サム・ガール

理想的な関係を探す恋愛コメディー ★★★☆☆
[98/米] 1h25 5月27日より渋谷シネマ・ソサエティーにてロードショー

製作:ゲイ・リビシ
監督:ローリー・ケリー
脚本・主演:マリサ・リビシ
出演:ジュリエット・ルイス ジョバンニ・リビシ ジェレミー・シスト
配給:ファインアーツエンタテインメント+シネマストリーム
宣伝:シネマストリーム

「映画を15000ドル以下で製作する方法」というのを読んだ、主役を演じたマリサ・リビシが脚本を執筆して芸能プロのマネージメントをしている母親のゲイ・リビシが製作を手伝い、双子の弟で「すべてをあなたに」や「プライベート・ライアン」のジョバンニ・リビシが映画でも弟役を演じ、マリサとプライベートでも友人のジュリエット・ルイスが親友役を演じているというすごく内輪なインディーズ映画。ジョバンニとジュリエットは、この映画の撮影後に「カーラの結婚宣言」で恋人同士を演じている。監督のローリー・ケリー(スリープ・ウイズ・ミー)は、この作品で1998年L.Aインディペンデント・フィルム・フェスティバルで最優秀監督賞を受賞している。

生まれつき赤毛のために男たちの目を惹くのだが、なかなか真の恋人に巡り会えないクレア(マリサ・リビシ)。今日もまた街で声をかけられるが、どうせ深く付き合ったらすぐに別の彼女を見つけるに違いないと思うと、恋愛に臆病になっている。クレアの親友のエイプリル(ジュリエット・ルイス)は、下着を履き替えるように毎日違う男と朝を迎えていて、彼女の恋愛哲学はクレアには参考にならない。クレアの弟のチビで不格好のジェイソン(ジョバンニ・リビシ)は、気合いが入りすぎていつも空回りばかり「最高の男友達」が彼のキャッチフレーズになっていて、エイプリルとは犬猿の仲。クレアと仲間たちはいつもバーに集まり、どうすれば素敵な恋愛が出来るか?話題はいつもそのことばかりだった。。ある日、クレアは街角で俳優の卵のチャドに声をかけられる。クレアは新しい恋をスタートさせるが、エイプリルはクレアの新しい恋に悲観的な態度をとる。実はチャドはエイプリルが関係を持った男たちの莫大なリストの中のひとりだった。しかも久しぶりに再会したエイプリルとチャドは再び寝てしまう。それを知ったクレアは、素敵な復讐を実行する。

もともとは、自分を振って別の女性とつき合いだした男を殺すヒロインというミステリーの企画だったそうだが、20代前半の若者たちを描いた恋愛コメディーに変えたのは正解。登場人物がいい加減な奴ばかりで、どこにでもいそうな人物ばかりなのでリアル感がある。ぜひ大勢でワイワイと見に行って「あのキャラクターはOOさんに似てる~」など見終わったあとに大いに盛り上がって下さい。

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2000年5月26日 by p-movie.com

マイ・ハート,マイ・ラブ

自分の人生、主役が出来るのは自分だけ ★★★☆☆
[99/米] 2h01 5月20日より有楽町スバル座にてロードショー

製作・監督・脚本:ウィラード・キャロル
出演:ショーン・コネリー ジーナ・ローランズ アンジェリナ・ジョリー ライアン・フィリップス マデリーン・ストウ デニス・クエイド ジリアン・アンダーソン
配給:ギャガ・ヒューマックス
宣伝:樂舎

ショーン・コネリーをはじめ、豪華なスターたちの出演による都会的なタッチで見つめた感動のヒューマン・ドラマ。今年は「マグノリア」の影響からか人間群像ものの公開が多いようだが、この作品は夫婦・恋人家族・友人と繋がりの関係は深い。 TVプロデューサーのポール(コネリー)と料理研究家のハンナ(ジーナ)は結婚生活40年目を迎えるおしどり夫婦。ロサンゼルスの豪華な家に住み幸せに暮らしていたが、ある日ハンナは夫が今でも大切にしている写真を見つけ、ポールが以前に仕事を通じて知り合った女性を愛していたことを知ってしまう。

ナイトクラブの騒がしい中でジョーン(アンジェリナ)は恋人と別れ話をしていた時に、コインを貸してくれたキーナン(ライアン)と出会い思いを寄せるようになる。だがキーナンはなかなか心を開いてくれない。しかしジョーンの熱い情熱に、彼は新しい人生を歩む気持ちになる。

夫のことを”ルームメイト”だというグレイシー(マデリーン)は妻子持ちの牧師ロジャーと目下浮気中。セックス以外の感情は持ち込まないクールな関係を続けてきたがロジャーは、それだけでは満足できなくなっていた。妻が死に仕事も失ったとバーで自分の身の上話をするヒュー(クエイド)。実は彼の話は全て作り物で、演劇の即興教室での課題をこなしているだけだった。しかし、彼はこの日課になってしまった即興が実生活の嘘よりも上手になってしまった事に怖くなってしまう。

舞台演出家のメレディス(ジリアン)は、昔の夫が同性愛に走ってしまって以来、恋には臆病になっていた。彼女のルームメイトは大きな犬だけ。ある時仕事先で知り合った離婚歴のある建築家のトレントにデートに誘われて自宅にディナーを用意して招待するが、口論になってしまう。しかし、トレントは優しくメレディスを包み込み、ふたりの関係は静かに変化してゆく。

愛というものを言葉で表現するのは、なかなか難しいものであるために喧嘩をしたり、お互いがギクシャクしたり・・・なんて事はよくあること。そういったごく普通のラブストーリーの中で11人がそれぞれの幸せを求めて、それぞれが主人公を演じているので、「あっ、私に似ている!」という登場人物が見つかったり、「その気持ちわかるー」なんて感情移入ができると思う。それぐらい何処にでもいそうな身近な人物たちであり、身近で起こっているような大人のストーリー。そして全く関係ないと思われる登場人物の間に、話が進むに連れて関連性が見えてくるところが面白い。

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2000年5月19日 by p-movie.com

どら平太

快娯楽時代劇  ★★★★☆
[00/日本] 1h51 5月13日より日劇東宝ほか全国東宝邦画系にて公開

原作:山本周五郎「町奉行日記」
監督:市川 崑
脚本:四騎の会(黒澤 明 木下恵介 市川 崑 小林正樹)
出演:役所広司 片岡鶴太郎 浅野ゆう子 宇崎竜童 菅原文太
配給・宣伝:東宝株式会社

日本の巨匠と言われている四人の監督が脚本を書いた四騎の会の第一作「どら平太」が30 年かかり映画化された。当初は三船・錦之助・裕次郎・勝の共演で四人が自分の好きな部分を演出するという夢のようなプロジェクトだったが、残念ながら実現されなかったのである。その後幾度となく映画化の期待を伺っていた市川崑監督が役所広司の時代劇熱望をきっかけに、監督作品74作目にしてリベンジが実った。ちなみにタイトルを名付けたのは黒澤明である。

或る小藩の町奉行所に江戸から新任の町奉行の望月小平太(役所)が来るという。振る舞いは不埒を極めて「どら平太」という仇名までついている評判の悪い男だった。しかし、それは本人が友人の大目付・仙波(宇崎)に頼んで、わざと悪評を流させていたからだ。壕外と呼ばれる治外法権と化した地域の一画では三人の親分が権力を握り、密輸・売春・賭博の利権を分け合って城代家老をはじめとする藩の重職と長年結託して藩政を欲しいままにしていた。藩の腐敗をなくしたいと望む徒士目付・安川(片岡)は、その病巣を取り除くためにどら平太に全てを託した。どら平太は奉行所には赴かず、安川に手配させた宿を根城にして遊び人として別人になりすまし、壕外に出入りして壕外の掃除を一人で始めるのだった。

昨年から今年に入って時代劇が作られているが、この「どら平太」が今の段階ではいちばん面白いと思う。物語も分かりやすくて(遠山の金さんのようだけど)、50人のやくざとの大立ち回りで敵をなぎ倒していく役所広司の格好良さは、さすが痛快・愉快・豪快を売りにしているだけあってなかなかです。見終わって清々しい気分になりたい方はお見のがしなく。

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2000年5月15日 by p-movie.com

ガラパゴス(3D)

神秘の島、ガラパゴス諸島にようこそ ★★★★☆
[99/米] 0h44 5月8日より6月30日まで東京アイマックスシアターにてロードショー

監督:アル・ギディングス&デビッド・クラーク
海中撮影監督:アル・ギディングス
配給:アイマックス・ジャパン(株)
宣伝:ソニー・ミュージックエンターテイメント シネ事業推進部

東京アイマックスシアターで5ヶ月振りに上映される立体映画は、南米西北部エクアドルから960km西の赤道上に位置する、大小61の島々からなるガラパゴス諸島に生息する珍しい生き物たちを紹介した40分のドキュメンタリー作品。海洋生物学者キャロル・ボールドウィン博士(女性)が、未だ数多く神秘に満ちたガラパゴス島の陸上に住む巨大なカメ&イグアナや海底探査船で水深900mに生息する珍しい生き物を紹介してくれる。

波がうねったような形に固まった溶岩石の荒涼とした世界と高地に茂るみずみずしい草木が対照的な風景の島ガラパゴス諸島。ここには人間は住んでいないが、陸地には陸イグアナや巨大ガメが生息し、潮の干満で出現する浅い岩礁には天敵に襲われることなくアシカが暮らしている。立体映画なので海底探査による水中シーンになると目の前を泳いでいく魚やサメに、水族館にいる気分が味わえて子供でも楽しめる。水深900mで生活する未知の生き物も登場して面白かった。

なお、同じく5月8日から「エクストリーム」(2D)と以前も公開した「T-REX」を入れ替え制で上映。「エクストリーム」は、過去に例がないドキュメントのスポーツ映画で6種類の究極のスポーツをアイマックス・カメラで特撮した迫力ある映像が楽しめる。ロッククライマーにアイスクライマーやスキー&スノーボード、史上最大の高波に挑むサーフィンやウインドサーフィンを各プレイヤーによるナレーションで最先端のサウンドを駆使しながら今迄に見たこともないカメラアングルで見ることが出来る44分の作品。

http://www.sonymusic.co.jp/IMAX/ (1日2作品見ると料金が大幅割引になります)

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2000年5月8日 by p-movie.com

イグジステンズ

背中から始めて、脳でイク ★★★☆☆
[99/米] 1h37 4月29日より丸の内ピカデリー2ほか全国松竹洋画系にてロードショー

監督・脚本:デビッド・クローネンバーグ
出演:ジュード・ロウ、ジェニファー・ジェイソン・リー、イアン・ホルム、ウィレム・デフォー
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
宣伝:レオ・エンタープライズ

1回聞いただけでは覚えられそうもない、舌を噛みそうなタイトルは劇中の究極体感ゲームの名前で、内容はヴァーチャル・リアリティー(VR)作品。といってもクローネンバーグだけに普通のものではない。ゲームポッドは両生類の有精卵を培養したバイオテクノロジー製品で、それを脊髄に直接穴を開けて人体に繋いで行うゲーム。そして、自分が何故ゲームをやっているのかに気付かないとゲームが終わらないという。ちょっと初期の「ビデオドローム」を彷彿させてくれる作品。出演は「ガタカ」や今夏公開の「リプリー」でアカデミー助演にノミネートされていたジュード・ロウと「バックドラフト」「ルームメイト」のジェニファー・ジェイソン・リー。

近未来、人々の娯楽は脊髄に生体ケーブルを直結して行うVRゲームだった。そしてゲーム界における最大のスターが美貌の天才ゲームデザイナーのアレグラ(ジェニファー)で、彼女は新作ゲーム「イグジステンズ」の発表会に出席していた。その発表会の最中、ゲームが始まったときに突然ある男が小動物の骨で出来た奇怪な銃を取り出し、プレイ中のアレグラに向かって撃った。アレグラは重傷を負い、ゲーム責任者も凶弾に倒れる。警備員見習いのテッド(ジュード)は責任者に頼まれてアレグラを開場から連れ出した。どうやら反イグジステンズ主義者と名乗るテロリスト達がアレグラの首に賞金を賭けての犯行だったようである。2人は、誰が敵で誰が味方なのか、何が現実で何が非現実なのか、分からなくなってしまう。

アイディアマンのクローネンバーグだけあって、低予算でも(特にゲーム中の画面でも舞台は変わらない)登場するアイテム(いつもの気色悪い物体)や発想などで飽きはしない。しかし、ちょっと製作するのが遅かったようだ。「ザ・フライ」の頃に製作されていれば、もう少し話題になっただろう。

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2000年5月1日 by p-movie.com