28 週後

2002年に公開された「28日後…」の続編。

出演は、ロバート・カーライル、ローズ・バーン、ジェレミー・レナー、ハロルド・ペリノー、キャサリン・マコーマック、マッキントッシュ・マグルトン、イモージェン・プーツ、監督は、「10億分の1の男」のファン・カルロス・フレスナディージョ。

少し未来のイギリス。感染すると凶暴性を引き起こし見境なく他の人間を襲うようになる、人間を激変させてしまう“RAGE(レイジ)”ウイルスが猛威極める中、ドンと妻のアリスは他4人の生存者と共に山荘に立て籠こもっていた。そんな暮らしの続くある日、戸を叩いて助けを求める子供の声がした。離ればなれの子供が恋しいアリスは、独断で子供を中に入れる。すると、彼を追ってきた感染者たちの強襲が始まった。逃げる住人たちが次々と犠牲となり、子供を必死で守りながら逃げるアリスも、つい退路を断たれる。そんな絶体絶命の妻の姿を目にしながらも、自分が生き抜くためにドンは彼女を見捨てる。そして感染者たちを振り切って、ただひとりボートで脱出を果たすのだった。
ウイルス発生から15日後、英国全土隔離。28日後、全土汚染。5週後、最後の感染者死亡。11週後、米軍主導のNATO軍派遣。18週後、感染の恐れなしと認定。24週後、復興計画開始。しかし“RAGE”は誰に知られることもなく、あるひとりの体内に潜伏していたのだ。そして「28週後…」。無情にも “人を愛すること”が引き金となって、再び目覚めた。

ウィルス感染して凶暴化した感染者達が、襲う人もいなくなり餓死して死滅した。事故から28週後に国外に逃げていた人達が戻ってくるが、特殊な遺伝子により感染したのに生き残っていた人が居たから、さあ大変。軍はその一角を閉鎖して焼き尽くそうとする。
規模も展開もパワーアップ。イヤー、これ凄すぎです。今まで見てきたこの手のゾンビ作品の中で、一番強烈だった。特に、ヘリコプターのあのシーンが…。よく、R−15でOKが出たもんだ。

101分 1月19日よりスバル座ほかにてロードショー

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2008年2月12日 by p-movie.com

ヘンダーソン夫人の贈り物

これがオンナの生き方 ★★★★
[原題] Mrs Henderson Presents
[05/英] 1h43 12月23日 Bunkamura ル・シネマ ほかにて全国順次ロードショー

[監督] スティーヴン・フリアーズ
[製作] ノーマ・ヘイマン
[脚本] マーティン・シャーマン
[撮影] アンドリュー・ダン
[音楽] ジョージ・フェントン
[美術] ヒューゴ・ルジック・ウィオウスキ
[衣装] サンディ・パウエル
[出演] ジュディ・デンチ、ボブ・ホスキンス、ウィル・ヤング、クリストファー・ゲスト、ケリー・ライリー、セルマ・バーロウ
[配給] ディーエイチシー
[宣伝] 樂社

オフィシャルサイト:http://mrshenderson.jp/

 時には英国女王陛下までも演じるジュディ・デンチ。彼女が70歳超えて、面白おかしくコメディとして成立させてしまったのは、実在した女性ローラ・ヘンダーソンの晩年を描いた人間ドラマである。

 1937年、ローラ・ヘンダーソン(ジュディ・デンチ)は夫を亡くし、残ったのは莫大な遺産だけ。
未亡人として今後の生き方を悩み、嘆き悲しむ。そんなある日、閉鎖されて古びたウィンドミル(風車)劇場が売りに出されているのを見て、思い切って買ってしまう。内装を施し、後は支配人を決めるだけ。そこで紹介されたのがショービジネスのプロ、ユダヤ人のヴィヴィアン・ヴァンダム(ボブ・ホスキンス)だった。当時のイギリスでは劇場経営者が上流階級の人間が決して多くない時代にヘンダーソン夫人は自らショービジネスの世界へ飛び込む。彼女は斬新かつ画期的なアイディアの持ち主でもあった。
経営不振になった時にでさえ、突如美女の裸体を演目の中に取り入れるという想像もつかないミュージカルまで上演したのである。
戦中となった時でさえも若い兵士たちがこぞって美しい女性たちを観に行くという盛況ぶり。
それは決して卑猥なモノではなく、華が咲いているように女性の姿が描かれる。
この世にこんなに美しいモノが他にあるのだろうか?と思える演出のやり方にも感激する。
 ドイツ軍に空爆に遭っていてもヘンダーソン夫人は劇場で上演を辞めない。その理由は劇中で描かれるのでネタバレはしたくないので伏せて置くが、そんな戦中に関わらず劇場での上演を無理にでも続けようとする姿勢こそが彼女の過去との人生を切り離せないモノだったのだ。そのバイタリティ溢れるヘンダーソン夫人の老後を観ているとこんな生き方があったんだ!と驚く女性が多いに違いない。女性が、最後まで女性であり女性を貫く生き方を見せ付けられた気がする。
実在したヘンダーソン夫人も、演じたジュディ・デンチも、やっぱり女性として生き抜いている。
ヴァンダム支配人演じるボブ・ホスキンスもとことんヘンダーソン夫人と喧嘩しながらも、自分の生き方を貫いて演出家として一歩も引き下がらない。
この二人の演技は、まさにコント仕様で大笑いせずには居られない。コメディなのに頑張る大人の姿はやはり感動的である。
(佐藤まゆみ)

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2006年12月19日 by p-movie.com

愛されるために、ここにいる

変わらない毎日から一歩踏み出すチャンス! ★★★

[原題] Je ne suis pas la pour etre aime
[05/仏] 1h33 12月16日 東京ユーロスペースにてロードショー!
[監督] ステファヌ・ブリゼ
[製作] ミレナ・ポワヨ、ジル・サクト
[脚本] ジュリエット・セイルズ、ステファヌ・ブリゼ
[撮影] クロード・ガルニエ
[音楽] クリストフ・H・ミュラー、エドゥアルド・マカロフ
[美術] ヴァレリー・サダジアン
[衣装] アン・ダンスフォード
[出演] パトリック・シェネ、アンヌ・コンシニ、ジョルジュ・ウィルソン、リオネル・アベランスキ、シリル・クトン、アンヌ・ブノワ、オリヴィエ・クラヴリ
[配給] セテラ・インターナショナル
[宣伝] セテラ・インターナショナル
オフィシャルサイト:http://www.cetera.co.jp/tango/index.html
(C)TS Productions

 2006年セザール賞3部門(主演男優賞・主演女優賞・助演男優賞)にてノミネートされた本作。一見、ダンスを通して初老の男性の生き甲斐になるかと思われがちなイメージが先行するが、あくまでもダンスがキッカケとして人生を見つめなおそうとする男の物語である。

 ジャン=クロードは父から引き継いだ執行官の仕事をこなす50歳を過ぎた男である。
裁判所命令に従い、家賃滞納をしている人へ強制退去の執行を行う役目だ。
あまり人に歓迎されるような仕事では無い為、彼自身が疲れ果てている。
更に毎週末には老人ホームに居る父親に面会し小言を聞かされながらも文句ひとつ言わずに帰る。
別れた妻との間に出来た息子に今の仕事を引き継がせようと思っているのだが、息子なのにまともに会話することも出来ずにいる。
そんな日々の中、事務所から見えるタンゴ教室の風景。習ってみたいと思ったジャン=クロードは思い切ってタンゴ教室に通い始める。
そこで出逢う若い女性、フランソワーズ。彼女はジャン=クロードを一目見て、古い知人だと解かり話しかけ、打ち解けていく。
久しぶりに女性とのタンゴを踊るジャン=クロードの心は自然と明るくなり恋にも似た感情が芽生える。
だがフランソワーズは数週間後に結婚する予定なのだ。フランソワーズは結婚までもうすぐ、という時期に婚約者の態度に不安感を抱えていた。
こんな状態を抱えている二人の人生が交差しはじめる…。

 孤独な50代のオジサンが自分の人生を振り返った時、既に取り戻せない過去だと諦め、仕方なく毎日を過ごす。
別れた妻との間に出来た息子にさえ、父親としてぎこちない会話しか出来ず、老人ホームにいる高齢の父親とも実際のところ会話が交わらない。
人間関係に幻滅し続けて生きている救いの無いオジサンにしか見えない。だが、一歩踏み出すきっかけとなるのがタンゴ教室である。
男女が向かい合い相手の身になって踊る練習を続ける主人公。彼は、このタンゴによって自分自身と向き合い、他人とも向き合うキッカケとなったのだろう。
人生をもう一度生きる為に歩き出す彼の今後に希望と明るさを予感させてくれる優しい仕上がりになっている。
(佐藤まゆみ)

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2006年12月19日 by p-movie.com

ライフ・イズ・ミラクル

どんな絶望的なときだって、生きて愛する力があればきっと奇跡はやってくる ★★★★☆
[04/仏・セルビア=モンテネグロ]2h34 7月16日よりシネスイッチ銀座ほかにて全順次ロードショー

[製作]エミール・クストリッツァ
[監督]エミール・クストリッツァ
[脚本]エミール・クストリッツァ
[出演]スラヴコ・スティマチ、ナターシャ・ソラック、ヴク・コスティッチ、ヴェスナ・トリヴァリッチ、アレクサンダー・ベルチェク
[配給]ギャガ・コミュニケーションズGシネマグループ
[宣伝]ギャガGシネマ×オフィスエイト

[Zibot Je Cude/Life is a miracle]
カンヌ映画祭で、審査委員長をしていた「黒猫・白猫」「アンダーグラウンド」のエミール・クストリッツァ監督のせつなくもあたたかいラブストーリー。出演は「アンダーグラウンド」のスラヴコ・スティマチ、「ユリシーズの瞳」のヴェスナ・トリヴァリッチ、「歌っているのはだれ?」のアレクサンダー・ベルチェク。

これは、紛争下、本当に起きた出来事をもとにした物語。1992年ボスニア。村に鉄道を引くために今日ものんびり仕事にでかけていくセルビア人のルカ。そんな彼の生活も紛争の勃発で一変。息子ミロシュが徴兵に取られてしまった。悲しみながらも一人のんきに暮らすルカ。そんなある日、ルカのもとに美しいムスリム人女性、サバーハが現れた。奇妙な同居生活を送るうち彼女とルカのあいだには、いつしか愛が芽生えていく。美しい自然の中、愛を育む2人。しかし幸せな日々は長くは続かなかった。捕虜として敵国に捕らえられてしまったミロシュ帰国の交換条件が、ムスリム人捕虜であるサバーハとの交換だったのだ。ミロシュを取り戻すためには、サバーハを手放さなければならない。愛する女性か?息子か?苦渋の選択を突きつけられたルカは…。

紛争下、本当に起きた出来事をもとにした物語。戦争映画だというのに、まったく暗くないのがいい。何よりも素晴らしいのが、動物たちの演技。なかでも、失恋して自殺しようとしていつも線路に立っているロバが素晴らしい。もちろん、ルカとスリムの恋愛模様も魅力的で長さは全く感じなかった。

オフィシャルサイト:http://www.gaga.ne.jp/lifeismiracle/

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2005年7月19日 by p-movie.com

ダニー・ザ・ドッグ

お前は夢を見たことないだろう ★★★☆☆
[04/仏・米]1h43 6月25日より丸の内プラゼールほか全国松竹・東急系にてロードショー

[製作]スティーヴ・チャスマン
[監督]ルイ・レテリエ
[脚本]リュック・ベッソン
[出演]ジェット・リー モーガン・フリーマン ボブ・ホスキンス ケリー・コンドン
[配給]アスミック・エース
[宣伝]メディアボックス

[Danny the dog:全仏公開2004年9月22日 全米公開2005年5月13日]
ベッソンとジェッド・リーが「キス・オブ・ザ・ドラゴン」に続いてタッグを組んだ第2弾。共演は「バットマン ビギンズ」のモーガン・フリーマン、「スーパー・マリオ」のボブ・ホスキンス、「ダブリン上等!」のケリー・コンドン。監督は「トランスポーター」のルイ・レテリエ。

5歳の時に母親から引き離され、過去を失い、悪漢バートに育てられたダニー。彼はバートの金儲けの道具として、闘うことしか知らずに生きてきた孤独な殺人マシーン。首輪をつけられ、地下に閉じ込められて生きてきた。彼の心を動かす唯一のものはピアノ。ピアノによる旋律の記憶が頭から離れない。ある日、盲目のピアニスト、サムと出会う。音楽に触れ、サムと彼の養女ヴィクトリアとの交流を通し、ダニーは初めて人を愛することを知る。そして明かされるダニーの母親を巡る衝撃の過去。ダニーの命を賭けた最後の闘いが始まろうとしていた。

ジェット・リー=アクション=男の世界みたいな流れが出来ているが、この作品はぜひ女性に見て欲しい作品。犬のように育てられた闘う事しか知らない孤独な男が、人間らしさを取り戻していくという本当にベッソンが書いたの?というヒューマン・ドラマでもあるから。多分、初めてになると思うがジェッド・リーの淡いラブシーンもあるので、デートムービーとしてもお勧め。

オフィシャルサイト:http://www.dannythedog.jp/

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2005年6月27日 by p-movie.com