ベニスで恋して

人生楽しまなくちゃねぇ ロザルバ! ★★★★☆
[00/イタリア・スイス] 1h55 12月23日よりシャンテシネにてロードショー

監督:シルヴィオ・ソルディーニ
製作:ダニエレ・マッジョーニ
出演:リーチャ・マリエッタ  ブルーノ・ガンツ ジュゼッペ・バッティストン
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
宣伝:リベロ・DML フィルムズ

映画「ベニスで恋して」は、2000年イタリア・アカデミー賞(ダヴィッド・デイ・ドナッテロ賞)で作品、監督、脚本など9部門!で最優秀賞を独占。イタリアで2000年最も愛されたラブストーリーです。
監督、脚本のシルヴィオ・ソルディーニは、日本初登場。90年の長編映画デビュー以来心理劇をとり続けてきた彼が今回は一転してラブコメに挑戦。古きよき時代の名画のようにハートフルかつ、日常生活の些事を愛情と洞察力をもって映す演出力に多くの賞賛が寄せられ、イタリアの映画賞を総なめにしたのです。主演のロザリバにはリーチャ・マリエッタ。舞台、映画で活躍する人気女優、本作のチャーミングな演技で多くの映画賞に輝く。彼女と恋に落ちるフェルナンドには、「ベルリン・天使の詩」「永遠と1日」の名優ブルーノ・ガンツが大人のおとぎ話に深いリアリティをあたえています。

陽気な主婦ロザルバ。夫は口うるさいし、思春期の息子は扱いづらいが、イタリア中東部の町、ペスカーラで平穏な日々を送っています。
ところがバス旅行の途中でトラブル続出、家族とはぐれ、ひょんな思いつきで憧れの街ベニスへ。まぁいいや!ってわけで家族には「休暇を楽しみます!」と手紙を出して自由を満喫。久しぶりのお洒落、おいしい食事、花屋でのバイト。大好きだったアコーディオンを弾いたり、といった毎日を過ごしているうちに結婚して錆び付いていた心が動き出し、よろこびを隠しきれない! そんな中でフェルナンドに出会ってしまう彼女。恋?でも結婚してるし? 何なのこの感情は?さてさてバカンスはいつか終わるモノ! どうなるんでしょうこの2人・・・。

最初は「あー、おばさんね。40半ばって感じか」と冷静に見ていた私もそのうちに「何か可愛いじゃんこの女!」なんて思う始末。確かにチャーミングな演技はいいねー。個人的にも抱きしめたくなっちゃた。年齢に関係なく”ときめく心”を持つことで人生がいかに豊かにすばらしいものとなって行くかを、ユーモアと切なさを絶妙にブレンドして描いた作品です。見終わって心がウキウキする楽しい作品。見逃してはいけませんよ。

.

カテゴリー: ヨーロッパ | 映画レビュー

2000年12月23日 by p-movie.com

趣味の問題

あなたも味見係になる? ★★★☆☆
[00/仏] 1h30 11月18日より新宿シネマスクエアとうきゅうにてロードショー

原作:フィリップ・バラン
監督:ベルナール・ラップ
脚本:ベルナーレ・ラップ ジル・トラン
出演:ベルナール・ジロドー ジャン=ピエール・ロリ フロランス・トマサン
配給・宣伝:クレストインターナショナル

フランス映画祭横浜2000で上映された「趣味の問題」が早くも劇場公開される。監督は、テレンス・スタンプ主演の「私家版」で本が人を殺すという新しい心理サスペンスを仕上げたベルナール・ラップ。今回もいかにもフランスらしい、一味違った心理サスペンスを披露している。本作は、フランスコニャック国際ミステリー映画祭にてグランプリをはじめ賞を獲得している。

国際的な化粧品会社を経営している経済界の有力者フレデリックは三ツ星レストランも敬服させる美食家。全てに洗練された趣味を持ち、財産も権力も名誉も得て、まさに成功の頂点にいる。そんなフレデリックは、レストランで給仕をするニコラに出会う。的確な言葉で料理を表現するニコラを気に入ったフレデリックは彼を試食用の味見係にと多額の報酬を提示する。金持ちの道楽だと思ったニコラは軽い気持ちで受け入れた。フレデリックと共に行動して彼の嫌いなものが料理に含まれていないかを確かめたり、接客する相手に勧めるメニューを決めたりとニコラには有意義な仕事であったが、研修と称して別荘での泊り込みによる味のわかる舌を持つ訓練で、ニコラはフレデリックの嫌いな物を食べないことを命ぜられる。それは全ての趣味を共有するという完璧なもう一人の自分になる事を欲するというフレデリックの願望であった。そしてニコラに料理の試食だけではなく、ありとあらゆる味見をさせるようにエスカレートしていった。

何でも言葉にして表現しないと気がすまないフランスならではの作品。何の迷いも疑いもなく完璧なソックリサンと化していくニコラに何処までのめり込めるかでこの映画の見方が変わってくると思う。ミステリー作品というより、自分はブラックコメディーとして楽しめました。

.

カテゴリー: ヨーロッパ | 映画レビュー

2000年11月20日 by p-movie.com

サルサ!

音楽のミューズが恋と夢を叶えてくれる ★★★★☆
[99/仏・スペイン] 1h40 8月12日よりシネスイッチ銀座にてロードショー

監督・脚本:ジョイス・シャルマン・ブニュエル
出演:ヴァンサン・ルクール クリスティーヌ・グゥ
配給:コムストック/キネティック
宣伝:キネティック

ヴィム・ヴェンダース監督の音楽ドキュメンタリー「ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ」の大ヒットにより、ブレイク中の情熱的でノスタルジックなキューバ音楽映画がまたも登場。ラテン音楽に魅了されたフランスの若き天才ピアニストと、サルサにより思いがけないもう一人の自分に気付いたキューバ生まれのパリジェンヌの恋と情熱の物語。出演は「フランス横浜映画祭」で来日して叶姉妹に挟まれていたヴァンサン・ルクール。

クラシック音楽の世界で将来を有望視されていた若き天才ピアニストのレミはラテン音楽に魅了され、音楽学校を飛び出して知り合いのキューバ・バンドに参加させてほしいと頼むが、お客が望んでいるのはチョコレート(黒人)で、レミはバニラ(白人)だからと断られてしまう。しかし、諦めきれないレミは自分の肌をチョコレート色にしてモンゴという名前でパリっ子向けにサルサのダンスレッスンをする仕事を得る。そのダンスレッスンでお堅い家庭に育ったナタリーと出合う。ナタリーは高級官僚と婚約している地味なパリジェンヌだが、サルサの魅力に取りつかれセクシーで美しく大胆になっていく。ナタリーはサルサコンテストの人種混合部門に出場するためにレミにパートナーになって欲しいと誘うが、エントリーにはIDカードが必要だし、ナタリーに惹かれているのはモンゴとしての自分であるのだが、レミはナタリーになかなか本当のことを言えない。

主人公が別人に変身するというストーリーは最近流行しているし、地味な女性が情熱的なラテンの女性に変わって行くというパターンは予想通りだが、そんなことはお構いなし。音楽映画はノリがよくて楽しければOK。「ナビィの恋」のような、おじいちゃんとおばあちゃんの恋のエピソードもあり、幸せな気分にさせてくれる。

.

カテゴリー: ヨーロッパ | 映画レビュー

2000年8月14日 by p-movie.com

ルナ・パパ

不思議の国のファンタジー ★★★★☆
[99/独・オーストリア・日本] 1h47 7月29日よりシネスイッチ銀座にてロードショー

監督:バフティヤル・フドイナザーロフ
出演:チュルパン・ハマートヴァ モーリッツ・ブライトプトロイ アト・ムハメドシャノフ
配給・宣伝:ユーロスペース

「少年、機関車に乗る」や「コシュ・バ・コシュ~恋はロープウェイに乗って」のバフティヤル・フドイナザーロフ監督の中央アジアのタジキスタンを舞台にしたドタバタ・ファンタジー作品。昨年の東京国際映画祭芸術貢献賞受賞している。出演はロシアで活躍している女優チュルパン・ハマードヴァ、兄に「ラン・ローラ・ラン」のローラの恋人役モーリッツ・ブライプトロイ、父にタジキスタンの映画俳優アト・ムハメドシャノムと国際色豊かな組見合わせ。

中央アジア・タジキスタンの小さな村、ファル・フォール。土埃が舞い上がり、流れ弾であっけなく人が死んでしまう村に女優を夢見るマムラカット(チュルパン)は戦争で頭のおかしくなった兄(モーリッツ)と厳格な父(アト)と3人で暮らしていた。村にシェークスピア劇が来るのを楽しみにしていたマムラカットだったが、父と一緒に兎を売りに行く途中で戦車に乗る偵察隊の兵士の慰問に捕まり、戻るのが遅くなって劇を見損ねてしまう。がっかりした彼女は月明かりの森の中へ引き込まれて、役者を名乗る男と出会う。そして不思議の国のアリスが穴に落ちていくように、顔もよく分からない旅役者の一員と崖から滑りながら結ばれるのだった(このシーンはなかなか印象的)。お腹に子供を宿したマムラカットは父親に告白するが、激怒した父は責任をとらせるために名前も分からない相手の男を探すことに。かくして一家3人の父親探しが始まった。

このあともエピソードはひっきりなしに続くのだが、これは見てのお楽しみ。特にラストのオチには誰もが驚くだろう。スクリーンからみなぎるパワーがファンタジックな物語を盛り上げていて「黒猫・白猫」のようなドタバタハチャメチャ映画の好きな人は見逃せない作品。

.

カテゴリー: ヨーロッパ | 映画レビュー

2000年7月30日 by p-movie.com

クリクリのいた夏

この夏、見逃せないほのぼの作品 ★★★★★
[99/仏] 1h55 7月8日よりBunkamura ル・シネマにてロードショー

監督:ジャン・ベッケル
出演:ジャック・ヴィユレ ジャック・ガンブラン アンドレ・デュソリエ ミシェル・セロー
配給・宣伝:シネマパリジャン

1930 年代のフランス片田舎マレと呼ばれる沼地に住む人々の生活を描いた幸せな気持ちにさせてくれる作品。監督は「殺意の夏」「エリザ」のジャン・ベッケル。主人公ガリスに今村昌平の「カンゾー先生」に出演していたジャック・ガンブラン。隣人リトンに「奇人たちの晩餐会」(「Webパーフェクト・ムービー・ガイド」にレビューあり)のジャック・ヴィユレがまたもや少しオツムが弱い役で登場している。タイトルのクリクリとは、リトンの末娘の名前で成長して幼い日の思い出を語る構成になっている。本国では200万人を動員するビッグ・ヒットを記録している。

独り者のガリスとリトンの家族は、マレの畔で生活をしていた。ガリスは大戦の復員兵で戦場で受けたショックからまだ心の傷が癒えない。彼は戦場から引き上げる途中、偶然この沼地を通りかかったときに家の前で苦しんでいる老人を助けて最期を看取ったことから、何となしに暮らし始めた。2人は、コンビを組んで鈴蘭でブーケを作ったりキノコやカタツムリを売ったり、金持ちでエレガントなアメデの紹介で上品なマダムの庭の手入れをして日々の糧を得ていた。ある日、沼にお爺さんと孫がやって来る。お爺さんはかつてはマレに住んでいたペペと孫のピエロで、ペペは事業を成功させて大金持ちになっていたが沼での生活を懐かしんで訪ねてくるようになり、ピエロもクリクリと仲良くなっていった。そんな平穏な日々も束の間、リトンのせいで監獄へぶち込まれていたボクシングのチャンピオンが出所して、リトンに復讐しにやってきた。

「奇人たちの晩餐会」のジャック・ヴィユレのオバカ演技が、また見れるというだけでも嬉しくなってしまう作品。彼らの暮らしぶりは決して豊かではないが、自由に時間を謳歌しているのと温かい人々のふれ合いを見ていると自分の心も浄化されて幸せな気持ちにさせてくれる。この夏は、何が何でも見てほしい作品。

.

カテゴリー: ヨーロッパ | 映画レビュー

2000年7月10日 by p-movie.com