RUSH!

逃げ切れるか?それとも破滅か? ★★★★☆
[01/日] 1h50 6月23日よりシネ・アミューズにてロードショー

企画:あいかわ翔 神野智
監督:瀬々敬久
脚本:瀬々敬久 井土紀州
出演:哀川翔 キム・ユンジン 柳葉敏郎 大杉漣 阿部寛 峰岸徹 麻生久美子 千原浩史 ハニホー・ヘニハー
配給:スローラーナー
宣伝:スローラーナー

香港映画に日本の俳優が、日本映画に香港の俳優が出演するのが普通になってきたが、今回は韓国から「シュリ」の女スパイ役が強烈だったキム・ユンジンが日本映画に登場。哀川翔の相手を務めている。このエキセントリックなスラップスティック・コメディは、結末があ一だったらナー、こ一だったらナーと嘆く映画通に送る挑戦状作品です。出演者のメンバーを見ても何かやってくれそうでしょ。ハニホー・ヘニハーは、アスパラドリンクのCMの変な外人です。ほかに青田典子や竹内力が友情出演しているのも見逃せない。監督は「HYSTERIC」の瀬々敬久。

TVでCM まで流す韓国人が経営する焼肉屋チェーン店で働く哀川翔演じる昌也が、オーナーの娘偽装誘拐を手伝う。だが、オーナーは裏でヤバイ家業をしていて、雇っていた人物に逆に殺されてしまう。そしてこの殺しを昌也達になすりつけた。この雇われ人の表の顔は刑事(演じるは、大杉漣と阿部寛 )だったのだ。間抜けな誘拐犯と悪どい刑事の逃走劇はスタートした。一方、このストーリーに突如登場するのが妻に別荘で浮気されているのを追いかけてくる柳葉敏郎演じるサラリーマン風の島崎。彼は浮気相手のホストとヒッチハイクしている謎のプロレスラーと3人で珍道中を展開。これが上手い具合に合わさって来る。時間軸を巧にずらした構成はエアポケットに入り込んでしまったようで、てっきり自分は映写技師が巻数を間違えてしまったかと思ったくらい。ぜひ皆さん、この挑戦状受けてみてください。キム・ユンジンが哀川翔と逃走している時に「何故、日本は国境がないの!」のセリフには大笑いしてしまいました。

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2001年6月25日 by p-movie.com

サトラレ TRIBUTE to a SAD GENIUS

プライバシーゼロの悲しき天才 ★★★★★
[00/日] 2h10 3月17日よりニュー東宝シネマほか全国東宝洋画系ロードショー

監督:本広克行
脚本:戸田山雅司
原作:佐藤マコト
出演:安藤政信 鈴木京香 内山理名 小野武彦 寺尾聰 八千草薫
配給:東宝
宣伝:東宝

『踊る大捜査線 THE MOVIE』で一世を風靡した本広克行監督の最新作。今までの”笑える作品”ではなく、”泣きのエンターテインメント”を目指したという本作は、彼のねらい通り、ハンカチなくしては観ることのできない感動作に仕上がっている。といっても、「サトラレ」を取り巻く周囲のドタバタぶりは、それなりに面白いし、今までの”笑える”本広節もしっかり健在だ。

「サトラレ」とは考えている事や思っていることが周りの人々に筒抜けになってしまうという不思議な能力の持ち主のこと。どういうわけか、「サトラレ」は例外なくIQ180以上の天才ばかりで、彼らの知能は国家的な財産となっている。政府は彼らを保護するために法律や組織を整備し、「サトラレ」が「サトラレ」であることを知られないようにしている。里見健一(安藤政信)も「サトラレ」の1人で、”症例7号”と呼ばれる天才外科医。地方の病院で臨床外科医として働いている彼のもとに、特能保全委員会から、小松洋子(鈴木京香)が派遣されてきた。彼女の役目は新薬研究の国家プロジェクトのスタッフになるように彼を導くこと。

「サトラレ」を目の前にして、次々と起こる初めての経験にとまどう洋子だったが、健一の純粋さに触れることで、自分が本当にしなければならないことが何か気付きはじめる。思っていること全てが筒抜け状態ということは、ある意味楽なのかもしれない。自分がしたいこと、自分が喜んでいること、自分が腹を立てていること、自分が不安に思っていること…全てを相手にストレートに伝えることができたらどれだけ気持ちがスッキリするだろう。でも、「サトラレ」であるがために故意に失恋させられたり、勝手に人生のレールまで敷かれてしまうのは嫌だけれど…。もし、自分が「サトラレ」だったら…なんて考えるとやるせなくなってしまう。「知らぬが仏」とはこういったことなのかもしれない。で、彼の祖母に対する本当に純粋な愛情には、「参りました」としか言いようがない。というのも、彼の行動や表情だけでなく、「サトラレ」というキャラクターであるがために発せられる心の声が観ている人に直球で投げかけてくるからだ。クライマックスになるにつれ、ホロッと涙を流す人も多いはず。

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2001年3月19日 by p-movie.com

ホワイトアウト

事件は冬の巨大ダムで起こった!  ★★★★☆
[00/日本] 2h09 8月19日より日劇東宝ほか全国東宝系拡大ロードショー

原作・脚本:真保裕一
監督:若松節朗
出演:織田裕二 松嶋菜々子 佐藤浩市 吹越満
配給・宣伝:東宝
配給協力:日本ヘラルド映画

「踊る大走査線」よりも以前に映画化を望んだ織田裕二に、原作者自身が脚本を書き上げたベストセラー小説の完全映画化。40年振りの暖冬で雪が降らず、一時は製作を断念せざるえない状況までいったが、中止決定のリミット2日前から7日間雪が降り続き、これまでの日本映画にないアクション超大作に仕上がった。監督は「振り返れば奴がいる」「お金がない!」「正義は勝つ」と織田裕二主演ドラマのほとんどを手掛けている若松節朗。ちなみにホワイトアウトとは気象上の用語で、吹雪で発生したガスや舞い上がった雪や雲の乱反射が原因で空間が白い闇となり方向や距離が分からなくなる現象。

日本最大の貯水量を誇る新潟県奥遠和ダム。見渡す限り白銀に覆われたダムで運転員の富樫(織田)と吉岡は猛吹雪の中を遭難者救助していたが、途中で吉岡が負傷して富樫は一人で応援を呼ぶために下山する。が、ホワイトアウトにより視界を奪われてしまう。翌朝、吉岡は遺体で発見された。それから2ヶ月後吉岡の婚約者千晶(松嶋)がダムを訪れにやって来る。ダムでは富樫が千晶に吉岡の遺品であるコンパスを渡そうと待っていたが、テレビのクルーに扮したゲリラグループ「赤い月」にダムを占拠されてしまう。新潟県警に突然無線が入った。リーダーの宇津木(佐藤)はダムの職員を人質にとって政府に50億円を要求、拒否すれば人質を殺し、ダムを爆破して下流域の住民20万世帯を激流に飲み込ませると言った。ダムへ行く道を爆破し、外部からの進入も不可能となった今となって、ただ一人逃げおおせた富樫は亡き友人の婚約者を救うためにダムに戻っていく。

織田裕二は雪山のダムを凍傷になってもおかしくないくらい行き来して、佐藤浩市も楽しそうに悪役を演じ松嶋菜々子も体を張って頑張っている。テロ集団のダム乗っ取りの展開や県警の所長が事件の謎を暴いていくのも抜群。クライマックスはかなり無理があるが、織田裕二は「踊る大走査線」に続いて男のロマンを貫いている。

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2000年8月21日 by p-movie.com

ジュブナイル

少年の心の夢を持つ大人へ ★★★★☆
[00/日本] 1h45 日劇東宝ほか全国東宝邦画系にて公開

監督・脚本・VFX:山崎 貴
出演:香取慎吾 酒井美紀 鈴木杏 吉岡秀隆 緒川たまき
配給:宣伝:東宝

「学校の怪談」シリーズを一段落させた東宝がフジテレビジョン等と8社で製作した夏休み作品。東宝のお家芸ともいえる特撮をメインにした21世紀に向けた映像ファンタジームービー。VFXとはゴジラ等でお馴染みのスペシャル・エフェクト(SFX=特殊技術)の中の一つであったビジュアル・エフェクト(特殊効果)の略称であり、撮影されたフィルムに2次的な効果を加えること。

2000年の夏、ユースケ、トシヤ、ヒデタカ、ミサキ(杏)は林間学校に来ていた。その夜に強烈な光が走り、何かが空から落下してくる。そこには1体のロボット(テトラ)があり、「テトラ、ユースケニ、アッタ」と日本語を発した。4人はテトラをユースケの家で飼い、テトラはユースケ達の集める金属片で体を改造し出す。その頃巨大な宇宙船がユースケ達が住む町に現れた。そして、ミサキの従妹・範子(酒井)と同じ容姿に異星人は変身して地球の情報を収集するのだった。テトラは体を完成させるとインターネットを接続して知識を増やしたいと言い出すが、4人ともパソコンを持っていないので近所では変人として有名な神崎(香取)の所に行く。実は神崎は数多くの特許を持ち、ゲームの開発も手掛ける天才物理学者でタイムマシンの研究をしていた。そして、どうやらテトラは未来から地球の危機を救うために来たことが分かる。そのことは2020年になって彼らは知るのだった。

この作品は一つのジャンルに収まらず、様々な要素で構成されている。サイエンス・フィクションであり、少年の頃のノスタルジックなメモワールであり、壮大なファンタジーであり、冒険アクションであり、全体的なスケールの大きさを感じられる。通常こういう映画は、監督と特殊技術監督がいるのだが今回は一人で全部やっているので変な違和感がない(演技の撮影をしてからVFXをするので、把握している監督が一人の方がぎこちなさがないので)。山下達郎の唄う「Juvenileのテーマ」も作品の味わいに彩りを加えている。

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2000年7月24日 by p-movie.com