゲスト出演。
主人公・マギーによって温かな心を取り戻してゆく
裏社会の孤独な男を演じます。

「やわらかい手」は、配給会社・クレストインターナショナルの
ご理解・ご協力により、副音声ガイド制作を取り組むことができました。
吹替え・ガイド制作は、NPO法人KAWASAKIアーツが担当しました。
また、全国各地でのバリアフリー上映の際の台本の貸し出しや
収録音声の貸し出しも可能となっています。

洋画の字幕が苦手な方にも、原音を聞きながら、
日本語吹替え・副音声をイヤホーンでお楽しみいただけます。
ぜひ、みなさまお誘い合わせの上、ご来場ください。
スタッフ一同、心よりお待ちしております。

080717_yawarakai-te.jpg◆作品紹介
「やわらかい手」(R-15)
2006年/103分
イギリス、フランス、ベルギー、
ドイツ、ルクセンブルグ

監督:サム・ガルバルスキ
出演:マリアンヌ・フェイスフル、
    ミキ・マノイロヴィッチ

愛する孫を守るため、私が始めた秘密の仕事…
ロンドン郊外に住む平凡な中年主婦・マギー。病に冒された孫のオリーの手術費を稼ぐため、切羽詰まった彼女は「接客」業を始める。そこは壁にあいた穴越しに手で男をイカせる”ラッキー・ホール”の風俗店だった。残された道はない。覚悟を決めて「仕事」を始めてみると、意外にも彼女はゴッド・ハンドの持ち主だったのだ! マギーについた源氏名は「イリーナ・パーム(手のひらイリーナ)」。長蛇の列ができる売れっ子になり、その噂はソーホー中に広がっていく一方、オリーの病状は、ますます深刻になり、一刻も早く手術費を工面したいマギーは焦るばかり。図らずも迷い込んでしまったこの世界で彼女の人生は思いがけない方向へ廻り始めていくのだが、その先にあるものは?

伝説のミューズ、マリアンヌ・フェイスフル
主人公マギー役のマリアンヌ・フェイスフルはミック・ジャガーの恋人としてだけでなく、貴族出身の気品と美しい容姿で世界中を虜にした伝説のミューズ。スターの座からの転落・ドラッグ中毒・ホームレスなどの壮絶な実人生を乗り越えた彼女だからこそ説得力ある演技と圧倒的な存在感は、観る者の心をつかんではなさない。

◆副音声ガイド付き上映日/7月19日(土)、20日(日)10:00~

◆チケット料金/一般1500円、大学・専門生1200円、
           シニア・障がい者・付添・会員1000円、高校生以下800円

◆イヤホーンガイド予約/予約専用ダイヤル
 Tel.044-959-2255(平日のみ 9:30~19:30)

【駅からの送迎をご希望の方へ】 
◆チケットのご予約時に、お申し込みください。上映日の前日に
待ち合わせの時間と場所を確認するお電話を掛けさせていただきます。
◆今回は午前9時半に新百合ヶ丘駅、改札を出たところでの待ち合わせとなります。

【お問い合わせ】 川崎市アートセンター  
Tel. 044-955-0107
Fax. 044-959-2200
E-mail: info@kawasaki-ac.jp

【川崎市アートセンターまでのアクセス】
小田急線新百合ケ丘駅(急行停車。新宿より23分)下車。
北口徒歩3分。世田谷町田街道沿い。
駐車場はありません。

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2008年7月17日 by p-movie.com