わたしのグランパ

人の心に颯爽とした風を送り込む感動作 ★★★☆☆
[02/日]1h53 4月5日より新宿東映パラス2ほかにて全国公開

[製作]木村純一
[原作]筒井康隆(文藝春秋刊)
[監督]東 陽一
[脚本]東 陽一
[出演]菅原文太 石原さとみ 浅野忠信 宮崎美子 平田 満 伊武雅刀
[配給]東映(株)
[宣伝]シグロ

第51回読売文学賞を受賞した筒井康隆の同名小説を、「橋のない川」「絵の中のぼくの村」の東 陽一監督が映画化。出演は「千と千尋の神隠し」の菅原文太、ホリプロスカウトキャラバン・グランプリの石原さとみ、「アカルイミライ」の浅野忠信、「マナに抱かれて」の宮崎美子、「許されざる者」の平田 満、「あずみ」の伊武雅刀、「てなもんや商社」の波乃久里子。

五代家の一人娘・珠子は中学一年生。ある日、彼女の日常にムショ帰りの祖父・謙三が帰ってくる。町を牛耳る暴力団に親友を殺されて、一人で殴りこみに行き殺人罪で13年服役していたのである。謙三が帰って来てから、珠子へのイジメはなくなり、校内暴力はおさまる。だが、殴り込みをされた疋田組組長は、謙三をまだ許していなかった。なんと謙三は、組から大金を盗んでいたのである。組は珠子を誘拐と卑怯な手を打ってきた。

原作者と監督が、菅原文太しかいないと決めていたそうだが、まさにピッタリの役。殺人を犯して出所したのに商店街の人は温かく迎え、イジメや校内暴力はなくなり、暴力団までもがおとなしくなってしまう。まるでおとぎ話か、西部劇のよう。新人の石原さとみは、ハツラツとしていて原田知世を彷彿させる演技。これからが楽しみ。

オフィシャルサイト: http://grandpa.jp/

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2003年4月7日 by p-movie.com

アザー・ファイナル

FIFAランキング最下位決定戦 ★★★☆☆
[02/オランダ・日] 1h17 3月1日よりシネクイントにて世界に先駆け独占ロードショー

[製作]ケッセルズクレイマー ROBOT
[監督]ヨハン・クレイマー
[出演]BHUTAN VS MONTSERRAT
[配給]ROBOT
[宣伝]ROBOT

[蹴球異文化交流:THE OTHER FINAL]
2002年6月30日、全世界が熱狂したワールドカップ決勝戦当日に最下位を決定する「もうひとつの決勝戦」が行なわれていた。FIFAランキング202位のブータンと203位モンテセラト。だがこの試合には大変な苦労があった。監督は200本以上のCMを手掛けているヨハン・クレイマー。世界に先駆け日本先行限定3週間ロードショー。

全世界のマスメディアから注目され、日本でも試合風景が少し放映されていたが、この試合は奇跡に近い開催だった。カリブ海の中で最も美しい島のモンテセラトからボートと飛行機を乗り継ぎ5日間掛けてブータン入り。しかし選手は長旅で体調を崩してしまう。しかも審判は見つからず、前途多難だった。

作品は、試合よりもサッカーを共通語として交流する両国の文化との出会いを描いていて、試合前の出来事の方が面白く、サッカーを知らない人でも楽しめる作品。今年公開されるドキュメンタリーは楽しめる作品が多い。

オフィシャルサイト: http://www.theotherfinal.jp

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2003年3月3日 by p-movie.com

13階段

秘められた罠が明らかになる ★★★☆☆
[02/日]2h02 2月8日より日劇2ほか全国東宝系にて公開

[製作]宮内正喜
[原作]高野和昭(講談社刊)
[監督]長澤雅彦
[脚本]森下直
[出演]反町隆史 山崎努 笑福亭鶴瓶 大杉漣 寺島進 田中麗奈
[配給]東宝株式会社
[宣伝]東宝(株)宣伝部

[重量感溢れる感動のエンターテインメント:The Thirteen Steps]
第47回江戸川乱歩賞を受賞した高野和昭の原作を「ココニイルコト」「ソウル」の長澤雅彦が映画化。出演は「GTO」の反町隆史、「刑務所の中」の山崎努、「ココニイルコト」の笑福亭鶴瓶、「船を降りたら彼女の島」の大杉漣、「幸福の鐘」の寺島進、「蛇イチゴ」の宮迫博之、「東京マリーゴールド」の 田中麗奈。

喧嘩相手を誤って死に至らしめ、3年の刑に服していた三上純一は4ヶ月の刑期を残して仮釈放された。そんな折、純一の服役していた刑務所の主任南郷が死刑確定囚の冤罪を晴らす調査に誘う。調査を依頼された仲介役の弁護士によると、死刑確定囚は事件直後の交通事故で記憶を無くしているが唯一思い出した「階段を昇っていた」という証言から階段を探す調査を開始。だが、これが更なる事件を招く。

どんでん返しの連続する真犯人探しの謎解きと、死刑という重いテーマを描いたミステリアスな人間ドラマ。反町隆史は、人を殺め心に深い闇を抱える青年という役で抑えた演技。今までハツラツとしたキャラクターを演じてきただけに、ちょっと無理がある。それに刑務所所長役に「刑務所の中」監督の崔洋一というのもテーマがテーマだけに不思議なキャスティング。その中でも一番強烈なインパクトを残すのが、死刑囚役の宮迫博之。彼は主役よりも印象に残る。

オフィシャルサイト: http://13kaidan.goo.ne.jp/

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2003年2月10日 by p-movie.com

ジャム・フィルムズ

7本立てオムニバス ★★★☆☆
[02/日]1h49 12月28日よりシネ・アミューズ&シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開

[製作]河井信哉
[監督]北村龍平 篠原哲雄 飯田譲治 望月六郎 堤幸彦 行定勲 岩井俊二
[脚本]高津隆一 渡部貴子 飯田譲治 望月六郎 三浦有偽子 行定勲 岩井俊二
[出演]北村一輝 山崎まさよし 大沢たかお 吉本多香美 佐々木蔵之助 妻夫木聡 広末涼子
[配給]アミューズピクチャーズ
[宣伝]樂 舎

[まったく類を見ない新しい形の競作映画:Jam Films]
毎年開催されている別所哲也企画の「ショートショート フィスティバル」の審査員をやった「スワロウテイル」「リング」「らせん」プロデューサーの河井信哉が、日本でいちばんイキのいい監督たちを集め映像パフォーマンスを披露させた企画もの。監督と俳優の豪華なコラボレーションも実現した。

オムニバス作品は、ふつう共通のジャンルやテーマが決まっているのだが、この作品には全くなし。それぞれの監督が自由に描いている。北村監督は長編映画のオチ部分だけに絞ったものだし、篠原監督は「月とキャベツ」から6年ぶりの山崎まさよしとホノボノ作。飯田監督はBS-iの開局ドラマで大沢たかおが出演したヴァージョンの続編のようなSFオバカもの。望月監督は「皆月」の吉本多香美でマニアックもの。堤監督は「チャイニーズ・ディナー」や新作でもお馴染みの、アパート1室での室エーション・コメディー。行定監督は高校時代の実体験を妻夫木聡で映画化。岩井監督は広末涼子のみを使ってファンタジー。オムニバスは上映の順番が大切だが、堤監督のは最初と最後に出来ないのでズルイ作品。

オフィシャルサイト: http://www.jam-films.com/

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2002年12月30日 by p-movie.com

刑務所の中

1週間くらいなら入って見たい? ★★★★☆
[02/日]1h33 12月7日よりシネクイントほか全国順次ロードショー

[製作]若杉正明
[原作]花輪和一(青林工嚢舎刊)
[監督]崔洋一
[脚本]崔洋一、鄭義信、中村義洋
[出演]山崎努 香川照之 田ロトモロヲ 松重豊 村松利史 大杉漣 遠藤憲一 椎名桔平 窪塚洋介
[配給]ザナドゥー
[宣伝]ザナドゥー

自身の刑務所体験を漫画に興し、発売以来多くの著名人から絶賛され現在も版を重ねる花輪和一の大ヒットコミック「刑務所の中」が遂に映画化!!メガホンを取るのは、「月はどっちに出ている」「犬、走る。DOG RACE」「豚の報い」などの日本映画界鬼才、崔洋一。出演は「13階段」の山崎努、「OUT」の香川照之、「御法度」の田ロトモロヲ、「SF/ホイップクリーム」の松重豊、「守ってあげたい」の村松利史、「船を降りたら彼女の島」の大杉漣、「女はバス停で服を着替えた」の遠藤憲一、「壬生義士伝」の木下ほうか、「マークスの山」の伊藤洋三郎、「化粧師」の椎名桔平 、「凶気の桜」の窪塚洋介、ほか榎戸耕史、林海象と映画監督も登場。

ハナワカズイチ。受刑者番号222番。銃砲刀剣類不法所持、火薬類取締法違反で懲役3年。そこで彼を待っていたのは……告発、脱獄、暴力一切なし、「刑務所」のイメージを覆す獄中ライフ。厳しい規律はあるものの、TVは見られるし雑誌だって読める。お正月にはおせち料理も出るし、食事も忘れることなく 3度3度きちんと出る。真綿でほんわり包まれたような毎日…。同房の4人、いや4匹との共同生活での他愛無い会話、懲罰房での袋張りの新記録達成など、些細な出来事はあるものの、シャバの事象は一切無縁。毎日が静かに過ぎていく…。

崔洋一監督で囚人もの。しかも個性的なキャストがこれだけ集まった作品で、どんな映画になっちゃうんだろうかと思ったんだが、これが本当にこんな刑務所あるのというくらい快適な生活。山崎努が、なんと楽しそうに演じていることか。よく寒さと飢えしのぎに塀の中に入ってしまう人がいるそうだが、この作品に登場する刑務所なら1週間くらい入って見たいと思ってしまう。だって料理映画に負けないくらい食べ物が美味しそうなんだもの。おせち料理も登場するし、正月映画になったのも納得。

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2002年12月9日 by p-movie.com