バイオハザード

悪夢のようなサバイバル戦 ★★★☆☆
[02/独・英・米]1h41 8月31日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にて全国ロードショー

製作:ポール・アンダーソン ジェレミー・ボルト ベルント・アイヒンガー サミュエル・ハディダ
原案:カプコン「バイオハザード」
監督:ポール・アンダーソン
脚本:ポール・アンダーソン
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ ミシェル・ロドリゲス エリック・メビウス ジェームズ・ピュアフォイ
配給:アミューズピクチャーズ
宣伝:アミューズピクチャーズ

[アクロバティックなアクション・ムービー:Resident Evil]
世界中で2,000万本を超える売上を記録した同名ゲームシリーズの映画化で、早くもシリーズ化決定。「モータル・コンバット」「イベント・ホライゾン」「ソルジャー」のポール・アンダーソン監督は、トム・クルーズ製作・主演最新作『Death Race 3000』や「エイリアンVSプレデター」に指名されている。全米では「アイスエイジ」に次ぐ興行成績第2位でスタートし、ヨーロッパでは初登場1位となったフランスを筆頭に、ドイツ、イタリアなどで好成績をあけ、アジアでもシンガポール、マレーシアで興行成績1位を獲得するなど、全世界的に旋風を巻き起こしている。出演は「フィフス・エレメント」「ジャンヌ・ダルク」のミラ・ジョヴォヴィッチ、「ガールファイト」「ワイルド・スピード」のミシェル・ロドリゲス、「クルーエル・インテンションズ」のエリック・メビウス、「ロック・ユー!」のジェームズ・ピュアフォイ。

21世紀初頭、巨大企業アンブレラ・コーポレーションが技術の粋を尽<して地中深くに作り上げた超近代的秘密研究所ハイブ。ここで開発中のウィルスが何者かの手によって空気中に漏洩するという事件が発生した。メインコンピューターは汚染が地上に拡大するのを防ぐために研究所を封鎖。これによって500名以上の所員の生命が失われた。アンブレラ社はコンピューターをシャットダウンするために、少数精鋭の特殊部隊を派遣。だが、ハイブに進入した彼らを待っていたのは、ウィルス汚染によって見るも無残な生ける屍“アンデッド”と化した所員だった!!

ゲーム版の世界観を継承しながらも、まったく新しいキャラクターによるオリジナル・ストーリーで、ゲームファンにもゲームを知らない観客にも広くアピールするエンタテインメント映画に仕上がっている。構成は主人公たちと観客が同じ立場に立ち進行していき、徐々に内容が分かっていくスタイル。様々な仕掛けが用意されているので、あまり情報を詰め込まないで鑑賞あれ。

オフィシャルサイト: http://biohazard-movie.jp/biohazard/

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2002年9月2日 by p-movie.com

この素晴らしき世界

チェコから届いた珠玉の感動作 ★★★★☆
[00/チェコ]2h03 6月29日より岩波ホールにてロードショー

製作:オンドジェイ・トロヤン
監督:ヤン・フジェベイク
原作:ペトル・ヤルホフスキー(集英社刊)
脚本:ペトル・ヤルホフスキー
出演:ボレスラフ・ポリーフカ アンナ・シィシェコヴァー ヤロスラフ・ドゥシニク チョンゴル・カッシャイ
配給:大映株式会社
宣伝:大映(株)宣伝部

[やさしく慈しむ感動作:MUSIME SI POMAHAT(私たちは共に助けあわねば)]
チェコからやって来た戦争という冬の時代に懸命に生きる人々の姿を柔らかな眼差しでとらえた珠玉の感動作。チェコ国内の主要な映画賞をすべて独占して大ヒットを記録。作品の評判はヨーロッパ中に拡がり、アメリカではアカデミー賞最優秀外国語映画賞にノミネートされた。出演者はチェコとスロバキアのベテラン俳優が結集し、ボレスラフ・ポリープカはチェコのコメディアン、アンナ・シィシェコヴァーはスロバキアの劇場出身、ヤロスラフ・ドウシェクは即興の名人として知られ、チェコ映画の脇役に欠かせない存在、チョンゴル・カッシャイは、スロバキア出身の俳優。またチェコ映画の伝説的俳優であり、数々の賞を受賞しているシモナ・スタショヴァーとイジー・ペハ、イジー・コデットが脇をかためている。監督のヤン・フジェベイクは発表した3本の長編劇映画全てが権威あるチェコ・ライオン賞を受賞した、世界の注目する新鋭。

第二次世界大戦下、戦場から遠く離れたチェコの小さな町にもナチスの影が忍び寄る。ある日、子宝に恵まれない夫婦ヨゼフとマリエは、収容所から逃げてきたユダヤ人青年ダヴィトを匿うことになる。ダヴィトはヨゼフのかつての上司の息子だった。この家に出入りするナチスシンパのホルストは、マリエに横恋慕していた。ホルストは隠し事をしているような夫婦の様子に疑いを持ち始める。ホルストは夫婦を試すかのように部屋を貸して欲しい人を寄越した。そこでマリエは、自分が妊娠していて生まれる子供のために部屋は空いていないと嘘をつく。ホルストは夫婦に子供が出来ないのは、ヨゼフに原因があることをうすうす感づいていた。崖淵に立たされたヨゼフは絶望の末にある策を考える。そして、ダヴィトに頼みマリエを本当に妊娠させようというのだ。嫌がる二人を説き伏せるヨゼフ。マリエとダヴィトは生き延びるためにこの運命を受け入れなければならなかった。だがマリエが臨月を迎えた頃、ナチスの勢力が弱まってしまう。突然産気づいたマリエに、慌てたヨゼフは医者を求めて町をさまよう。そこでホルストが捕らえられているのを偶然見つけたヨゼフは、彼を妻の主治医だと偽り、助け出そうとするのだが・・・。

チェコがナチス支配から解放されるまでの厳しい歳月、人々が生き抜いてゆく姿を描いた作品。思いテーマになりがちな題材だが、笑いと涙をまじえて敵と味方を隔てることなく、可笑しくて哀しくもある人間の行いをやさしく慈しむ。特に物語佳境での畳み掛けるストーリー展開には大笑い。役名のヨゼフとマリエは、イエス誕生のヨセフとマリアで、ダヴィトはダビデと聖書から付けられている。

オフィシャルサイト: http://www.daiei.tokuma.com/kono-suba/

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2002年7月1日 by p-movie.com

アザーズ

その“アザーズ(存在)”が見えた時、全てが解る ★★★★☆
[01/米・スペイン・仏]1h44 4月27日より丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系にてロードショー

製作:フェルナンド・ボヴァイラ ホセ・ルイス・クエル ダサンミン・パーク
監督:アレハンドロ・アメナーバル
脚本:アレハンドロ・アメナーバル
出演:ニコール・キッドマン フィオヌラ・フラナガン クリストファー・エクルストン
配給共同:ギャガ・ヒューマックス
宣伝:リベロ ビー・ウイング

[ミステリアスなゴシック・ホラー:The Others]
弱冠23才で発表した長篇デビュー作の「テシス・次に私が殺される」では、スペインの歴代興行収入No.1を記録。次の作品「オープン・ユア・アイズ」では、第11回東京国際映画祭で見事グランプリを獲得し、「バニラ・スカイ」としてリメイクされた。そんなアレハンドロ・アメナーバル監督が、トム・クルーズのエグゼクティブ・プロデューサーでハリウッドに進出した作品が、ゴシック・ホラーの「アザーズ」。出演は「ムーラン・ルージュ」のニコール・キッドマン、「ウェイクアップ!ネッド」のフィオヌラ・フラナガン、「60セカンズ」のクリストファー・エクルストン、「フェリシアの旅」のエレーン・キャシディ。

1945年第二次世界大戦末期の英国・チャネル諸島のジャージー島に暮すグレースは、娘アンと息子ニコラスとの3人暮らし。夫は1年半前に前線に行ったきり戻っていない。ある日、突然使用人達がいなくなってしまった広大な屋敷の中で、親子は孤独な日々を送っていた。そこに、突然訪問者がやってくる。ミセス・ミルズと口の聞けないリディア、そして庭師のミスター・タトルの3人だ。地元の新聞社に使用人募集の広告を載せていたグレースは3人を屋敷へ招き入れ雇う事にする。やがて家の中で他人の足音や話し声が響き渡り、ピアノが独りでに鳴りだすと言う怪異現象が頻繁に起き始める。占領下の5年間ナチさえ一歩も入れなかったこの屋敷に誰かが勝手に侵入しているとしか思えない。ある日グレースはポストに残った求人広告を発見た。5日前に新聞社に出したはずの手紙が残っていた。ミセス・ミルズはグレースに飛び込みで使用人に雇ってもらいに来たのだと明かすのだが・・・。

グレースの子供達は日光に対するアレルギー体質で、太陽光線を浴びる事が出来ない。その為子供達のいる部屋は日中でも分厚いカーテンを閉め切っていて、日の光が室内に漏れないので部屋は薄暗い。そして各部屋のドアはその都度必ず鍵をかけてから次のドアを開けなければならない。家の中では静寂を重んじる為に電話もラジオも無く、音楽室のピアノは鍵をかけたまま誰も触る事が出来ない状態にしていなければならないというルール。設定は、これだけなのに充分に怖い。そしてラストの「シックス・センス」レベルのオチ。これは、おすぎさんが宣伝しなくても絶対にヒットするでしょう。オチのヒントは、何故に1945年なのか?

オフィシャルサイト: http://www.others-jp.com/

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2002年4月27日 by p-movie.com

ヒューマンネイチュア

みんな自然に帰ろうよ ★★★★☆
[01/米・仏] 1h36 3月9日より恵比寿ガーデンシネマほかにてロードショー

製作:スパイク・ジョーンズ チャーリー・カウフマン アンソニー・ブレグマン テッド・ホープ
監督:ミシェル・ゴンドリ
脚本:チャーリー・カウフマン
出演:パトリシア・アークエット リス・エヴァンス ティム・ロビンス ミランダ・オットー
配給:アスミック・エース エンタテインメント
宣伝:アスミック・エース

[哲学的風刺コメディー:Human Nature]
「マルコヴィッチの穴」で話題をかっさらった脚本家のチャーリー・カウフマンの2作目。今回も奇想天外なコメディーだ。主演は「トゥルー・ロマンス」のパトリシア・アークエット、「ノッティングヒルの恋人」のリス・エヴァンス、「監視 サベイランス」のティム・ロビンスの3人、ほか「ホワット・ライズ・ビニース」のミランダ・オットー、「ジャッキー・ブラウン」のロバート・フォスター、「あなたに降る夢」のロジー・ペレス。監督はミュージックビデオ&CM業界で活躍していたミシェル・ゴンドリ。

小さな頃からホルモンの病気で全身が毛だらけだが美しい動物学者のリラは、大自然に心を癒されて森に住み本を執筆してベスト・セラーに。小さい頃からの躾で強迫観念に取りつかれれ、ネズミにテーブル・マナーを教えているネイサン博士と恋に落ちた。ある日、二人は森で精神の異常な父親に野生で育てられた野生児と遭遇。パフと名付けられたサル男は、ネイサンの研究所でテーブル・マナーを躾られる。だが、アシスタントにネイサンを寝取られたリラは、紳士にまで成長したパフを自然に帰し、彼の自由を守ろうとする。

「マルコヴィッチの穴」と同じく奇妙な恋愛の三角関係かと思いきや、今回は四角関係。「ターザン」や「北京原人」を連想させるが、自然も文化も理想だとしている文明社会の気まぐれさや人間が抱えるコンプレックスを味付けして、またまたシビレル作品に仕上がった。なんといってもリス・エヴァンスとパトリシア・アークエット の服を脱いでの体を張った演技は驚き。有名スターもスパイク・ジョーンズやチャーリー・カウフマンと関わってしまうと、とんでもない道化者になってしまう。恐るべし。

オフィシャルサイト: http://www.nifty.ne.jp/forum/fcinema/index.htm

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2002年3月11日 by p-movie.com

落穂拾い

フランスに残存する伝統を発掘する旅 ★★★★☆
[00/仏] 1h22 2月9日より岩波ホールにて独占ロードショー

製作:アニエス・ヴァルダ
監督:アニエス・ヴァルダ
出演:アニエス・ヴァルダ
配給:ザジフィルムズ
宣伝:ザジフィルムズ

セザール賞特別名誉賞受賞のドキュメンタリー:Les Glaneurs et la glaneuse

「5時から7時までのクレオ」「幸福」「冬の旅」「カンフー・マスター」「百一夜」のアニエス・ヴァルダ監督が、社会的テーマを追ったドキュメンタリー映画で、監督自身を描く映像誌の傑作。新しい小さなデジタル・カメラを手に入れた監督が、道路の落ちているものを拾う人達を見て、田舎ではまだ落穂拾いをしているのか疑問にかられ旅に出る。

この旅には、様々な落穂拾いが登場する。規格外や収穫後で市場に出せない野菜や果物で生活する人達や若きシェフ。市場の閉まる頃に手付かずの捨てられた商品を拾う人達。廃品やゴミを集めてオブジェを作る美術家等々。さすらいのロード・ドキュメンタリーである。

日本でも夜逃げや倒産した物を、綺麗にしたり修理して売っているリサイクルショップ。結婚式の欠席者に代打出席して食事をゲットしたり。好きな人のゴミをコレクションするストーカーを描いた「東京ゴミ女」と面白い落穂拾い映画が出来そう。でも、この映画自体が“落穂拾い”なんだよね。

オフィシャルサイト:

http://www.zaziefilms.com/lineup/ochibo_hiroi/index2.html

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2002年2月11日 by p-movie.com