(C)2014 “Five Minutes to Tomorrow” Film Partners
上海を舞台に、双子の姉に恋をした青年がたどる運命を描く、三浦春馬主演のミステリアスなラブストーリー。
行定勲監督が初の海外オールロケを敢行。異国情緒あふれる上海の街並みが作品を盛り上げる。
ヒロインに扮するのは中国の若手トップスターとして人気のリウ・シーシーが双子を一人二役で、妹の婚約者を台湾のチャン・シャオチュアンが演じる。
時計修理工のリョウはルーメイという女性と知り合う。ルーメイには女優をしている一卵性双生児の妹ルオランがいて、彼女の婚約祝いに贈るプレゼントを一緒に選んでほしいという。
リョウはルーメイと親しくなるにつれ、彼女が抱える心の闇に気づく。それは、同じものを好きになってしまう双子の性で、ルーメイもルオランの婚約者が好きだったのだ。
しかし、双子だけで行った海外旅行中の事故でルーメイが亡くなる。それから、ルオランの様子がおかしいとリョウに言う婚約者。
婚約者は、事故で亡くなったのはルオランでルーメイが、なり代わったのではないかと疑っていた。そこで、リョウに確認して欲しいと頼んでくる。
全編を上海ロケで、三浦春馬と、一人二役のリウ・シーシーと、チャン・シャオチュアンのほぼ4人しか登場しないミステリアスな作品。
亡くなったのは、双子の姉妹うちどちらかという話だけで引っ張っていく。
ヒントは青い蝶と五分前にセットされた時計。
それでも分からなかったら、もう1回観ましょう。
<CREDIT>
■出演者:三浦春馬、劉詩詩、張孝全
■監督:行定勲
■原作:本田孝好『真夜中の五分前 five minutes to tomorrow side-A/side-B』
■脚本:堀泉杏
■配給:東映
■2014年/129分
2014年12月27日(土)全国ロードショー
公式ホームページ http://mayonaka5.jp/
(C)2014 “Five Minutes to Tomorrow” Film Partners
<映画バカコラム> 「青い蝶と若返る設定のはなし」
「誰も知らない」や「空気人形」の是枝裕和監督作品「歩いても歩いても」は、長男の命日のために、老いた両親の家に久々に顔を揃えたある一家の一日をスケッチしたホロ苦くも温かな家族ドラマだった。
この作品で、家の中に蝶が入って来ると『死んだ息子が戻ってきた』と母親役の樹木希林さんが、叫びながら捕まえようとするシーンがあった。
その時には知らなかったのだが、蝶には死者の魂の象徴と、キリスト教では“復活”という意味があるそう。
これは、「コッポラの胡蝶の夢」という作品を見たときに、資料に書いてあった。
「コッポラの胡蝶の夢」は、ティム・ロスが演じる雷に当たった男がどんどん若返っていくという、ブラッド・ピット主演の「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」と似たような設定の物語だった。
かなり前になるけど日本でも「飛ぶ夢はしばらく見ない」(1990)という石田えりが若返っていく作品があり、調べてみたらなんと原作が山田太一だったのに驚いたことがある。
さて、はなしを蝶のはなしに戻して、韓国映画の「永遠の魂」では冒頭に蝶が飛んでくるところから始まる。
物語は、教授の部屋に蝶が飛んできて、それを追いかけると部屋に生徒が何人かいる。そこで教授は生徒達に初恋の話をせがまれ、大学生時代に体験した不思議な出来事を語り始めるという回想ものだった。
だが、実はその生徒達は事故に巻き込まれていて救出を待っている死の境にいた魂を、教授が話をする事で励ましていたというオチだった。
F4のヴィック・チョウが映画デビュー作に選んだのは、ジョニー・トウが監督した香港映画『蝴蝶飛』(原題)だった。
この作品は、恋人同士が些細な諍いを原因に喧嘩をしてしまった矢先、事故に遭ってヴィック・チョウが演じるアトンは帰らぬ人となってしまう。
しかし3年後に、恋人の前に現れて離れないという「ゴースト ニューヨークの幻」を思い出すような作品なのだが、日本でのタイトルは「僕は君のために蝶になる」だった。
蝶を扱った作品は何故かアジア映画に多く、なんとあのキム・ギドグ監督の「悲夢」にも蝶が使われている。
この作品は、オダギリジョーとイ・ナヨン主演の幻想的なラブストーリーで、不思議な夢に翻弄される男女の切ない運命を幻想的なタッチで綴る不思議な作品だった。
そう考えると、フランス映画「潜水服は蝶の夢を見る」ってタイトルが、かっこ良くみえる。
日本の「私は貝になりたい」も、タイトルを「私は蝶になりたい」にすれば良かったのにね。
シネマナビゲーター木香圭介