デッド・アウェイ バンコク大捜査線

ここでは正義も悪になる! ★★★★☆
[99/タイ]1h50 2001/2/3よりキネカ大森にて爆裂ロードショー

監督:チャルーム・ウォンピム
出演:ドーム・ヘータクン スパコーン・キッスワン ピーター・ルイス・マイオックス
配給:ファインアーツ・エンタテインメント

 タイへ旅行したことがある人はわかると思うけれど、「暑い!」国である。日本のねっとりした暑さとは違い、爽やかな風と共に暮らす人々の笑顔が熱い国なのだ。そんなホットなタイから来た本作はまさに超ホットなアクションで観客を沸かしてくれる!

物語は警察官であるゴン(!名前が可愛い)がお金の為にしているアルバイト(していいのか?)で要人のボディガードをすることから始まる。アルバイトしているおかげで色々な怪しい情報を同僚で友人の特殊部隊のヌイに流すこともちゃっかりと忘れないという普通の人間だ。それにより麻薬密輸現場もしっかりと押さえ、犯人逮捕なんてしちゃうんだから大したもの。これで”めでたし、めでたし”って終わればいいけど、終わりません!更にこの事件から犯罪が勃発しちゃうのだが、それから本当の「悪人」がゾロゾロと出現!次々と簡単に人を殺してしまう悪人たち。いったいコイツらは何なんだ?!とムカツク私をよそに、次々と今回の麻薬密輸事件の隠された真実が見えてくる。その間には、激しい銃撃戦、タイの町を走り抜けるカーアクション、ハリウッド映画以上の火薬を使った爆発など手に汗を握るほどの大袈裟な仕掛けがたっぷり。

タイの街が壊れちゃうよ、と嘆くほど激しい!寒い冬を本作の二時間弱のドラマで熱いアジアを体験したら気分爽快!になること間違いナシ!

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カテゴリー: アジア | 映画レビュー

2001年2月1日 by p-movie.com

ただいま

いつもあなたのことを思ってました。 ★★★☆☆
[99/中・伊] 1h29 12月30日よりテアトル池袋にて正月感涙公開中

監督:チャン・ユアン
製作:チャン・ユアン
脚本:ユー・ヒュア ニン・ダイ ジュウ・ウェン
出演:リウ・リン リー・ビンビン リー・イェッピン リアン・ソン
配給:K2エンタテイメント
宣伝:K2エンタテイメント

「クレイジー・イングリッシュ」のチャン・ユアン監督が、家族愛をテーマに描いたヒューマン・ドラマ。「あの子を探して」とともに、99年のヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(最優秀監督賞)受賞と中国映画のワン・ツー・フィニッシュを飾っている。出演は日本での登場がこれが初だが中国では映画出演が続いているリウ・リンに「赤い薔薇 白い薔薇」のリー・ビンビン。ほかは現実感を出そうと全て映画初出演者で固めている。脚本のひとりニン・ダイは監督の奥様。

16 歳のときに些細な事で血の繋がらない姉を殺してしまったタウ・ランは、17年の禁固刑に服していた。模範囚として特別に仮釈放を許されたタウ・ランであったが、彼女は気が重かった。家族へ手紙を出しても返事が来なかったからである。案の定、家族の迎えがなかったタウ・ランは駅で途方に暮れていると、出身地が同じだった私立刑務所主任のシャオジェと会う。彼女はタウ・ランを故郷まで送り届けることにするが、だがタウ・ランが少女時代に住んでいた家は無くなっていた。タウ・ランは家族との再会を果たして両親と和解することが出来るのだろうか。

今まで社会派の問題作や過激なドキュメンタリー作品などで国内上映禁止処分を受けたりと何かと話題だったチャン・ユアン監督とは思えない、ほのぼのとした作品。だが、残念なのがタウ・ランが服役していたシーンが、ほんのちょっとしかなかった事、この辺が中国映画と韓国映画の違うところだろうか。もう少し服役シーンでの説明があれば、タウ・ランへの感情移入がもっと早くできたと思うのだけど。資料を読んでみるとこの作品が、中国刑務所内部にカメラが入ることを政府に許された最初だという事でこれがまだ限界だったのだろうか。
でも今回の正月映画の中では、しみじみと感涙できる作品です。

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2001年1月8日 by p-movie.com

春香伝

韓国伝承のラブ・ストーリー  ★★★★☆
[00/韓] 2h00 12月9日より銀座シネ・ラ・セットにてロードショー

監督:イム・グォンテク
脚本:キム・ミョンゴン
出演:イ・ヒョジョン チョ・スンウ イ・ジョンホン
配給:シネカノン
宣伝:ベイサイド・オフィス

「将軍の息子」シリーズや、「太白山脈」が先頃正式に劇場公開されたイム・グォンテク監督が18世紀から語り継がれてきた恋物語をパンソリと呼ばれる、物語と歌を組み合わせた韓国の伝統芸能によって構成した。「風の丘を越えて 西便制」を見た人ならご存知だと思うが、パンソリとはパン(場)、ソリ(声、音)として表現する伝統の音楽で、日本の民謡や演歌にも通じたもの。物語は何度も舞台化や映画化が繰り返されてきているが、パンソリによって全編が歌い継がれたのは本作が初めて。主演の2人は激戦のオーディションで選ばれた映画初出演となるイ・ヒョジョンとチョ・スンウ。

李朝時代に父の赴任に従って暮らしていた代官の息子である夢龍(スンウ)は、勉学ばかりに嫌気がさして憂さ晴らしに出掛けると、そこで偶然にも春香(ヒョジョン)を見て一目で心を奪われる。彼女は平民の身である自分を正式に妻に迎えてくれる条件で彼を受け入れ、夢龍も念書を書いて心が永遠に変わらぬ事を誓う。しかし、父の昇進に伴い夢龍も付いていくことになり、二人は再会を誓いながら別れた。季節が変わり新しい長官が来た。長官は春香の美しさを聞きつけ、そば仕えを強要するが結婚の約束を結んだ以上はとかたくなに拒むと、長官は反逆罪の濡れぎぬを着せて拷問を加えて投獄してしまう。その頃、夢龍は科挙試験に見事主席で及第してある調査のために乞食に変装して、春香が処刑される日に戻ってくる。

身分の違いを乗り越えて恋を成就させる「ただ一人の相手を愛し抜く」というヒロインに誰もが共感すること間違いなし。どことなく色んな作品が混ざったような内容だけど多分こちらがオリジナルなんだと思うと韓国の文化は美しく素晴らしい。

(気まぐれ飛行船)

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2000年12月11日 by p-movie.com

初恋のきた道

2000 年ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞 ★★★★☆
[00/中国・米] 1h29 12月2日よりBunkamuraル・シマにてロードショー

原作・脚本:パオ・シー
監督:チャン・イーモウ
出演:チャン・ツィイー スン・ホンレイ チェン・ハオ チャオ・ユエリン
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
宣伝:樂 舎

「グリーン・デスティニー」でチョウ・ユンファやミッシェル・ヨーと激しい攻防戦を繰り広げたチャン・ツィイーの映画デビュー作は「グリーン~」とは好対照な愛らしく、とっても純粋な恋愛映画。「あの子を探して」のチャン・イーモウ監督に抜擢されたチャン・ツィイーは、第2のコン・リーと注目を集め、ベルリン映画祭で銀熊賞受賞の快挙となっている。

父の葬儀のために数年ぶりに故郷に帰ってきた息子は、母親が古いしきたり通りに葬式をあげたいと言って譲らないのに頭を痛めていた。病院から遺体を村まで運び、棺に掛ける布も自分で織るという。だが、村には老人と子供しかいなく担ぎ手がいないのである。父母の新婚当時の写真を手に取りながら息子は二人のなれそめを思い出す。それは村の語りぐさになった恋の物語であった。村をあげて校舎の建設が始まり、町から赴任してきた教師に一目惚れした18歳のディ(ツィイー)は、学校のそばの遠くの井戸に通ったり、建設に携わる村人の食事をどうにか教師に食べて貰おうと置き場所を工夫したり、子供達を家に送るところを待ち伏せしたりと努力する。そして遂に食事に誘ったディだったが、食事の日に教師は町に呼び戻されてしまった。ディは教師が帰ってくるのを教室を綺麗にしてひたすら待ち続け。彼が帰ってくると言う日に雪の降りしきる道で待ち続けるがなかなか戻ってこない。熱に浮かされたディは道ばたで倒れてしまう。(続きは劇場でどうぞ)

ストーリーは、すごくストレートなので溶け込みやすく感情移入するのはあっと言う間。特に一途な恋を実らせようとした人には、涙ボロボロものでしょう。そうでなくても教師が町に呼び戻されるのを追って一口でも食べて貰おうと餃子の入った椀を持って丘を走るシーンや雪の中を待ち続けるシーンや畳み掛けるラストの感動シーンまで説得力ある演出にチャン・イーモウここにありき。現代のシーンをモノクロにして、回想シーンをカラーにしたことでチャン・ツィイーも輝いてるしね。彼女はアクションシーンを披露したことでツイ・ハークのアクション映画に出演。ジャッキーも自分の作品に使いたがっているようだが、本人はアクション女優になるつもりはないらしい。

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2000年12月1日 by p-movie.com

グリーン・デスティニー

ヴァーチャル・カンフー・ラヴストーリー ★★★★☆
[00/米・中国] 2h00 11月3日より東劇ほか松竹・東急にてロードショー

原作:ワン・ドウルー
監督:アン・リー
武術監督:ユエン・ウーピン
出演:チョウ・ユンファ ミシェル・ヨー チャン・ツィイー チャン・チェン
配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
宣伝:ポップ・プロモーション

1920 年代に上海の作家ワン・ドウルーが書いた5部作からなる武侠小説の第4部目を元にした物語を「恋人たちの食卓」「いつか晴れた日に」「アイス・ストーム」のアン・リー監督が映画化。出演は今や国際俳優になったチョウ・ユンファとミッシェル・ヨー。でも主役はチャン・イーモウが抜擢した「初恋のきた道」が 12月2日から公開されるチャン・ツィイー、「ブエノスアイレス」や「2046」で木村拓哉とも共演してる台湾の若手スターチャン・チェンがツィイーを愛する盗賊の頭を演じている。「マトリックス」で世界的に有名になった武術監督ユエン・ウーピンのワイヤーアクションが冴え渡り、最高のチェリストとして活躍しているヨーヨー・マのチェロ演奏が心地いい。ロケ地は広大な中国全土。

時代は19世紀初め、神秘の剣であるグリーン・デスティニー(碧名剣)をめぐり、運命と戦う二人の女性闘士の勇気と欺きや身分は違いながらも惹かれあう貴族の娘と盗賊の頭のロマンチックなドラマ。天地に響き渡る愛と戦いを壮大に描いた作品は、ウーピンによるワイヤーワークとアクロバティックな技闘アクションにより、時代劇カンフーとして有名な「チャイニーズ・ゴースト」や「ワンス・アポン」シリーズを遥かに超えた。特にユンファとツィイーが竹やぶを飛び回るシーンは笑ってしまうほど素晴らしい。正月前の穴埋め作品として出すには勿体無い作品です。

(気まぐれ飛行船)

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2000年11月5日 by p-movie.com