ベイマックス



(C)2014 Disney. All Rights Reserved.



物語の舞台は、サンフランシスコの地形をもとに、東京を融合させたかのような架空都市、サンフランソウキョウ。随所に日本の影響がみられるこの都市は、東西の文化が見事に融合し、最新技術分野の頭脳とも言える人材が集まっている。幼いころに両親を亡くした14歳の天才少年ヒロは、唯一の理解者である優しい兄のタダシと共に、母親代わりの叔母、キャスの家で暮らしていた。しかし、兄のタダシは謎の大爆発事故によって帰らぬ人となり、ひとりぼっちになった彼は深く心を閉ざしてしまう…。そんなある日、傷心のヒロの前に現れたのは、白くて丸くて大きな、フワプニョボディの“ベイマックス”。それは、亡き兄タダシが人々の心と体の健康を守るために開発したケア・ロボットだった。

「どのくらい痛いですか?」
「泣きたい時は泣いていいのですよ」

ベイマックスはヒロの声なきSOSをキャッチする。こうして、大きな悲しみを抱えたヒロと、彼を一途にケアするベイマックスとのおかしな関係が始まった…。

だが、あることがきっかけとなり、タダシの死に不審を抱いたヒロは真相を究明しようとその謎を追っていく。彼が世界を揺るがす巨悪の脅威にさらされた時、隣にいるのは戦闘意欲ゼロの、癒し系ベイマックスとヒロの仲間たち。果たして優しさで世界を救えるのか??
だが、ヒロはまだ知らなかった。兄タダシがベイマックスに託した本当の“使命”を!

監督は『くまのプーさん』のドン・ホールと『ボルト』のクリス・ウィリアムズ。ドン・ホールは「いい加減な“日本”テイストをサンフランソウキョウへ持ち込みたく無い」と決め、ディズニー・アニメーション・スタジオで長年働く日本人トップクリエイターのマット鈴木を始めとする30人以上のチームが<日本の要素を真剣に注ぎ込んだ住みたい街>“サンフランソウキョウ”を創りあげたという。日本語の看板や電柱、自動販売機などのディテール。家並みが創り出す東京のどこかありそうな街角。ネオン輝く夜景などデジャヴをかもし出しながら独創的な世界を創り上げている。

マット鈴木は「このスタジオ(ディズニー)には日本のアニメーションやカルチャーに影響を受けているクリエイターがとても多い。もしかしたら僕より詳しいかも(苦笑)」と語るように、ディズニーのクリエイターたちは、日本のアニメや造形美、東京の風景に日頃より影響を受けているという。

また、「僕らは若い頃に日本文化の影響を受けた最初の世代だ」と語るクリス・ウィリアムズは、「優しく心に響くストーリーという意味で『となりのトトロ』参考にしている」と語る。彼らは映画の舞台設定から、ベイマックスのキャラクター・デザインに至るまで、様々に日本文化の精神を取り入れた本作を、「日本文化への恩返し」とも表現する。でも考えてみれば、トトロはプーさんの影響を受けたと思う。
ディズニーアニメへのオマージュ→日本文化への恩返し→そして共に更なる高みへ!何か日本人として嬉しくなるのは私だけではあるまい。

ところで、本作はマーベルコミックスのヒット作「BIG HERO 6」(ベイマックスは邦題、原題はBIG HERO 6)をもとに製作されたディズニーのアドベンチャー作品でもある。原題からもわかるが、『X-メン』、ディズニーなら『Mr.インクレディブル』、元をたどれば日本の戦隊物『ゴレンジャー』みたいなヒーローチームの話でもあるのだ。事実、物語の後半はまさにアクションヒーロー映画である。(仲間たちも合わせて6人(6キャラクター)で戦うのだ。)

『Mr.インクレディブル』はアクションヒーロー映画であったが、国内的には家族の絆、愛情路線で宣伝されていたし、前作『アナと雪の女王』の原題は『FROZEN』。これは邦題を決めた方の“言葉の妙”に脱帽。内容そのままに『アナと氷の女王』などとしなかったことにより、耳触りがよく、おとぎ話的、略しても親しみやすい、最高の邦題だったと思う。そもそも邦題しかり、宣伝方法しかり、国内向けにどのような方向性で宣伝すれば良いのかは配給会社にとって難問である。

今回、ベイマックスは、AIの曲をバックに泣ける感動作品として宣伝されているが、感動路線の宣伝を見て「ベイマックスは泣く映画」と思う方が多いだろう。しかし後半のアクション路線で「アレッ?」と感じる方がこれまた多いと思う。実は本作はマーベルファンが見ても大丈夫な由緒正しきマーベルヒーロー映画としても仕上がっているのだ。でもさすがディズニー。前半で描かれたヒロとベイマックスの面白おかしな関係が、後半に来てジャブのように効いてきて、ラストでやはり泣かせてくれる。ということは感動路線で間違いはないのかも?

『白雪姫』から『アナと雪の女王』へ続く、時代を超えて愛される続けるディズニーの名作の歴史に、『ベイマックス』が、今、新たな1ページを飾る。

<CREDIT>

■声の出演
ヒロ: ライアン・ポッター
ベイマックス: スコット・アツィット
フレッド: T・J・ミラー
ゴー・ゴー: ジェイミー・チャン
ワサビ: デイモン・ウェイアンズ・Jr
ハニー・レモン: ジェネシス・ロドリゲス
タダシ: ダニエル・ヘニー
キャスおばさん: マーヤ・ルドルフ
アリステア・クレイ: アラン・テュディック
キャラハン教授: ジェームズ・クロムウェル
■製作総指揮:ジョン・ラセター
■監督:ドン・ホール/クリス・ウィリアムズ
■配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
■2014年/アメリカ/108分
■原題:『BIG HERO 6』

2014年12月20日(金)全国ロードショー
公式ホームページ http://www.disney.co.jp/movie/baymax.html

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【ライター】戸岐和宏

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2014年12月15日 by p-movie.com

フューリー



(C)Norman Licensing, LLC 2014



1945年4月、ドイツに侵攻して熾烈な地上戦を展開する米軍の中に、“フューリー”(激怒)”と名付けられた一輌の戦車があった。フューリーは車長ウォーダディー(ブラッド・ピット)のもと、度重なる激闘を勝ち抜き、今なお奇跡的な進撃を続けていた。

そんなチームに、戦闘経験の一切ない新兵ノーマン(ローガン・ラーマン)が副操縦手として配置される。ウォーダディー以下、砲手バイブル(シャイア・ラブーフ)、装填手クーンアス(ジョン・バーンサル)、操縦手ゴルド(マイケル・ペーニャ)、3人の部下に手荒く迎えられたノーマンは、想像をはるかに超えたルールやモラルが通用しない戦場の凄惨な現実を目の当たりにしていく…。

市街戦におけるドイツ軍少年兵(ヒトラーユーゲント)たちとの戦闘。米兵救出のための、対戦車砲陣地での戦闘。やがて、行く先々に隠れ潜むドイツ軍の奇襲を切り抜け進軍する“フューリー”の乗員たちは、世界最強のドイツ軍ティーガー戦車との死闘を繰り広げることとなる。
さらには敵の精鋭部隊300人をたった5人で迎え撃つという、絶望的なミッションに身を投じていくのだった…。

プロデューサーとして映画界のトップに立ち続けるブラッド・ピット。彼が類い希なストーリーとキャラクターに惚れ込み、主演と製作総指揮を熱望した最新作が『フューリー』だ。敗戦色が濃厚となり、なりふり構わぬ抵抗を繰り広げるドイツ軍。戦争末期、一輌の戦車が直面する一日の出来事に焦点を絞った本作はフューリーの乗員5人がたどる想像を絶する運命を克明に映し出した。ブラッド・ピットは、歴戦の勇者でありながら複雑な思いを内に秘めた“フューリー”の指揮官ウォーダディーを熱演。そんなカリスマ的な指揮官と乗員たちの固い絆、新兵ノーマンの葛藤と成長のドラマは観る者の心を揺さぶらずにはおかない。

「ディテールが大事だ」とデヴィッド・エアー監督は言う。「観客が戦場のことを完全に理解できていなくとも、細部まで気遣った映画だと過去にテレビで見たニュースリールのイメージと合致する。そういうリアリティを追求したい」本作には軍事アドバイザーが3人、大戦中に機甲師団に従軍した退役軍人が4人つき自らの知識や体験を伝授したとのこと。撮影に入る前、戦車の種類から、対戦車砲のタイプ、作戦で使われた兵器、軍服、兵士たちの髪形に至るまで徹底的に調べ上げ再現された。

登場する戦車は全て実物。綿密な時代考証に基づき再現された米軍のシャーマン戦車、ドイツ軍のティーガー戦車(世界で唯一稼働可能な、イギリスはボービントン戦車博物館のティーガー戦車。田宮模型のティーガー戦車を作ったことがあるみなさん!ハリボテでない本物のティーガー戦車が登場!)との対決シーンは、本物が使用された史上初の作品!もちろん映画史上に残る迫力の名場面となった。

さて、本作の魅力を映画ライターとして、共感できる視点から映画としての良さを紹介したが、ミリタリーマニアの視点(本物のティーガー戦車見たさに映画館に足を運ぶあなた!)からこの作品を見ると戦術的に?となる場面、もしくはニヤリとする場面があることも述べておかなくてはならないだろう。

孤立無援化した米兵救出のためにフューリー以下戦車隊で向かい、遭遇した対戦車砲に対して、突っ込んでいって制圧してしまう。映画としては圧巻の(なおかつ興奮の)戦闘シーンであるが、実際、戦車兵にとって何が一番怖いかと言えば、それは対戦車砲であって、念入りに隠蔽された対戦車砲を見つけるのは非常に難しく、突然やられかねなかったからである。(今回の強敵ティーガー戦車を駆り、戦車138輌を撃破した戦車エース「ミハエル・ヴィットマン」も戦車より対戦車砲の方が怖かったと漏らしていたほど…。)だから遭遇した場合に、一度も後退することなく、猪突猛進することはまずないのだ。まぁ映画としての緊迫、迫力の場面演出と考えれば○であるが…。しかし、対戦車砲を粉砕するのにそこは徹甲弾ではなく、榴弾を使うところは非常にリアルだし、また、対人用に白燐弾を使用した場面も評価でき、「こだわってるね」と感心させられる。さらには、ウォーダディーの愛銃が、ドイツ軍から捕獲したMP40短機関銃ではなくMP44突撃銃というのもかっこいいので◎。

残念!ティーガー戦車との死闘に関しては個人的にはもっと尺が欲しかったところ。何と言っても世界初の登場。動いているところがもっと見たかった!まぁこれだけが本作の売りではないので仕方ないか。シャーマン戦車の徹甲弾を弾き返すところなど思わず興奮だが、対戦車砲に対するがごとく、4輌いるからって真正面から対峙して戦ってはいけない。当時はティーガー戦車に遭遇したら逃げる!!というのが鉄則で、もし味方が4~5輌いたら、散開して四方八方から砲弾を撃ち、犠牲を出しつつも仕留められたというのが史実、逆に言えばいかにティーガー戦車が最強だったかということ。リアル感をもっと出すなら、脱兎のごとく散開し、四方八方から必死で砲弾を撃ちまくり、やっと仕留める。しかし生き残ったのはフューリーだけ。という荒涼感漂う演出ならば◎だったかな…。

他にも、クライマックスの十字路の戦いにおける武装SSとの戦闘における、やたら弱いパンツァーファスト(対戦車擲弾発射器)などの問題もある。

が、いずれにしてもこの『フューリー』は映画としての出来はピカイチ。深遠な人間模様、極限のスペクタクル、圧倒的な臨場感とリアリティを極めた戦車バトルアクションを融合させ、あらゆる観客の胸に響くエポック・メイキングな超大作であることに間違いはない!!

<CREDIT>

■出演者:ブラッド・ピット、シャイア・ラブーフ、ローガン・ラーマン、マイケル・ペーニャ、ジョン・バーンサル
■製作総指揮:ブラッド・ピット
■監督:デヴィッド・エアー
■配給:KADOKAWA
■2014年/アメリカ/135分
■原題:『Fury』

2014年11月28日(金)全国ロードショー
公式ホームページ http://fury-movie.jp/
facebook https://www.facebook.com/fury.jp

(C)Norman Licensing, LLC 2014

【ライター】戸岐和宏

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2014年11月19日 by p-movie.com

エクスペンダブルズ3 ワールドミッション



(C)EX3 Productions, Inc. All Rights Reserved.



最強の傭兵軍団“エクスペンダブルズ”を率いるバーニー(S・スタローン)に下されたCIAドラマー(H・フォード)のミッション。それはかつて共にエクスペンダブルズを結成した仲間であり、現在は悪に染まったストーンバンクス(M・ギブソン)の捕獲作戦だった…。

ニューヨーク、モスクワ、ブカレスト、ソマリア。世界で繰り広げられる仇敵との攻防。だがエクスペンダブルズの弱点を知り尽くした最強の敵・ストーンバンクスの力の前に、決して若くないチームの仲間たちの身を案じたバーニーは、チームを解散し、若いメンバーと新チームを組んで挑む…。

世代交代の波に最高を自負する“旧メンバー”達は不満いっぱい。だが、バーニーの想像以上に新チームは活躍。ストーンバンクスの捕獲に成功するも、彼は更に上手だった。護送中に襲撃され、バーニー以外が全員捕らわれの身となってしまう。ひとりでメンバーの救出に向かおうとするバーニー。そこに立ちはだかる人影があった。

「全部一人で背負いこもうとするな、バカには仲間が必要だ」

引退を宣告された男たちのとった行動とは? エクスペンダブルズの緊急事態にはあいつらもやってくる!トレンチ(A・シュワルツェネッガー)、イン・ヤン(J・リー)そして
CIAドラマー!

いま、不屈の男たちが敵地に降り立った…。

エクスペンダブルズ最新作はシリーズ史上最高の顔合わせが実現。S・スタローンはもちろん、H・フォード、M・ギブソン、A・バンデラス、W・スナイプスなど超ビッグな面々が新たに参加。さらにA・シュワルツェネッガー、J・リー、J・ステイサムなど既存のメンバーも健在。過去作の興行収入を合計すると、なんと3兆円超! 先進国の国の国家予算に匹敵する驚愕のドル箱スターたちが集結したのだ。これは、もはや豪華というだけでは足りない、伝説のヒーローたち大集合の100年に一度の奇跡の競演なのである!

あれ? B・ウィリスは? 今回は出ません。代わりにこれまたBIGなH・フォードの出演となったわけだが、去年話題となった不仲説?? いやいや、スタローンは不仲説を一蹴したので、次回は(2年後?エクスペンダブルズ4はあるのか?)復活か?

今回もクライマックスは圧巻のバトルアクション。「前2作よりも大規模なアクションになっている。観客がそう望んでいるから」とプロデューサーは語る。ヘリコプター、戦車(本物のT72)、敵軍隊との銃撃戦!歪んだ金属、コンクリートの瓦礫。火薬、噴煙の臭いまでも感じてしまうほどの荒涼感がそこにはある…。

いいね!単純明快。アクション映画は驚くほどにこうでなくては! そしてラスト。
スタローンVS. ギブソンの男気対決でアドレナリンは最高潮に達する。

やはり、ドンパチあっても、最後は一騎打ち。というのが由緒正しきアクション・セオリーだよね。

<CREDIT>

■出演者:シルベスター・スタローン、ハリソン・フォード、メル・ギブソン、ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ドルフ・ラングレン、ウェズリー・スナイプス、アントニオ・バンデラス、アーノルド・シュワルツェネッガー
■監督:パトリック・ヒューズ
■配給:ポニーキャニオン/松竹
■2014年/アメリカ/126分
■原題:『EXPENDABLES3』

2014年11月1日(土)全国ロードショー
公式ホームページ http://expendables-movie.jp/

(C)EX3 Productions, Inc. All Rights Reserved.

【ライター】戸岐和宏

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2014年10月20日 by p-movie.com

ゼロ・グラビティ



(C)2013 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.



いきなり中学生の英単語集のようで恐縮だが、邦題の「ゼロ・グラビティ」とは「無重力」という意味。一方、本作のそもそもの原題は”Gravity”だ。つまり「重力」。本作を観るにあたってはその両方を把握しておくと、タイトルに込められた意味合いがギュンと重力のごとく身を貫き、この映画を存分に楽しめることになるだろう。

映画の舞台は、地球からそう離れていない宇宙。3D効果も相俟って無重力をフワフワと漂う我々は、カメラが少しずつ少しずつ旋回することで、やがて宇宙空間で作業中のサンドラ・ブロックとジョージ・クルーニーの姿を確認できる位置にまで到達する。サンドラは黙々と作業中。それに対してジョージはジェット噴射で自由自在に無重力空間を移動しながら、これが最後になるであろうミッションをリラックスして楽しんでいる。と、ここで我々はハッとする。序盤、もう随分とカメラが回っているのに、全く切れ目無くワンカットで撮られていることに驚かされるのだ。いったいぜんたいどんな魔法を使っているというのだ。

この映画の撮影監督を務めたのはエマニュエル・ルベツキ。過去に『ツリー・オブ・ライフ』や『トゥモロー・ワールド』などでアカデミー賞の撮影部門でノミネートを受けてきた逸材だ。新作を発表するごとにその手腕はどんどん神がかっていくばかりだが、今回は別格の域。彼自身がいったいどんな態勢で被写体に寄り添い、これら観たこともない映像を刻んでいったのか、もはや想像すら及ばない。

そんなことを考えながら観ていると、突然、宇宙空間で作業中の彼らの元へ、ヒューストンからの緊急連絡(この管制室の声を担当するのが『アポロ13』にも出演したエド・ハリスだ)が飛び込んでくる。

「いち早く、脱出せよ!」

ロシアが破壊した自国の人工衛星の残骸が地球の軌道を漂い、もうしばらくするとこの地点に大量に流れ込んでくるというのだ!細かい破片と化したそれらの弾丸のような凶器は、やがて隕石群のように容赦なく襲いかかってくる。そしてサンドラと宇宙ステーションとを繋いでいた命綱は無情にも切断され、彼女は宇宙空間の真っ只中へ。同時ミッション中のジョージ・クルーニーの安否は?そしてステーションに滞在中の仲間たちは?そんな心配もよそに、どんどんと遠のいていく彼女。酸素もみるみるうちに減少していく。果たしてサンドラはこの後、無事に生還できるのだろうか!?

上映時間はほぼ90分。リアルタイムにも等しい時間の流れの中、我々はサンドラ・ブロックの宇宙空間サバイバルに身を委ねる。もうダメだ、もう無理だ。そう口をついてこぼれる弱音を粉砕するかのように、この映画には思いがけない展開が待っている。最後の一分、一秒まで諦めさえしなければ、何かが起こりえるかもしれない。それは何も宇宙空間に限らず、私たちが生きる現実世界だって同じことだ。

今やインターネットで世界中が繋がり、我々は秒速での判断が求められるようになってきている。そんな中で無重力空間に放り出されたかのように心身虚脱して「ああもうだめだ」と感じる時もあるだろう。だがそんな時にこそこの映画を観てほしい。サンドラ・ブロックの魂に寄り添い、エマニュエル・ルベツキが映し出す映像に身を委ねてほしい。この冒険を追体験することできっと、自らの呼吸や鼓動を意識し、身体に伸し掛かってくる地球上の重力をグッと受け止め、その果てに、自らが今この地上に立つことの意味さえもしっかりと噛み締めることが出来るはずだ。

そして、最後に私たちは監督のアルフォンソ・キュアロンに思いを馳せよう。『トゥモロー・ワールド』から7年、本当に長かった。これほど新作が期待された監督は他にいないのではないか。もともとアンジェリーナ・ジョリーが主演に決まり、製作スタジオが変更となり、共演に決まっていたロバート・ダウニー・Jr.が離脱を表明し、誰もがこの映画は途中で制作中止になるのではないかと気を揉んだ。ところが違った。最後の一分一秒まで諦めなかったのは劇中のサンドラ・ブロックだけでなく、キュアロンもまた同じだったのだ。そしてピンチを最大のチャンスに変え、こんなにも壮大かつ等身大のSFサバイバルを我々のもとに届けてくれた。これぞ最高のクリスマス・プレゼント。皆、心して生き抜いてほしい。そして無事に帰還せよ!

<CREDIT>

■出演者:サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー
■監督: アルフォンソ・キュアロン
■配給:ワーナー・ブラザース映画

2013年12月13日(金)全国ロードショー
公式ホームページ http://wwws.warnerbros.co.jp/gravity/

(C)2013 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

【ライター】牛津厚信

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カテゴリー: アメリカ | サスペンス | 国別 | 映画レビュー | SF・ファンタジー

2013年12月10日 by p-movie.com

【女性限定】ハリウッド直送『アロマキャンドルPaddywax』3名様にプレゼント!

洋画専門CS放送ザ・シネマでは2月3日(日)~14日(木)の夜9時、「バレンタインSP:貴女が選ぶ♥ハリウッド・スターNo.1」と題して人気・実力で女性のハートを掴む12名のハリウッド・スターを特集放送!
特設サイト(http://www.thecinema.jp/sp/valentine2013/)ではイチオシ・スターへの投票・ラブレターを募集し、抽選でハリウッド直送の素敵なプレゼントがホワイトデーに届く女性限定キャンペーンも実施中。
この特集を記念してアメリカで大人気のアロマキャンドルPaddywaxを3名様にプレゼント致します。

【『アロマキャンドルPaddywax』のプレゼントご応募について】
応募資格:女性限定プレゼントです。
応募先:※応募受付終了しました。
応募締切:2013年2月14日(木)
※当選者の発表はプレゼントの発送をもってかえさせていただきます。

<MOVIE>

「バレンタインSP:貴女が選ぶ♥ハリウッド・スターNo1」
2月3日(日)~2月14日(木)毎日よる9時から放送!

日本でも大人気の人気俳優12人の作品を12日間連続特集放送!
不動の人気を誇るジョニー・デップをはじめ、知性派俳優のマット・デイモンなど、日本でも大人気の俳優12人の12作品放送!

ショコラ
「ショコラ(2000)」© 2000 by Miramax All rights reserved.

①「イングロリアス・バスターズ」 2/3(日)放送:ブラッド・ピット
<STORY>
1941年、ナチス占領下のフランス。ユダヤ人狩りのランダ大佐は、田舎の農家にかくまわれていたユダヤ人一家を虐殺。娘のショシャナだけ唯一逃げ延びる。一方、米軍のレイン中尉が率いる秘密部隊”バスターズ”は、ナチス将兵を次々と処刑しながらフランスへ入国する。その頃パリの映画館主となっていたショシャナは、ヒトラーをはじめナチ有力者が出席するプレミア上映会を利用した復讐テロ計画を進めていた。

②「存在の耐えられない軽さ」 2/4(月)放送:ダニエル・デイ=ルイス
<STORY>
1968年、民主化運動“プラハの春”で人々が民主主義の自由を謳歌するチェコスロバキア。プラハの脳外科医トマシュは、女流画家サビーナをはじめ何人もの女性と自由奔放な関係を満喫していた。ある日ウェイトレスのテレーザと診察で知り合った彼は、彼女の生真面目さに惹かれて同棲を開始。やがて2人は結婚するが、一方でトマシュとサビーナとの関係は続いていた。そんな中、ソ連がチェコに軍事介入し、3人はスイスへ逃亡する。

③「フィクサー」 2/5(火)放送:ジョージ・クルーニー
<STORY>
N.Y.の大手法律事務所に長年勤める元検察官マイケルは、仲介役として裏交渉をまとめるキレ者の“もみ消し屋(フィクサー)”。ところが私生活では、離婚した妻との息子に会う時間も作れず、従兄弟の借金を肩代わりさせられるなど、人生を見直す岐路に立たされていた。そんなある日、巨大農薬会社の集団訴訟を担当する同僚弁護士アーサーが、良心の呵責に耐えられず訴訟を妨害する側に回り、マイケルはアーサーの説得を命じられる。

④「メン・イン・ブラック」 2/6(水)放送:ウィル・スミス
<STORY>
ニューヨーク市警の刑事ジェームズが犯罪者を追跡していたところ、黒のスーツに身を包んだ男と出会う。彼は地球上のエイリアンを監視する秘密機関MIBのエージェント“K”で、ジェームズが追っていた男は実はエイリアンだった。Kはジェームズの素質を見込んで採用テストに招き、見事合格したジェームズはエージェント“J”となる。その頃、エイリアンたちが次々と地球を脱出しようとし、KとJはその真相を調査する。

⑤「イングリッシュ・ペイシェント」 2/7(木)放送:レイフ・ファインズ
<STORY>
戦時中、激戦地だった北アフリカ。一機の飛行機が墜落炎上する。搭乗員の女性は死亡、男性は全身ヤケドで、一命は取り留めたものの記憶喪失に。その看護にあたるのは、戦争で親しい人間を亡くし、精神的に深い傷を負った従軍看護婦ハナだ。患者は次第に記憶を蘇らせ、ハナに、自身の身に起こったことにを語り始める。それは、戦争という時代のせいで、あまりにも悲しく、劇的な展開になってしまった、ある不倫の愛の物語だった。

⑥「グリーン・ゾーン」 2/8(金)放送:マット・デイモン
<STORY>
2003年イラクで大量破壊兵器捜索の任務に就く米軍下級将校ミラーは、がせネタのあまりの多さを奇妙に思っていた。同じ疑問をCIAも抱く。ある日捜索でイラク軍大物幹部の隠れ家を発見するが、容疑者を追いつめたところで、米国防総省高官が操る謎の特殊部隊に容疑者を横取りされる。このイラク軍大物幹部と大量破壊兵器の間には、意外な接点があった。ミラーはCIAにスカウトされ、国防総省の高官が隠している真実に迫っていく。

⑦「キス&キル」 2/9(土)放送:アシュトン・カッチャー
<STORY>
失恋の傷を抱えるお嬢様ジェンは、過保護な両親と共に南フランスへ旅行に訪れる。宿泊先のホテルにチェックインした彼女は、偶然出会った青年スペンサーに一目惚れする。互いに惹かれ合った2人はデートを重ね、結婚の許しを得てゴールイン。それから3年後。郊外で幸せな結婚生活を送っていたある日、スペンサーが見知らぬ男に襲撃される。実はスペンサーは元スパイで、組織を抜けた彼には2000万ドルの懸賞金が懸けられていた。

⑧「マスターアンドコマンダー」 2/10(日)放送:ラッセル・クロウ
<STORY>
1805年。勇猛な名艦長オーブリーが指揮する英国海軍の軍艦サプライズ号は、ブラジル沖に浮かぶフランス軍のアケロン号を拿捕する任務を受ける。ところが、濃霧の中から現れたアケロン号に急襲されて乗組員9名が命を落とし、12歳の士官候補生ブレイクニーも右腕を切断する重傷を負う。オーブリーはアケロン号の追跡を指示するが、スピードが速く神出鬼没な敵艦に翻弄され、しかも大嵐に遭遇して新たな犠牲者を出してしまう。

⑨「ショコラ」 2/11(月)放送:ジョニー・デップ
<STORY>
厳格なレノ伯爵が治めるフランスの小さな村では、住民たちが伝統と規律を守って暮らしていた。そんな村にある日、チョコレートの効能を広めるため世界を転々とする母ヴィアンヌと娘アヌークが現れ、チョコレート・ショップを開店する。最初は店を怪しんでいた村人たちだが、好みに合うチョコレートをヴィアンヌから次々と勧められ、あっという間に店の虜に。チョコレートに夢中になって伝統を忘れる村人に、伯爵は危機感を抱く。

⑩「ギャング・オブ・ニューヨーク」 2/12(火)放送:レオナルド・ディカプリオ
<STORY>
ニューヨークのファイブ・ポインツ地区の支配権をめぐる抗争で、移民グループの指導者ヴァロン神父が、古参住民グループを率いるビルに殺された。それから15年後の1863年。故ヴァロンの息子アムステルダムが少年院から出所した。父の復讐に燃える彼は、街を支配するビルの組織に素性を隠して入り込むが、ビルの情婦である女スリのジェニーと禁断の恋に落ちてしまう。

⑪「ガタカ」 2/13(水)放送:ジュード・ロウ
<STORY>
遺伝子工学が進歩した近未来では、優秀な遺伝子を組み合わせて生まれた“適正者”が、自然出産の“不適正者”を支配していた。“不適正者”のヴィンセントは宇宙飛行士を夢見ていたが、宇宙局を持つガタカ社に採用されるのは“適正者”のみ。そこでヴィンセントはDNAブローカーに仲介を頼み、優秀な遺伝子の持ち主だが事故で下半身不随となったユージーンからDNAを提供してもらい、彼に成りすましてガタカ社に入社する。

⑫「グローリー」 2/14(木)放送:デンゼル・ワシントン
<STORY>
南北戦争に突入した1860年代の米国。若き北軍指揮官ショーは、黒人だけで組まれた第54連隊の指揮を任される。幼なじみの黒人シアーレスらも連隊に志願したが、大部分は南部からの脱走奴隷で戦闘の素人たちだった。第54連隊の兵士たちは厳しい訓練を積むうちに成長していくが、根強い人種差別のせいで靴も軍服も支給されず、戦闘にも加われずにいた。そんな中、ショーの訴えが通って第54連隊がついに実戦に臨み、戦果を挙げる。

<CREDIT>

洋画専門CS放送 ザ・シネマ 2月3日(日)~14日(木) 夜9時より12日間連続特集放送!
特設ホームページ http://www.thecinema.jp/sp/valentine2013/

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2013年1月24日 by p-movie.com