AIKI

爽快!感動!!青春映画 ★★★★☆
[02/日]1h59 11月30日よりシネ・リーブル池袋、テアトル新宿ほかにて全国公開

[製作総指揮]中村雅哉
[原作]天願大介(メディアファクトリー)
[監督]天願大介
[脚本]天願大介
[出演]加藤晴彦 ともさかりえ 原 千晶 火野正平 桑名正博 菅田 俊 石橋 凌
[配給]日活株式会社
[宣伝]ミラクルヴォイス

デンマークに実在する車椅子で大東流合気柔術を身に付けたモデルをヒントに、「アジアンビート/アイ・ラブ・ニッポン」「無敵のハンディキャップ」の天願大介が構想10年にして映画化。出演は「回路」の加藤晴彦、「クロエ」のともさかりえ、「失楽園」の原千晶、「梟の城」の火野正平、「コミック雑誌なんかいらない」の桑名正博、「無問題2」の菅田俊、「自殺サークル」の石橋凌。

ボクシングに情熱を掛けていた芦原太一に悲劇が訪れたのは、突然だった。バイクを運転中の不慮の事故で、彼は下半身麻痺に。ボクシングを捨てての、一生車椅子生活は彼を失意のどん底へ落とした。同室で脊髄損傷の先輩・常滑に励まされ、一年後に退院しても自暴自棄の生活を送っていた芦原だったが、偶然知り合ったテキ屋の親分や謎めいた女性の“イカサマのサマ子”との出会いで生きる強さを見つける。そんな時に彼が出会ったのが、大東流合気柔術。車椅子を上手く使い、基本を会得した芦原に師範の平石は、大使館で行なわれる演武会に出ることを指名させる。

監督の思いが強い作品ほど偏ってしまう内容が多い。特にこの作品は障害者が主役なだけに真面目なスポ根映画かと思ったんだが、周りを固める登場人物によってかなり不可思議な作品になっている。ちょっとふざけ過ぎた箇所もあり、どこまで真面目に作ってるのか首を傾げるけど、全体的に見ると楽しい作品。だって、ともさかりえの役が昼は巫女で夜は非合法カジノ専門のギャンブラーで“イカサマのサマ子”だもの。大東流合気柔術は相手を引き込んで倒す。この作品もそうです。

オフィシャルサイト: http://www.aiki.cc/

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2002年12月2日 by p-movie.com

たそがれ清兵衛

山田洋次監督初の時代劇 ★★★★☆
[02/日]1h56 11月2日から22日まで丸の内ピカデリー1、23日から丸の内プラゼールほかにて全国公開

[製作]中川滋弘、深澤宏、山本一郎
[原作]藤沢周平(新潮文庫刊)
[監督]山田洋次
[脚本]山田洋次、朝間義隆
[出演]真田広之 宮沢りえ 小林稔侍 大杉 漣 吹越 満 田中 泯 岸恵子 丹波哲郎
[配給]松竹株式会社
[宣伝]ピー・ウイング

「男はつらいよ」や「学校」シリーズの巨匠、山田洋次監督が77本目にして初の本格時代劇に挑戦。原作は文庫本の総発行部数が2300万部を超え、今もなお圧倒的な人気を誇る時代小説の藤沢周平。出演は、次回作「ラスト・サムライ」でトム・クルーズとの共演の真田広之、香港映画「遊園驚夢・華の愛」でモスクワ国際映画祭の最優秀女優賞に輝いた宮沢りえ、寅さんのマドンナや「かあちゃん」の岸恵子、「学校III・IV」の小林稔侍、「SFサムライフィクション」の吹越 満、「DRIVE」の大杉 漣、日本映画界の重鎮・丹波哲郎、さらには世界的な舞踊家である田中泯が、息を呑む迫力ある演技を披露し銀幕デビュー。

幕末の庄内、生活の苦しい平侍の井口清兵衛は、同僚の付き合いなどを一切断って帰り、毎日家事と内職に励んでいる。妻を労咳で亡くし、二人の娘と病気の母親と暮らしている為だったのだが、同僚達はそんな清兵衛をからかって、陰で「たそがれ清兵衛」などと呼んでいた。そんな清兵衛が、友人の妹・朋江の婿で酒乱で横暴過ぎる豊太郎と、剣が苦手な友人の代わりに決闘をして勝った事が広まってしまう。この事がきっかけで、清兵衛は藩主の反対派役を討てという、家族に背を向けた生死を賭けての果し合いをしなくては、いけなくなってしまう。

間もなく侍の時代が終わろうとしている幕末。前半は清兵衛の貧しい生活話と、暴力夫に悩まれる幼なじみとのメロドラマだが、後半は武家政治に巻き込まれた清兵衛の不条理を描いたドラマ。クライマックスの果し合いは鳥肌が立つほどの迫力。この作品も東京国際映画祭で上映しても良かったかも(クロージングが、同じ松竹の「壬生義士伝」になったので外したんだと思うが)。秋に、お勧めの1本です。

オフィシャルサイト: http://www.shochiku.co.jp/seibei/

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2002年11月4日 by p-movie.com

OUT

20世紀フォックスが邦画を配給 ★★★★☆
[02/日]1h59 10月19日より丸の内プラゼ-ルほか全国松竹・東急系にて公開

[製作]古澤利夫 木村典代
[原作]桐野夏生(講談社刊)
[監督]平山秀幸
[脚本]鄭 義信
[出演]原田美枝子 倍賞美津子 室井 滋 西田尚美 香川照之 間 寛平 大森南朋
[配給]20世紀フォックス(極東)映画会社
[宣伝]20世紀フォックス映画

[スリリングで爽快な脱出活劇:OUT]
TVドラマにもなった桐野夏生の傑作ベストセラー小説が、「学校の怪談1・2・4」「愛を乞うひと」「ターン」「笑う蛙」の平山秀幸監督で映画化。製作は平山監督作品で御馴染みのサンダンス・カンパニーと、ムービーテレビジョン。そしてなんと配給は20世紀フォックス(極東)映画会社。出演は「木曜組曲」の原田美枝子&西田尚美 、「ターン」の倍賞美津子、「金融破滅ニッポン 桃源郷の人々」の室井 滋、「鬼が来た!」の香川照之、「明日があるさ THE MOVIE」の間 寛平、「殺し屋1」の大森南朋、「ほとけ」の千石規子。

香取雅子、吾妻ヨシエ、城之内邦子、山本弥生の4人は、東京郊外にある弁当工場で深夜に働く仲間。雅子は、リストラされた夫や息子ととも会話のない家庭崩壊状態。ヨシエは、亭主に先立たれ寝たきりの姑介護に追われる貧しい生活。邦子は、ブランド品を買い漁りローン地獄生活。弥生は妊娠8ヶ月の体でギャンブルで貯金を使い果たした夫から暴力をふるわれる毎日を送っていた。ある日、弥生から雅子の所へ、とんでもない電話が掛かってくる。弥生が暴力に耐え兼ねて、夫を絞め殺したと言うのだ。子供の為にも捕まりたくないと言う弥生に、なんと雅子は死体を解体して生ゴミとして捨てることを思い付き、ヨシエと邦子を巻き込んで実行する。だが、邦子のずさんな捨て方で死体は発見されてしまう。しかも邦子はローン会社の十文字に喋ってしまい、十文字は雅子に死体処理のビジネスを持ちかけてきた。一方、殺人の容疑を掛けられていたカジノの用心棒だった佐竹は、罪を着せられた復讐にやって来る。

御馴染みの20世紀フォックスのファンファーレが流れた後に、日本映画が上映される時代がやって来た。主婦4人の犯罪劇を扱った作品で、原作後半の内容を大幅に変えて犯罪そのものより4人の女性たちの生き方に焦点を当てた日本映画らしい日本映画。見所は何と言っても、死体をバラバラにするシーン。一歩間違えると洒落にならない引いてしまう所を、そこまで笑かすかとばかりコミカルにしている。追いつめられていく状況の中、カラオケボックスに集まって作戦会議を開いてたのに、歌に夢中になってしまうシーンもなかなかのヒット。平山監督は、いま乗りにノッテイル。

オフィシャルサイト: http://www.movietv.co.jp/out/

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2002年10月21日 by p-movie.com

白い船

思いは届き、夢は叶う ★★★★☆
[02/日]1h48 7月6日よりシネ・ラ・セットほかにて全国公開

製作:白い船製作委員会
監督:錦織良成
脚本:錦織良成
画文集:文・早坂真紀 画・山口はるみ(新潮社)
出演:中村麻美 濱田岳 中村嘉葎雄 尾美としのり 竜雷太 大滝秀治 田山涼成 高橋理奈 ほか
配給:ゼアリズエンタープライズ
宣伝:ゼアリズエンタープライズ

島根県平田市の小さな小さな塩津小学校と、沖合いを行く大きなフェリーとの心あたたまる交流実話を地元島根出身錦織良成「守ってあげたい」監督が映画化。全編島根ロケーションを敢行し、地元の人達と一体となって作られたインディーズ作品。出演は「富江」「東京ゴミ女」の中村麻美、「ウルトラマンガイア」の濱田岳、「どら平太」の大滝秀治、「赤い橋の下のぬるい水」の中村嘉葎雄、「チキン・ハート」の尾美としのり、「座敷童・百物語」の竜雷太、「とらばいゆ」の山口美也子、「うつつ」の田山涼成、「イノセントワールド」の長谷川初範、「守ってあげたい」の宮下順子、「激しい季節」の高橋理奈、戸田菜穂の妹・戸田麻衣子、白石美帆。音楽を映画音楽初挑戦の人気ミュージシャン角松敏生が担当している。

島根県平田市の塩津。日本海を見下ろす全校生徒数17名の塩津小学校に、佐藤静香が赴任してくる。静香が担当するのは5・6年生の男女6人。その中に窓の外ばかり見ている好平がいた。 青い海原の遥か沖合いを白い船が行く、と言う。毎日、同じ時刻に通る船。それは博多と新潟の直江津を行き来する定期フェリー「れいんぼうらぶ」だった。「白い船に乗りたい!」生徒たちは思い、フェリーの船長に手紙を書き始める。先生たちも「白い船に乗せたあげたいと」思い始める。好平は「れいんぼうらぶ」をもっと近くで見たくなり友達2人と漁船で出かけてしまう。しかしテレビの気象情報は台風の接近を告げていた。

実にシンプルな内容だが、これがほのぼのとして妙にハマル。船に乗ってるだけなのにどうして、こんなに泣けるんだろうと言うセリフがあるが、そのシーンを見ているだけで泣けるのだ。角松敏生の音楽もいい。ちょっと大袈裟だが心が洗われるようだ。最近の○○製作委員会は、代理店や出版社などが集まっているが、本作は地元の平田市から島根県の観光教会や教育委員会と商業目的でないのが、また泣かせる。

オフィシャルサイト: http://www.shiroifune.com/

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2002年7月6日 by p-movie.com

突入せよ!「あさま山荘」事件

史上最大の篭城事件 ★★★★☆
[02/日]2h13 5月11日より丸の内東映ほかにて全国公開
製作:原 正人
原作:佐々淳行『連合赤軍「あさま山荘」事件』(文藝春秋刊)
監督:原田眞人
脚本:原田眞人
出演:役所広司 宇崎竜童 伊武雅刀 藤田まこと 天海祐希 椎名桔平 遊人
配給:東映(株)
宣伝:東映(株)映画宣伝部

[史上最大のかつてない激烈な攻防:THE CHOICE OF HERCULES]
日本中を戦慄させた「あさま山荘事件」が遂に映画化。監督・脚本は骨太な人間ドラマには定評のある原田眞人。新たにあさま山荘を再現して、エネルギッシュな撮影を敢行する。そして現場で指揮を執る警察庁警備局付監察官・佐々淳行を役所広司が演じ、信頼できる部下の宇田川信一には宇崎竜童、長野県警本部長には伊武雅刀、佐々の妻の幸子には天海祐希、カミソリ後藤田の異名をとる後藤田正晴警察庁長官には藤田まこと。個性あふれる大勢の俳優陣による熾烈な光景がスクリーンに炸裂する。

1972年2月19日、日本中を戦慄させたあさま山荘』事件。全国で金融機関の襲撃や、爆弾テロを次々と繰り返してきた連合赤軍の兵士たちが、雪と氷に閉ざされた軽井沢の別荘地に突如として出現。「さつき山荘」で機動隊員と壮絶な銃撃戦を繰り広げたのち、河合楽器の保養所である「あさま山荘」に、管理人の妻を人質にして立てこもったのだ。それが国民の9割をテレビに釘つけにした史上最大のろう城事件である。警察本部は28日午前10時を期して強行突入することを記者達に明らかにした。9時45分、TV各局の報道特別生中継が開始された。全国民の動きを完全に止めた10日間にも及ぶ攻防戦の道程は果てしなく長かった…。だが、突入作戦が9時間にも及ぶ更に困難な長丁場になるとは、誰も思いはしなかった…。

正月に公開された「光の雨」は、連合赤軍を描いたが、本作は警察側を描いた作品。あらゆる手を尽くしても犯人の人数はおろか、人質の安否さえもわからぬままの睨み合いを、警視庁と長野県警のいがみ合いに殆んど充ててユーモアをたっぷり入れたエンターティメント作品。原田監督は「金融腐蝕列島・呪縛」と同じく細かいカット割り、今回は「狗神」でも多用した俯瞰まで取り入れて見ている側を飽きさせない演出。(記者会見のシーンと「金融腐蝕列島・呪縛」の証人喚問シーンは全く一緒だ。)残念なのは台詞が聞き取りにくいこと。そしてこの作品、事件をクギ付けになって見ていた世代と、まったく知らない世代では受け止め方が全く違ってくる。

オフィシャルサイト: http://www.toei.co.jp/asamasansou/

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2002年5月11日 by p-movie.com