聖石傳説

台湾版「ロード・オブ・ザ・リング」? ★★★☆☆
[00/台]1h36 3月16日より新宿シネマスクエアとうきゅうほかにてロードショー

製作:黄 文擇
監督:黄 強華
脚本:黄 強華
声出演:黄 文擇
声出演:さとう珠緒 原口あきまさ 石橋蓮司 内海賢二
配給:バンダイビジュアル/ メディアボックス
宣伝:ビー・ウイング

[SFハイパー・マリオネット劇:LEGEND OF THE SACRED STONE(吹き替え版あり)]
2月22日に、TVシリーズが発売された台湾のSFハイパー・マリオネット劇の映画版。2000年の東京国際ファンタスティック映画祭では、デジタルプロジェクタでの120分が上映されたが、今回は映画祭バージョンとは異なる96分もの。

武勇の誉れが高い〈素還真〉は、剣の3達人〈葉小叙〉〈剣君〉〈乱世狂刀〉を呼び集めて、武術の世界に災いをもたらす〈魔魁〉を捕らえて投獄した。これで、武術の世界は平和が訪れるものと誰もが思っていた。 しかし、長い間“天問石”という不思議な石の行方を探して様々な悪事を働いていた異星人の〈非善類〉が、〈魔魁〉を獄中から救い出し、その上“天問石”まで手に入れることになった。〈魔魁〉の脱獄を知った〈素還真〉は、義弟の〈青陽子〉と共に〈非善類〉の目的を調査し始める。彼らは、道中で〈剣如水〉という美しい娘と〈傲笑紅塵〉に出会った。何と、彼らも“天問石”を探しているという。彼らは語る。「2つの“天間石”を手に入れらば強大な力を得ることが出来る…」と言うのだが・・・。

台湾の伝統芸能だった人形芝居が、1969年に「雲州大儒教」としてテレビ放送され大ヒット。一旦は、人気が下火になったが、90年代に入りケーブルTVやレンタル・ビデオにより新たな世代にブレイク。小説・玩具・ゲーム・写真集・インターネット・フィギュアとマルチメディアへと発展している。既に海外でも上映されていて、日本はバンダイビジュアルが仕掛けている。映像は、ワイヤー・アクションもビックリのスピーディーさで圧倒。しかもマリオネットは血まで流すという凝り具合。今の時代に受けたのも分かるような気がする。でも、吹き替え版はちょっと調子に乗りすぎ。

オフィシャルサイト: http://emotion.bandai.co.jp/seiseki/

.

カテゴリー: アジア | 映画レビュー

2002年3月16日 by p-movie.com

レイン

悲しきヒットマンの恋 ★★★☆☆
[00/泰]1h46 1月19日より渋谷東急3ほか全国松竹・東急系にてロードショー

製作:ノンスィ・ニミブット
監督:オキサイド&ダニーパン兄弟
脚本:オキサイド&ダニーパン兄弟
出演:パワリット・モングコンビシット ピセーク・インタラカンチット プリムシニー・ラタナソパァー
配給:クロックワークス
宣伝:クロックワークス

[サイレント・ノワール:BANGKOK DANGEROUS]
デビュー作「タイムリセット 運命からの逃走」も、2月に急遽公開が決まったオキサイド・パン監督が香港で編集マンをしていた双子の弟ダニーと初めて組んで作られた香港ノワール風のタイ製アクション作品。製作は、「ナン・ナーク」監督のノンスィ・ニミブット。

タイのバンコク、人気のないビルの屋上でターゲットを狙うコンは、耳が聞こえない彼をいじめた少年たちに復讐するかのように引き金を引きつづける。殺し屋のジョーは、射撃場で働いていたコンを殺し屋に育てあげ一緒に仕事をするようになっていた。ある日、コンは熱を出して訪れた薬局で、美しい少女フォンと出逢う。それは初めて経験する女性のぬくもりだった。フォンもまた、どこか謎めいたこの青年に惹かれていた。二人は普通のカップルのようにデートをするが、夜の公園で二人を襲った強盗を撃ち殺したコンにショックを受けたフォンはそのまま走り去ってしまう。ジョーの女がボスの客のギャングにレイプされた。復讐の為に相手を殺したジョーは、金ずるを殺されたボスの命令で殺されてしまう。口封じにきた一味にジョーの女も殺され一人ぼっちになったコンは、ボスのアジトに向かう。そんな降りしきる雨の中、コンを追って来たのはフォンだった。

香港出身監督だけあり、タイ映画と言うよりも香港映画に近い(香港ロケもあるし)。特に耳が聞こえないので銃声に対して目をつぶらない殺し屋というのが惹かれる。生まれてはじめて人を愛する気持ちや、失う悲しみを経験していくのをナレーション無しで理解させるのも上手い。タイトルの「レイン」は、ラストシーンの降りしきるシーンと少女のフォンと言う名前が、タイで雨と言う意味から付けられている。

オフィシャルサイト: http://www.klockworx.com/rain/

.

カテゴリー: アジア | 映画レビュー

2002年1月21日 by p-movie.com

リベラ・メ 

消防士VS連続放火犯 ★★★★☆
[00/韓] 1h59 11月17日より丸の内プラゼールほか全国松竹系にてロードショー

[監督] ヤン・ユノ
[脚本] ヒョン・チョンヨル ヨ・ジナ
[出演] チェ・ミンス チャ・スンウォン ユ・ジテ キム・キュリ
[配給] 松竹/FRAP.
[宣伝] P2

[バーニング・エンターテインメント:Libera ME]

今年のゆうばり冒険ファンタスティック映画祭&東京ファンタスティック映画祭で上映された消防隊員たちと知能放火犯の攻防を描いたミステリー・アクション。出演は「ユリョン」「ソウル」のチェ・ミンス、「アタック・ザ・ガス・ステーション!」「リメンバー・ミー」のユ・ジテ、「囁く廊下~女校怪談」のキム・キュリ、「反則王」のパク・サンミョン、韓国映画史上最高の悪役を演じた「新羅の月夜」のチャ・スンウォン。監督は本作が5本目のヤン・ユノ。「リベラ・メ 」とはラテン語で「我を救い給え」。

釜山市全域に原因不明の火災が頻発していた。消防署の女性調査員は同一犯による放火の疑いを持つが警察は非協力的。通報でガソリンスタンドに急行した消防隊員のサンウは現場で哀れむように笑みを浮かべて挑発する若い男を目撃する。この火を熟知して緻密な計画を練ってくる知能放火犯は次々と犯行を重ねていく。遂に警察も動き出し、放火犯の正体を突き止めて追い詰めようとするサンウだったが、逆に犯人は女性調査員を人質にとって、給水栓を止めた病院に火を放ち絶望的な闘いに挑んできた。

釜山市の全面協力により、火災シーンの撮影は全て街の中心で行なわれ、実在する建物を壊したり居住区にセットを作って燃やしたりと、CGやセットを使わずに全部本物。この迫力は「バック・ドラフト」といい勝負。主演のチェ・ミンスは孤独な男を完璧に演じるためにスタントマンを拒否して、頭部に十数針も縫う怪我を負っている。以前、韓国映画はジャンルも様々で一言では言い表せないと書いたが、最近大量に作品を見ていて人物像を深く描いていて丁寧な作り方をしている作品が多い事に気着いた。

オフィシャルサイト: http://www.liberame.jp/

.

カテゴリー: アジア | 映画レビュー

2001年11月19日 by p-movie.com

GO

国籍なんか関係ねえ! ★★★★☆
[01/日・韓] 2h02 10月20日より丸の内東映ほか全国東映系にて日韓同時公開

原作:金城一紀(講談社刊)
監督:行定 勲
脚本:宮藤官九郎
出演:窪塚洋介 柴咲コウ 大竹しのぶ 山崎努 山本太郎 萩原聖人 大杉漣
配給:東映
宣伝:東映(株)映画宣伝部

第 123回直木賞に輝いた金城一紀のコリアン・ジャパニーズ実体験を基にした小説の映画化。発行部数 15万部を突破し、テレビ・映画など20社以上の製作会社から映像化の依頼が殺到した。「池袋ウエストゲートパーク」の宮藤官九郎と窪塚洋介が再びタッグを組み、監督もインディーズで活躍していた「ひまわり」「贅沢な骨」の行定 勲と若手を起用。東映もかなりの勝負に出た。ほかの出演は、窪塚の父母に山崎努と大竹しのぶ、恋人役は「バトル・ロワイヤル」以降東映作品に出ずっぱりの柴咲コウ。韓国からは「情事」や「アクシデンタル・スパイ」のキム・ミンと現代韓国映画の”生き証人”と言われるミョン・ケナム。

杉原は高校3年生、普段はまったく意識しないが韓国の国籍を持ついわゆる「在日」。未だに将来の夢も進路も決まらない。中学までは民族学校に通っていたが、広い世界を見たくなり意を決して日本の普通高校へ入学した。3年前、杉原の父・秀吉は、ハワイ旅行をきっかけに国籍を”朝鮮”から”韓国”に変えた。秀吉は元ボクサー、幼い頃からボクシングを叩き込まれた杉原は入学してから喧嘩では現在24連勝中。記念すべき初勝利の相手は、今やすっかり仲良くなったヤクザの息子の同級生・加藤。ある日杉原は、加藤のバースディパーティーで声をかけてきた少女・桜井と突然の恋に落ちる。ぎこちないデートを重ねる二人だが、杉原は自分が「在日」であることを中々言い出せないでいた。

行定監督は、よく試写室に出没していていたので凄く身近に感じていただけに期待は高まっていたのだが、これが期待通り面白い。在日差別問題という重いテーマを今までこんなにもコメディーで描いた作品はあっただろうか。「これは僕の恋愛に関する物語だ」と語っておきながら、なかなか恋愛話にならない引っ張りもいい。今の映画界は国境を越えた作品が増えてきたが、日本も負けちゃいられない!。窪塚洋介も浅野や永瀬に続いて、これからはどんどん映画に出まくってほしい。その為にも今年の邦画界 No.1候補作品を見ましょう。

.

カテゴリー: アジア | 日本 | 映画レビュー

2001年10月22日 by p-movie.com

イルマーレ

手紙が時空を越え愛を運ぶ  ★★★☆☆
[00/韓] 1h37 9月8日より渋谷シネパレスにてロードショー

監督:イ・ヒョンスン
脚本:ヨ・ジナ
出演:イ・ジョンジェ チョン・ジヒョン
配給:松竹株式会社
宣伝:パンドラ
宣伝協力:スキップ/プランニングOM

[幸運のデート・ムービー:IL MARE 時越愛]

2年の時を経て過去と現在に生きる二人が出会う時は来るのだろうか? 昨年の9月に公開された韓国のラブ・ストーリーはロケ地でデートをすると幸運を呼ぶといわれた作品。出演は「interview」「純愛譜」「情事」と公開が控えるイ・ジョンジェ、TVの司会・CM・映画と引っ張りだこのチョン・ジヒョン。監督はこれが3作目のイ・ヒョンスン。

1997 年。海辺の一軒家に引っ越してきた青年ソンヒョンは、美しい家にイルマーレ(イタリア語で海)と名づけた。彼はクラシカルな郵便受けに見知らぬ女性のウンジュンからの手紙を発見する。それは次の住人に宛てたメッセージで日付が1999年になっていた。しかも自分が付けたイルマーレを知っていた事に驚きを感じる。どうやらクラシカルな郵便受けは時空を越えてやり取りが出来るようだ。二人は手紙を交わし合う。声優の仕事のつくウンジュンは恋人に捨てられ、その傷から立ち直っておらず、ソンヒョンは幼い頃に高名な建築家の父に捨てられたが、自分も建築家の道を歩んでいた。ソンヒョンは1997年のウンジュンを確認してみたり、お互いにプレゼントを交換したりと奇妙な付き合いは続く。そしてウンジュンは1997年の自分の恋を応援して欲しいとソンヒョンに頼んだ。そして二人は2000年3月11日の午後3時に済州島で逢う約束をする。

「リメンバー・ミー」とテーマ性もピアノ曲の盛り上げも似ているが、こちらはタイム・パラドックスに頼りっぱなしの作品。でも描かれ方が二人から愛される犬、時を越えてプレゼントされるミレニアム・ワイン、お互いの時間を過ごし方を教えて、それぞれに実行してみたりと使い方がお洒落。今の時代ならインターネットを使いそうなところを、ポストにして手紙以外のものも送りあったりというの設定も面白い。もう一つの主役ともいえる海辺に建つ家のイルマーレは、映画のために建設されている。

.

カテゴリー: アジア | 映画レビュー

2001年9月3日 by p-movie.com