ミリオンダラー・ベイビー

愛に、打たれる。 ★★★★☆
[04/米]2h13 5月28日より丸の内ピカデリー1他松竹・東急系ほかにて全国ロードショー

[製作]クリント・イーストウッド、ポール・ハギス、トム・ローゼンバーグ他
[原作]F・X・トゥール(早川書房)
[監督]クリント・イーストウッド
[脚本]ポール・ハギス
[出演]クリント・イーストウッド、ヒラリー・スワンク、モーガン・フリーマン
[配給]ムービーアイ・エンタテインメント/松竹
[宣伝]ムービーアイ・エンタテインメント

[Million Dollar Baby:全米公開2004年12月17日]
本年度アカデミー賞7部門ノミネートされ、 主要4部門を独占した深い絆のニューマンドラマ。出演は監督も務める「ミスティック・リバー」のクリント・イーストウッド、「ザ・コア」のヒラリー・スワンク、「ダニー・ザ・ドッグ」のモーガン・フリーマン。

ジムを経営する孤独なトレイナーのフランキー。実力はあるが、育てた若者は欲を求め彼の元を去っていく。あるとき、そんなジムへ31歳のボクサー志望のマギーが入ってくる。フランキーにとってマギーのような女など眼中になかった。しかし、貧しい生活をしながらも、練習に励む彼女のハングリーさに、彼は徐々にボクシングを教えるようになる。やがて、トレーニングを通して次第にお互いを必要とし始めていく二人。娘に縁を断たれた男と家族の愛に見放されてしまった女、深い傷・苦しみを抱えながら生きてきた不器用な二人が互いに人間的に歩み寄っていく。マギーの実力も頭角を現していき、遂に100万ドルをかけた世界タイトル戦に出場することになった。しかし、その試合で、二人を待っていたものは衝撃の結末だった…。苦悩するフランキー、そしてマギー。二人の真の絆の意味がいま試される。

女性ボクサーの生き様を描いた女性版「ロッキー」かと思いきや、物語の後半は「ミスティック・リバー」よりも深刻な展開に。本年度は、外国語映画賞を受賞した「海を飛ぶ夢」といい、人間の尊厳を考えさせられる作品が目立った。それにしてもさすがはイーストウッド。ラストは、何故だか西部劇のようなエンディング。

オフィシャルサイト:http://www.md-baby.jp/

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2005年5月30日 by p-movie.com

ザ・インタープリター

悲しみはこれで終わりにしたかった ★★★☆☆
[05/米]2h09 5月21日より有楽座他ほか全国東宝洋画系にてロードショー

[製作]ティム・ビーヴァン エリック・フェルナー ケヴィン・ミッシャー
[原作]マーティン・スティルマン ブライアン・ウォード(白夜書房刊)
[監督]シドニー・ポラック
[脚本]チャールズ・ランドルフ スコット・フランク スティーヴン・ザイリアン
[出演]ニコール・キッドマン ショーン・ペン キャサリン・キーナー イヴァン・アタル
[配給]UIP
[宣伝]キャシディー

[The Interpreter:全米公開2005年4月22日]
国連史上初のNY本部内で、撮影が敢行された政治スリラー。出演は、「奥様は魔女」のニコール・キッドマン、「リチャード・ニクソン 暗殺を企てた男」のショーン・ペン、「マルコヴィッチの穴」のキャサリン・キーナー、「フレンチなしあわせのみつけ方」のイヴァン・アタル。監督は、出演もしている「ザ・ファーム 法律事務所」のシドニー・ポラック。

その事件は、アフリカのマトボ共和国で生まれた国連通訳シルヴィアが、同国の大統領ズワーニの暗殺計画を聞いたと通報したことから始まった。それ以来、彼女の生活は一変した。殺し屋たちのターゲットになり、同時にシークレット・サービスの疑惑の対象になった。シルヴィアを“保護”する捜査官ケラーは、彼女の過去を探るうちに彼女自身が陰謀に関わっているのではないかとの疑いを深めていく。シルヴィアの抱える“秘密”は、ケラーにとっては“嘘”でしかない。彼女は犠牲者か? 容疑者か? それとも…? 数週間前に妻を亡くしたばかりのケラーは、かつてマトボでシルヴィアが体験した悲痛なできごとを知るにつれ、彼女を守り通すことで自分のアイデンティティと愛を取り戻そうとするが…。

アカデミー賞受賞のスタッフ&キャストが贈る、愛と感動のサスペンス。物語はフィクションでマトボという国も架空だが、実際にこのような事が起こってもおかしくないような設定。緊迫した政治スリラーだが、お互いに過去を背負って惹かれあう二人の結びあいは、女性客へのサービスか。

オフィシャルサイト:http://www.inpri.jp/

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2005年5月23日 by p-movie.com

バタフライ・エフェクト

きみを救うため、ぼくは何度でも過去に戻る。 ★★★★☆
[04/米]1h54 5月14日より東劇、シネマミラノほかにて全国ロードショー

[製作]クリス・ベンダー A・J・ディックス アンソニー・ルーレン JC・スピンク
[監督]エリック・ブレス J.マッキ―・グラバー
[脚本]エリック・ブレス J.マッキ―・グラバー
[出演]アシュトン・カッチャー エイミー・スマート マローラ・メルターズ エルデン・ヘンソン エリック・ストルツ
[配給]アートポート
[宣伝]リベロ

[The Butterfly Effect:全米公開2004年1月23日]
全米初登場No.1にもなったタイムスリップ・サスペンス。出演は「ジャスト・マリッジ」のアシュトン・カッチャー、「ラット・レース」のエイミー・スマート、「マグノリア」のマローラ・メルターズ、「マイ・フレンド・メモリー」のエルデン・ヘンソン、「60セカンズ」のウィリアム・リー・スコット、「パルプ・フィクション」のエリック・ストルツ。

エヴァンは、ごく普通の少年だった…。時折、記憶を喪失“ブラックアウト”してしまうことを除いては。精神科の医師は彼に、治療のために毎日、日記をつけることをすすめる。やがて時は過ぎ、記憶が失われることの多かった日々はすっかり過去のものとなっていた。そんなある日、大学生になったエヴァンは、7歳の頃からつけていた日記を見つける。その日記を紐解いたとき、いつしか彼の意識は日記を書いた当日の陽光の中にあった。忘れていた、ある出来事が鮮烈に蘇る。幼馴染みの少女ケイリー…。そしてエヴァンと彼女が引き裂かれることになった決定的な理由。“君を迎えに来る”かつてその約束を果たせなかったエヴァンは彼女への思いゆえ、ある選択をする。それが取り返しのつかない新たな状況を引き起こすとは夢にも思わずに…。

かなり変形のタイムスリップ作品。先を読むのは、予測不可能。こういう展開なら、いくらでもオチは作れそうだ。そう考えると、もっといい結末はありそうだけど。アシュトン・カッチャーは、日本ではまだ知名度はなく、デミ・ムーアと交際している変わった兄ちゃんというイメージだが、公開作品は続々控えているので、今後にも期待。

オフィシャルサイト:http://www.butterflyeffect.jp/

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2005年5月16日 by p-movie.com

ブレイド3

これが最後の戦い。 ★★★☆☆
[04/米]1h54 5月7日よりスバル座ほか全国東宝洋画系にてロードショー

[製作]ピーター・フランクフルト ウェズリー・スナイプス デヴィッド・S・ゴイヤー
[監督]デヴィッド・S・ゴイヤー
[脚本]デヴィッド・S・ゴイヤー
[出演]ウェズリー・スナイプス クリス・クリストファーソン ジェシカ・ビール ライアン・レイノルズ パーカー・ポージー ドミニク・パーセル トリプルH ナターシャ・リオン ジョン・マイケル・ヒギンズ ジェームズ・レマー
[配給]日本ヘラルド映画

[BLADE:TRINITY]
アメコミの映画化第3弾で、シリーズ完結篇。出演は製作も兼ねるウェズリー・スナイプス、同シリーズ皆勤賞のクリス・クリストファーソン、「テキサス・チェーンソー」のジェシカ・ビール、「ふたりの男とひとりの女」のライアン・レイノルズ、「みんなのうた」のパーカー・ポージー、「M:I-2」のドミニク・パーセル、レスラーのトリプルH、「最“新”絶叫計画」のナターシャ・リオン、「G.I.ジェーン」のジョン・マイケル・ヒギンズ、「ワイルド・スピードX2」のジェームズ・レマー。監督はシリーズ全ての脚本を手掛け、本作で遂にデビューしたデヴィッド・S・ゴイヤー。

ヴァンパイアハンターのブレイドが罠に嵌められ、ヴァンパイアの奴隷と化した人間を殺してしまう。ヴァンパイアたちによって殺害の一部始終を録画され、一夜にして連続殺人鬼としてFBIに追われる身となってしまうブレイド。遂に隠れ家を突き止めたFBIは特殊部隊を使ってブレイドの逮捕劇を展開。自らの命と引き換えにブレイドを救おうとした相棒のウィスラーの意も叶わず、逮捕されてしまう。ブレイドを救ったのは、ウィスラーの娘のアビゲイルと、かつて自分をヴァンパイアにされ復讐心を燃やすハンニバル・キングだった。ヴァンパイアたちは、シリア砂漠のピラミッドからヴァンパイアの始祖ドレイクを甦らせ、最終決戦を挑んできた。

全米でもそんなにヒットしなかったし、シリーズの脚本家のデビュー作ということで惰性で製作したのかと思い期待していなかったのだが、これがなかなか面白かった。これなら、無理に完結させなくてもと思ってしまう。なんか続きそうな終り方だったし。でもこういう作品は、ドラマ化になったり、キャストを代えて新たなシリーズを迎える可能性あり。ヒロインのジェシカ・ビールは、ロブ・コーエン監督アクション超大作「ステルス」やキャメロン・クロウ監督&オーランド・ブルーム主演「エリザベスタウン」が控えていて、今後要チェック。

オフィシャルサイト:http://www.blade3.jp/

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2005年5月9日 by p-movie.com

ベルリン、僕らの革命

彼らの今は、あなたが純粋だったあの頃 ★★★☆☆
[04/独・オーストリア]2h06 4月29日よりBunkamura ル・シネマにて全国順次ロードショー

[製作]ハンス・ワインガルトナー アントニン・スヴォボダ
[監督]ハンス・ワインガルトナー
[脚本]カタリーナ・ハント ハンス・ワインガルトナー
[出演]ダニエル・ブリュール ジュリア・ジェンチ スタイプ・エルツェッグ ブルクハルト・クラウスナー
[配給]コムストック キネティック
[宣伝]キネティック

[Die Fetten Jahre sind Vorbei THE EDUKATORS]
2004年カンヌ国際映画祭コンペティション部門ほか、数々の映画祭で上映され、海外でも公開されている爽やかな青春映画。出演は「グッバイ、レーニン」のダニエル・ブリュール&ブルクハルト・クラウスナー、6月のドイツ映画祭2005で「ゾフィー・ショル 最期の日々」(2006年公開予定)が上映されるスタイプ・エルツェッグ。監督は、長編2作目となるハンス・ワインガルトナー。

正義感が強く理想主義者のヤンと親友のピーター。一緒に暮らす2人には、ある秘密があった。それは彼らこそ、巷で噂の「エデュケーターズ」だということだ。2人は金持ちの邸宅に侵入すると家具を動かし、「ぜいたくは終わりだ」などと書いたメモを残して立ち去るという犯行を繰り返していた。それは、金持ちが優遇される現代社会に対する、彼らの小さなレジスタンス運動だ。ピーターが旅に出ていたある日、ヤンはピーターの恋人・ユールの引越しを手伝うことに。そこで、ユールが金持ちの高級車の賠償支払いに苦しんでいることを知ったヤン。そして後日、ヤンとユールは彼女の賠償相手の邸宅に侵入することにするが・・・。

この後、賠償相手と鉢合わせしてしまい2人は、ピーターを呼んで賠償相手を連れて、親戚の山小屋に逃げる。ここから物語は、奇妙な4人の共同生活を描いていく。じつは、ピーターの留守中に2人はデキてしまうのだが、なんとピーターはその事を誘拐した賠償相手に教えてもらうというトロさ。これが上映時間を長くしているのかも。この作品は、デジタル・ビデオ撮影で80時間も撮ったそう。連続ドラマにでも、したかったのだろうか?

オフィシャルサイト:http://www.bokuranokakumei.com/

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カテゴリー: ヨーロッパ | 映画レビュー

2005年5月2日 by p-movie.com