フローレス

デ・ニーロ久々の役作り作品 ★★★★☆
[99/米] 1h51 9月2日より銀座シネパトスにてロードショー

製作:監督・脚本:ジョエル・シューマカー
出演:ロバート・デ・ニーロ フィリップ・シーモア・ホフマン
配給・宣伝:UIP

最近、派手な大作の出演が多かったロバート・デ・ニーロが久々に役にのめり込んだヒューマンドラマ。共演は「マグノリア」「ハピネス」「リプリー」と出演作が多いフィリップ・シーモア・ホフマンで、この作品ではドラッグ・クイーンを演じている。監督は最近の「バッドマンシリーズ」「フラット・ライナーズ」「評決のとき」のジョエル・シューマカーでこの人は本物のゲイ。

ニューヨークの片隅に生きている[2人]。ウォルト(デ・ニーロ)は元警官の独身中年男、ラスティは派手な衣装で闊歩するドラッグ・クイーンでもあるプロの歌手。2人の共通項といったら同じアパートの住人というぐらいで犬猿の仲。ある日、ラスティの部屋でトラブルが発生した。マフィアのボスの金を盗んだ友人をかくまったためマフィアに押し入られたのだ。元警官の血が騒いだウォルトは、駆けつけようとするが突然発作に襲われてしまう。脳卒中になったウォルトは右半身が麻痺して喋るのもままならなくなってしまう。医師にリハビリには歌がいいと言われ、仕方なくウォルトはラスティに歌のレッスンを頼むのだがすぐ喧嘩になってしまう。でもレッスンを続けていくうちに徐々に2人の溝は縮まっていった。しかし、ラスティが金を隠し持っていると知ったマフィアはアパートにやって来た。

脳卒中の友人のリハビリに歌のレッスンが有効というエピソードからシューマカーは脚本を書き上げた。デ・ニーロは役のために病院でリサーチをして、鉛の靴や腕に特殊な重りを付け、麻痺した顔のイメージを出すために特殊なマウスピースを作らせ、症状の変化に合わせて違うものを作っている。フィリップ・シーモア・ホフマンも今までの演技はどうも好きになれなかったが今回は好感が持てたし、ジョエル・シューマカーも「セント・エルモス・ファイアー」に続いて好きな作品になった。それにしてもいくら地味な作品だからといって銀座シネパトスのみの公開はかわいそう。

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2000年9月4日 by p-movie.com

シャンハイ・ヌーン

ジャッキー待望の西部劇 ★★★★☆
[00/米] 1h51 8月5日よりニュー東宝シネマほか全国東宝洋画系にてロードショー

監督:トム・ダイ
制作総指揮・原案:ジャッキ・チェン
出演:ジャッキー・チェン オーウェン・ウィルソン ルーシー・リュー
配給・宣伝:東宝東和

ジャッキー・チェンがハリウッド進出の第2弾に選んだのは、19世紀の開拓時代のアメリカを舞台にしたハチャメチャアクション・アドベンチャー。製作社は撮影中のラッシュフィルムを見て「21世紀のインディー・ジョーンズ・シリーズ」になると映画が完成する前に続編の製作を決めた。「ラッシュアワー」の撮影時に次の企画を話していたジャッキーが、以前からやりたかった西部劇アドベンチャーのアイディアがそのまま映画化されてジャッキーは原案でもクレジットされている。共演は「ホーティング」で首チョンパになっていたオーウェン・ウィルソンに「ペイバック」や今年公開の「チャーリーズ・エンジェル」でエンジェルの 1人を演じるルーシー・リュー、それにスタントでユン・ピョウが参加してる。ちなみに「シャンハイ・ヌーン」のタイトルは「真昼の決闘」の原題「ハイヌーン」とカケていて、続編のタイトルは「シャンハイ・アフターヌ-ン」or「シャンハイ・ミッドナイト」になるらしい。「ラッシュアワー2」の次かな?

1881 年、中国・紫禁城から美しきプリンスのペペ姫(ルーシー)が誘拐された。犯人らは姫をアメリカ大陸西部に連れ去り、身代金に金貨10万枚を要求してきた。人選には漏れたが、どうにか姫救出の一団に加わったチョン・ウエイン(ジャッキー)は7週間後にアメリカにやって来て列車で移動しているが、ロイ(オーウェン)率いるドジな列車強盗に遭遇。それがきっかけで仲間とはぐれてしまい。しかもインディアンの少年を助けたことから酋長の娘を妻にする事になってしまう。インディアンの村をあとにしたチョンは酒場でロイと再会するが大乱闘を起こし留置所に入れられてしまう。そこでロイはチョンから事情を聞き、2人はコンビを組むことにして脱獄、ペペ姫の救出に向かうが懸賞金付きのお訪ね者になってしまう。

ジェット・リーがリー・リン・チェイ時代に出演した「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ&アメリカ」という凄いカンフー西部劇があったが、この「シャンハイ・ヌーン」もかなりメチャクチャな作品。「ラッシュアワー」と同様に口の立つ奴とコンビを組み、「WHO AM I?」のように現地の人と触れ合っている。いつもの適当にその辺にある物を使ったジャッキー・アクションは最高で、特に酒場での乱闘シーンは「プロジェクトA」を思い出した。クライマックスがいつもの作品と比べると物足りないが続編に期待しよう。

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2000年8月7日 by p-movie.com

スチュアート・リトル

小さなスチュアートの大きな愛の物語 ★★★★☆
[99/米] 1h24 7月15日より日比谷映画ほか全国東宝洋画系にて公開

原作:E.B. ホワイト
監督:ロブ・ミンコフ
脚本:M.ナイト・シャラマン/グレッグ・ブルッカー
出演:ジーナ・デイビス ヒュー・ローリー ジョナサン・リップニッキー
ボイスキャスト:マイケル・J・フォックス チャズ・パルミンテリ
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
宣伝:トライアル

50年以上も多くの家族達を楽しませてきたアメリカの作家E.B.ホワイトの名作を「シックス・センス」の監督 M.ナイト・シャラマンが脚本を書き、「ライオン・キング」の共同監督の1人、ロブ・ミンコフがメガホンをとった身長7.5cmのネズミが主役のファミリー・ムービー。全米で昨年の冬に公開され「トイ・ストーリー2」と上位を争い、1億ドルを突破して大ヒット。すでに続編の製作も決定している。出演は「ザ・エージェント」に5才で出演したジョナサン・リップニッキー(現在10才)に、レニー・ハーリン監督と別れて路線を変更?したジーナ・デイビス。ネズミのスチュワートの声は先頃活動休止を発表したマイケル・J・フォックス。

ニューヨークのビルの谷間に立つちょっと古風な家に暮らしているリトル家は、優しいパパ(ヒュー)とママ(ジ-ナ)に幼い一人息子のジョージ(ジョナサン)と猫のスノーベルという4人家族で理想的な家庭。しかし弟を欲しがっているジョージのためにリトル夫婦は養護施設に養子を貰いに行く。そこで出逢った小さな白いネズミのスチュワートに、賢さと家族に憧れているいじらしさを気に入り養子に貰い受ける。新しい弟に会えるのを楽しみにしていたジョージはスチュワートを見てビックリ、そして猫のスノーベルも自分がネズミのペットになるということが気にくわない。スチュワートにとっては先が思いやられるスタートになった。しかし、ジョージが出場した模型ヨットレースをスチュワートが運転して優勝したことから意気投合親戚一同もお祝いに駆けつけ、トロフィーと共に家族4人で記念写真も撮った。ところが、スチュワートの両親と名のるネズミ夫婦がやってきて彼を引き取りたいと言い出した。だが、これは猫のスノーベルが仕組んだ罠であった。

原作はアメリカでは有名だが日本では馴染みがないために、いきなり施設に喋るネズミがいて養子に貰ってきてしまうという設定に呆気にとられて、とけ込めないかも知れないが、慣れてしまえばそこからは実写版トムとジェリーといったところ。ネズミのスチュワートはCGの作り物だが猫は本物を使い(猫は人間とは喋れないがネズミや仲間の猫とは話せる)、これが「ベイブ」の喋り合成よりも一段と良く出来ている。じゅうぶん大人でも楽しめるし、家族思いの強い人ならラストは泣いてしまうかも知れない。この作品はファミリー映画ということで劇場では吹き替え版がメインになるそうなので、詳しくは劇場のチェックをして下さい。ちなみに日本のボイスキャストは藤原竜也とホンジャマカの二人です。

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2000年7月10日 by p-movie.com

ザ・ハリケーン

無実の天才ボクサーの奇跡の実話映画 ★★★★☆
[99/米] 2h25 6月24日より日比谷映画劇場ほか全国東宝洋画系にてロードショー

原作:ルービン”ハリケーン”カーター
監督:ノーマン・ジュイソン
出演:デンゼル・ワシントン ヴィセラス・レオン・シャノン デボラ・カーラ・アンガー
共同配給:ギャガ・ヒューマックス/東宝東和
宣伝:レオ・エンタープライズ

ミドル級ボクシングチャンピオンのルービン・”ハリケーン”・カーターに起こった冤罪事件をデンゼル・ワシントンが演じた奇跡の実話映画。監督は36年に及ぶ監督生活の中で45部門のオスカー候補になる傑作を生んできたノーマン・ジュイソン。本作でもデンゼルが主演男優賞にノミネートされている。共演は「飛べないアヒル2」のヴィセラス・レオン・シャノン、「クラッシュ」「ゲーム」のデボラ・カーラ・アンガー、「スライディング・ドア」「ハムナプトラ」のジョン・ハンナ、「ファントム」「スクリーム」シリーズのリーヴ・シュレイバー。

稲妻パンチといわれた素早いパンチでハリケーンと呼ばれていたボクサーのルービン・カーター(デンゼル)は、1963年にはウェルター級のチャンピオンになった。しかし、その3年後に彼は、たまたま通りかかった殺人事件現場で容疑者として逮捕され、人種偏見を持った刑事の息のかかった裁判により有罪判決を受け終身刑を宣告されてしまう。自分は無実だからだと囚人服の着用を拒み自伝の執筆を続け、74年に「16R」を出版。自伝は大きな反響を呼び、ボブ・ディランやモハメッド・アリにより釈放運動が起こるが、再審で再度有罪判決を受けてしまう。カーターは妻とも離婚をして自分と社会の繋がりを完全に断ち切ってしまう。それから数十年が経ち、誰の記憶からもハリケーンの名が忘れられた頃に古本市でレズラ(レオン)という黒人の少年が、「16R」を買い、感動を受けカーターに手紙を送ると驚いたことに返事が戻ってきた。こうして始まった二人の文通。そしてレズラの保護者であるリサ(デボラ・カーラ・アンガー)、テリー(ジョン・ハンナ)、サム(リーヴ・シュレイダー)も力になり再び再審請求に動き出す。そして30年目にして連邦裁判所というリングでラスト・ラウンドが始まった。

無罪確定から10年が過ぎてからの映画化だったが、この事件を全く知らなかったので素直にストーリーに入り込めた。映画は無実の黒人VS人種差別の白人刑事と、生い立ちに多くの共通点のあったカーターとルービン少年とのやりとりがメインになっているので、後半の再審の描き方に物足りなさを感じるかもしれない。これはどうやらルービン少年と同じ世代に見てもらおうという配慮のようである。でも 45歳にしてボクサー体型になり挑んだデンゼルのボクシングシーンは凄いし、ラストは充分に感動に浸れる。

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2000年6月26日 by p-movie.com

グラディエーター

死を賭けた壮絶な闘い ★★★★★
[00/米] 2h35 6月17日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹洋画系にてロードショー

監督:リドリー・スコット
出演:ラッセル・クロウ ホアキン・フェニックス コニー・ニールセン オリバー・リード
配給・宣伝:UIP

「インサイダー」で20kgも体重を増やしたラッセル・クロウが、体重を元に戻して挑んだローマ帝国を舞台にした壮大なスペクタクルドラマ。共演はリバー・フェニックスの弟で「8mm」のホアキン・フェニックスと「ミッション・トゥー・マーズ」でティム・ロビンスと華麗な宇宙ダンスをしていたコニー・ニールセン。監督は最近どうも不調だったリドリー・スコットが、デビュー作「デュリエスト/決闘者」を思い出させてくれるような原点に戻り、「エイリアン」や「ブレード・ランナー」でこだわった美術デザインや視覚効果を駆使して楽しませてくれる。

西暦 180年の大ローマ帝国、時の皇帝マルクス・アウレリウスに信頼を置かれていたアエリウス・マキシマス将軍(ラッセル)は、勢力を拡大するために壮絶な戦闘を繰り広げていた。そこへ駆けつけたのは、皇帝の息子コモドゥス(ホアキン)と姉のルッシラ(コニー)。次期皇帝の座を信じていたコモドゥスだったが次期皇帝はマキシマスを考えているとアウレリウスに告げられ、コモドゥスは涙ながらに父親アウレリウスを殺害してマキシマスを抹殺する。間一髪、死んだと見せかけて難を逃れたマキシマスであったが、家族は殺され奴隷の身として実力者だけが生き残れる剣闘士(グラディエーター)として巨大コロシアムで観衆を楽しませる見せ物奴隷になってしまう。生き残るためには勝ち続けなければいけない死闘ではあるが、持ち前の将軍魂を発揮して観衆はマキシマスを英雄として迎えた。その存在は観戦していたコモドゥス皇帝も認めて仮面を取るように命ずる。遂にマキシマスはコモドゥスの前で仮面を脱ぐ。処刑したはずのマキシマスが生きているとわかり、コモドゥスはまたもや抹殺を企てる。

80年代は甲冑モノの戦闘劇は結構作られていたが、制作費がかかるのと人気がなくなったことで最近はあまりお目にかかってなかったが、特殊効果の技術により撮影が以前よりも楽になったようで制作された。しかし巨大なコロシアムの建設やセットなどで1億ドルは掛かっている(でもあっという間に1億ドルを突破して、まだアメリカでヒット中)。オープニングの大規模の戦闘シーンで「ジャンヌ・ダルク」を遥かに超えて、メインの死闘を繰り広げる剣闘シーンは驚きの連続。2時間35分はあっという間です。ぜひ大画面で見て下さい。
(気まぐれ飛行船)

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2000年6月18日 by p-movie.com