とらばいゆ

“勝負”が彼女たちの仕事 ★★★★☆
[01/日]1h58 3月23日よりテアトル新宿ほか全国順次公開

製作:武藤起一
監督:大谷健太郎
脚本:大谷健太郎
出演:瀬戸朝香 市川実日子 塚本晋也 村上淳 山口美也子 大杉漣 鈴木一真
配給:ザナドゥー/アミューズピクチャーズ
宣伝:ザナドゥー

[女流棋士難関ドラマ:A WOMA'S WORK Travail]
1999年に「アベック モン マリ」で、若者たちの圧倒的な支持を受けた大谷健太郎監督の第二作目は、またもや2組のカップルが繰り広げるマシンガントーク・コメディー。出演は女優棋士姉妹に「バレット・オブ・ラブ」の瀬戸朝香&フジテレビ・キャンペーンガールの市川実日子、姉の夫に塚本晋也、妹の恋人に村上淳、前作の主要キャストだった大杉 漣は、姉妹の将棋師匠役で登場。

女流棋士の麻美は、サラリーマンの夫・一哉と暮らしているが、このところ対局で負けつづけスランプ状態に。負けると晩飯を作らない妻に、最近は話すと喧嘩ばかり。麻美の妹の理奈には売れないミュージシャンの弘樹という恋人がいて同棲中。しかし恋人に家事を全て任せ、自分は元カレと遊んでいた事がバレて険悪な状態に。互いに維持の張り合いでグシャグシャに縺れた糸は更に絡まる。遂に麻美は次の対局に負けてランク落ちしたら離婚すると言い出す。しかも相手は理奈だった。一方、一哉は海外転勤を麻美に言えずに悩んでいた。

女流棋士の中倉彰子&宏美姉妹をヒントに、はじめて「女流棋士」を題材にした作品。仕事と恋愛のバランスに迷う2組のカップルの姿を、独特のセンスとユーモアで描く。前作の「アベック モン マリ」の2組に続いて、今回のカップルもハイテンションな演技で楽しませるなかで、瀬戸朝香だけが加わらずに、いつものちょっと生意気なキャラで、この役にはピッタリ。ひとりで芋けんぴをボリボリ食べるシーンには笑える。この2作で監督は、早くも大谷ワールドを作り上げた。

オフィシャルサイト: http://www.2002travail.net/

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2002年3月25日 by p-movie.com

カタクリ家の幸福

不幸てんこ盛りミュージカル ★★★☆☆
[01/日]1h53 2月23日よりシネリーブル池袋ほか全国順次公開

原案:映画『クワイエットファミリー』
監督:三池崇史
脚本:山岸きくみ
出演:沢田研二 松坂慶子 武田真治 西田尚美 丹波哲郎 忌野清志郎
配給:松竹
宣伝:松竹 ザナドゥー/オムロ

日本一忙しい鬼才三池崇史監督が、韓国映画「クワイエットファミリー」をリメイク。しかもミュージカルにしてしまった。カタクリ家のメンバーに「リボルバー」の沢田研二 、「さくや妖怪伝」の松坂慶子、「御法度」の武田真治、「ナビィの恋」の西田尚美、大霊界でも活躍中のベテラン丹波哲郎。ほか永遠のロッカー・忌野清志郎に、三池組のエンケンこと遠藤憲一と映画評論家・塩田時敏。

人里離れた山の中にあるペンション「白い恋人たち」。リストラされてしまったカタクリマサオは、一家でペンション経営を始めた。が、待てど暮らせどお客は来ない。客より多い従業員は、マサオの妻テルエ、子連れで出戻り娘のシズエ、ヤバい事件で会社をクビになった息子マサユキ、シズエの娘ユリエ、マサオの父で、ゴーイング・マイウェイの二ヘイ、そして愛犬ポチ。 6人と一匹、これがカタクリ家の面々だ。そして、やっと来たお客は何故か自殺や事故死してしまう。カタクリ家の面々は、裏山に死体を埋めることにする。ある日、カタクリ家にニュースが飛び込んだ。いよいよペンションの前に道路が開通することが決まったのだ!だが、よく考えてみると道路が通る場所は、死体を埋めた場所だった。

韓国映画のリメイクは「リメンバー・ミー」という酷い作品があったが、こちらは三池監督だけありミュージカル&クレイ・アニメーションまで+αした変化球作品で見応えあり。今回は「クワイエットファミリー」よりも過激さも押さえ、ラストのオチも決まってる。でも松竹のお偉いさんには、不評だったようで劇場の規模は小さくなってしまった。

オフィシャルサイト: http://www.katakurike.com/

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2002年2月22日 by p-movie.com

GO

国籍なんか関係ねえ! ★★★★☆
[01/日・韓] 2h02 10月20日より丸の内東映ほか全国東映系にて日韓同時公開

原作:金城一紀(講談社刊)
監督:行定 勲
脚本:宮藤官九郎
出演:窪塚洋介 柴咲コウ 大竹しのぶ 山崎努 山本太郎 萩原聖人 大杉漣
配給:東映
宣伝:東映(株)映画宣伝部

第 123回直木賞に輝いた金城一紀のコリアン・ジャパニーズ実体験を基にした小説の映画化。発行部数 15万部を突破し、テレビ・映画など20社以上の製作会社から映像化の依頼が殺到した。「池袋ウエストゲートパーク」の宮藤官九郎と窪塚洋介が再びタッグを組み、監督もインディーズで活躍していた「ひまわり」「贅沢な骨」の行定 勲と若手を起用。東映もかなりの勝負に出た。ほかの出演は、窪塚の父母に山崎努と大竹しのぶ、恋人役は「バトル・ロワイヤル」以降東映作品に出ずっぱりの柴咲コウ。韓国からは「情事」や「アクシデンタル・スパイ」のキム・ミンと現代韓国映画の”生き証人”と言われるミョン・ケナム。

杉原は高校3年生、普段はまったく意識しないが韓国の国籍を持ついわゆる「在日」。未だに将来の夢も進路も決まらない。中学までは民族学校に通っていたが、広い世界を見たくなり意を決して日本の普通高校へ入学した。3年前、杉原の父・秀吉は、ハワイ旅行をきっかけに国籍を”朝鮮”から”韓国”に変えた。秀吉は元ボクサー、幼い頃からボクシングを叩き込まれた杉原は入学してから喧嘩では現在24連勝中。記念すべき初勝利の相手は、今やすっかり仲良くなったヤクザの息子の同級生・加藤。ある日杉原は、加藤のバースディパーティーで声をかけてきた少女・桜井と突然の恋に落ちる。ぎこちないデートを重ねる二人だが、杉原は自分が「在日」であることを中々言い出せないでいた。

行定監督は、よく試写室に出没していていたので凄く身近に感じていただけに期待は高まっていたのだが、これが期待通り面白い。在日差別問題という重いテーマを今までこんなにもコメディーで描いた作品はあっただろうか。「これは僕の恋愛に関する物語だ」と語っておきながら、なかなか恋愛話にならない引っ張りもいい。今の映画界は国境を越えた作品が増えてきたが、日本も負けちゃいられない!。窪塚洋介も浅野や永瀬に続いて、これからはどんどん映画に出まくってほしい。その為にも今年の邦画界 No.1候補作品を見ましょう。

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2001年10月22日 by p-movie.com

ウォーターボーイズ

男子シンクロ部員募集中 ★★★☆☆
[01/日] 1h33 9月15日よりシャンテ・シネほか全国東宝洋画系にてロードショー

監督:矢口史靖
脚本:矢口史靖
出演:妻夫木 聡 玉木宏 平山綾 竹中直人 杉本哲太 柄本明
配給:東宝
宣伝:東宝

埼玉県立川越高等学校水泳部の文化祭限定パフォーマンスで、男子シンクロナイズドスイミングをモデルに「ひみつの花園」「アドレナリンドライブ」などコメディー映画を撮り続ける矢口史靖監督が映画化。出演は「GTO」や「タイタニック」でディカプリオの吹き替えをした妻夫木 聡、「クリスマス・イヴ」の玉木宏、「しあわせ家族計画」やTVドラマ「ファイティングガール」の平山綾、映画初出演の眞鍋かをり、脇を固めるのは竹中直人、杉本哲太、柄本明、谷 啓。

廃部寸前の唯野男子高校水泳部、部員は3年の鈴木だけ。そこに突然やってきたのが若くてピチピチの女性教師佐久間。大学で水泳をやっていたというこの美人教師に釣られるように、水泳部は溢れかえるが、佐久間がやっていたのは「シンクロ」!。 残ったのは相変わらず間の悪い鈴木と、どこかヘナチョコな4人組。なのに佐久間先生は妊娠して実家に帰ってしまった。プールは他の部に釣り堀にされたのに5人は水を抜いてしまう。弁償するために魚を持ってきたイルカの調教師・磯村の手伝いをしながら、シンクロの練習をする事になる5人組。海で練習していた所をニュースで報道されたのが反響を呼び、学園祭での演舞が決定!!。部員も徐々に増え28名になるが、なんと学園祭前日にトラブル発生だー。

出だしはかなり外しっぱなしだが、竹中直人演じる磯村の登場から徐々に盛り上がる。竹中は水族館の掃除をさせたかっただけなのだが、メキメキとシンクロが上手くなっていくのは、「ベストキッド」と同じパターン。そしてクライマックスのシンクロ・パフォーマンス。これを見るだけでもこの作品を見る価値あり。但し、観客は女子高生と柄本明扮するオカマバーの連中。という事で男同士で見に行くにはちょっと恥ずかしいかも。水泳部の顧問役は杉本哲太だが、やはりここは山下真司に演じてぜひ泣き虫先生を見たかった。一応、1シーンだけ登場するけどね。

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2001年9月17日 by p-movie.com

千と千尋の神隠し

宮崎版「不思議の国のアリス」 ★★★★★
[01/日] 2h05 7月20日より日比谷スカラ座にて全国東宝洋画系にてロードショー

製作総指揮:徳間康快
監督:宮崎 駿
原作・脚本:宮崎 駿
声出演:柊 瑠美 入野自由 夏木マリ 菅原文太 内藤剛志 沢口靖子
音楽:久石 譲
配給:東宝
宣伝:メイジャー

[ファンタジー的寓話:Spirited Away]

「もののけ姫」で引退を決意した宮崎 駿が、とある理由から新たな出発点として撮り上げたエンターテイメント作品。声の出演は主人公・千尋に「すずらん」で主役を務めた柊 瑠美、千尋を助けるハクに「ウルトラマンガイア・時空の大決戦」の入野自由、ほか上記メンバーのほか上条恒彦、小野武彦・我修院達也。音楽はお馴染の久石 譲。

ごく普通の家庭で生まれ大切に育てられた一人っ子の荻野千尋は、引越し先の新しい家に向かう途中。父親の運転する車は、道を一つ間違えて林道へ入り、不思議な建物の前に着いた。興味範囲で千尋の父親と母親はトンネルへ入ってしまい、千尋も仕方なく着いていく。アミューズメントパークの変わり果てた姿と思った千尋の父親だったが、美味しい匂いに誘われ中へ入っていき店に並べられていた食べ物を母親と食べ始めてしまう。実はここは人間の目には決して見えない世界で、古くから棲む神様(霊々)が病気と傷を癒しに通う温泉町だった。この町の食べ物を食べた千尋の親は豚に変えられてしまう。千尋は湯屋の帳場を預かるハクという少年に助けられるが、この町で生き延びるために湯屋を支配する湯婆婆という強欲な魔女の元で働くことを言い渡される。

宮崎ワールド集大成と言うべき作品。ストーリーは分かり易いし、登場するキャラクターもユニークで、しかも今までの宮崎 駿監督作品が随所に盛り込まれていていて、全く飽きさせない。もう少し千尋が普通の軟弱な少女だというエピソードと、舞台となった温泉町の紹介をしてくれるともっと面白かったかもしれない。いつもながら久石 譲さんの音楽は素晴らしい。今年の夏休み映画は、まだ全部見てないけどこの作品がトップを制する可能性は大きい。「ラマになった王様」のレビューで、夏のファミリー・アニメ映画は「ポケモン」と「ラマ」は見逃せないと書いてあるけど、「千と千尋の神隠し」もお忘れなく。

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2001年7月21日 by p-movie.com