チョコレート

初のアカデミー黒人最優秀主演女優賞作品  ★★★★☆
[01/米]1h53 7月20日よりシャンテシネほか全国順次ロードショー

製作:リー・ダニエルズ
監督:マーク・フォースター
脚本:ミロ・アディカ、ウィル・ロコス
出演:ハル・ベリー ビリー・ボブ・ソーントン ヒース・レジャー ピーター・ボイル
配給:ギャガ・コミュニケーションズGシネマグループ
宣伝:ビターズ・エンド

[再生と許しを描いた、心にしみる珠玉のラヴストーリー:Monster's Ball]
ご存知ハル・ベリーが、黒人初のアカデミー最優秀主演女優賞を受賞した心にしみる珠玉のラヴストーリー。出演は、ほかに「バーバー」の ビリー・ボブ・ソーントン、「ロック・ユー!」のヒース・レジャー、「ドリーム・チーム」のピーター・ボイル、「ショウタイム」のモス・デフ。監督は25歳にしてデビューしインディペンデント界で活躍、これが日本初登場の新鋭マーク・フォースター。原題の「Monster’s Ball」とは、処刑前夜に囚人のために開くというパーティの名前。邦題の「チョコレート」は、ハル・ペリーの肌の色。

ハンク・グロトウスキーはジョージア州にある最重度警戒刑務所の生え抜きの看守。しかも、一般の看守とは違い、死刑囚棟に勤務するグループのリーダーである彼の任務は、死刑囚を監視してその時がくれば刑の執行を取り仕切ること。ハンクの息子のソニーは、看守になったばかりで、父親はこの仕事をこなすにはソニーは気弱すぎるのではないかと懸念する。そして黒人の囚人ローレンスが取り乱した時ソニーも気が動転し、ハンクがやむなく割って入る。処刑後、ハンクは息子を厳しく責める。だが彼の言葉は悲惨な結果を招いた。ソニーが自ら命を絶ったのだ。悲しみと自責の念に打ちのめされたハンクは、仲間達の反対を振り切って退職した。ある日の雨の夜、道端で息子をひき逃げされたレティシアを助けるハンク。レティシアに惹かれるハンクは、彼女との交際を求めるようになり遠慮がちに好意を示す。もう死に向かう人々を後押しするのではなく、生きようとする誰かを手助けできるのだ。レティシアを愛することが、彼自身の救済となっていた。しかし、レティシアはハンクが夫だったローレンスの最後を見届けた人物だと知らなかった。

愛を注ぐことを覚える前に息子を失った孤独な男と、夫と幼い息子を相次いで亡くした幸せ薄い女。失意の底で出会い、互いを求め合わずにはいられなかったふたりの愛と癒し、再生と許しを描いた大人のラブストーリー。ハル・ベリーの体当たり演技は、アカデミー最優秀主演女優賞も納得。相手役のビリー・ボブ・ソーントンもいつもながらの貫禄演技。出番の少ないヒース・レジャーは、過労で降板したウエス・ベントリーのピンチヒッターで出演した。そして忘れちゃいけないのが監督のマーク・フォースター。次作も配給して下さいねGAGAさん。

オフィシャルサイト: http://www.monstersballthefilm.com/

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2002年7月22日 by p-movie.com

スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃

今度はミステリー&ラブロマンス ★★★★☆
[02/米]2h22 7月13日より日劇1&スカラ座1ほか全国東宝洋画系にてロードショー

製作:リック・マッカラム
監督:ジョージ・ルーカス
脚本:ジョージ・ルーカス&ジョナサン・ヘイルズ
出演:ユアン・マクレガー ナタリー・ポートマン ヘイデン・クリステンセン サミュエル・L・ジャクソン クリストファー・リー フランク・オズ テムエラ・モリソン イアン・マクダーミド
配給:20世紀フォックス(極東)映画会社
宣伝:20世紀フォックス

[Star Wars: Episode II - Attack of the Clones 全米公開2002年5月16日]
「スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス」より10年後から始まる最新章。19歳のアナキン・スカイウォーカー役を射止めたのは、7月20日から公開の「海辺の家」に出演しているカナダで活躍していたヘイデン・クリステンセン。今回の新たな出演者は「ロード・オブ・ザ・リング」のクリストファー・リー、「ヴァーティカル・リミット」のテムエラ・モリソン、「マッリの種 」のアイーシャー・ダルカール。ジョージ・ルーカスと脚本を書いてるのは、「スコーピオン・キング」のジョナサン・ヘイルズ。

日本での公開は、アジアでは一番遅く、世界でもブビー上映。これは昨年に比べてサマームービーに目玉作品がないから。そして、全米では夏公開のフォックス作品「マイノリティ・リポート」(トム・クルーズ主演、スピルバーグ監督 12月7日公開)は、日本では正月映画になった(東京国際映画祭2002のオープニング作品に決定!) 。それと「スパイダーマン」との公開を避けたのも正解。劇場も同じだしね。

「ロード・オブ・ザ・リング」同様に、説明ばかりでダラダラとしていた「SWエピソード1」にガッカリし、まったく期待していなかったのもあり、今回はかなり楽しめた。今回も議会や討論のシーンはあるが、全体的なテンポはノンストップで見所も満載。全体の半分を、女王を退冠したにも係わらず賞金稼ぎに命を狙われたアミダラの護衛に就くアナキンとのラブストーリーと、オビ=ワンが刑事のように賞金稼ぎを探し出す攻防と黒幕探しのミステリー仕立てにしてストーリーを分かり易くしている。これは子供や女性にも見て貰おうという作戦。アメリカでは、テロ直後から始まった予告編からラブストーリーを前面に押し出し展開していた。アミダラの衣装も東洋的なものから、真似しやすいカジュアルなものになっている。

(ネタバレバレ注意報)
今回の作品には登場人物それぞれにスポットが当たっていて主要メンバーは、みんな戦う。ジェダイの仲間もたくさん登場して、こんなに居たのかと驚いてしまった(なかには東洋人の顔も)。ヨーダを操る監督としても有名なフランク・オズが、「今回は楽をさせてもらった」とコメントしていたのでもしやとは思ったが、ヨーダも遂に戦う。フォースを使う白熱のシーンは、ドラゴンボールのピッコロのようで、拍手もの。これは実写版の予行演習かな? ルーカスはC-3POよりもジャー・ジャー・ビンクスの方がお気に入りだと言う事が今回でハッキリした。

オフィシャルサイト: http://www.foxjapan.com/movies/episode2/index.html

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2002年7月11日 by p-movie.com

マジェスティック

静まり返った街に奇跡が起こる ★★★★★
[01/米]2h33 6月22日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にてロードショー

製作:フランク・ダラボン、マイケル・スローン
監督:フランク・ダラボン
脚本:マイケル・スローン
出演:ジム・キャリー マーティン・ランドー ローリー・ホールデン
配給:ワーナー・ブラザース
宣伝:レオ・エンタープライズ

[フランク・ダラボンの奇跡と感動の3部作完結:THE MAJESTIC]
「ショーシャンクの空に」であきらめない希望、「グリーンマイル」で”希望”が生み出した奇跡を描いたフランク・ダラボン監督による3つ目の希望の物語。主演は「マン・オン・ザ・ムーン」「トゥルーマン・ショー」で 2度のゴールデン・グローブ賞に輝いたジム・キャリー、「エド・ウッド」のオスカー俳優マーティン・ランドー、 TVシリーズ「X-ファイル」のローリー・ホールデン。

1951年のハリウッド。新進脚本家のピーター・アプルトンは、デビュー作の「サハラの海賊」が、ジョン・ヒューストン監督の『アフリカの女王』とともにチャイニーズ・シアターで上映されることになり幸福の絶頂にあった。しかし、運命は突然暗転する。おりしもハリウッドに赤狩りの嵐が吹き荒れる中、非米活動委員会から突然共産主義者と名指しされ、審問会に呼び出されたのだ。がっくりきたアプルトンは車に飛び乗り、夜通し西海岸を走らせる。途中で事故を起こして川に転落。見知らぬ海岸に打ち寄せられた。辿り着いたのはローソンという街。しかしピーターは記憶喪失になっていた。町に足を踏み入れたピーターは、老人に声を掛けられる。「ルーク!よく戻った。生きていると信じていた、わが息子よ!」。涙ながらにピーターを抱きしめる老人ハリー。ハリーはピーターを自分の息子のルークと勘違いする。街は、第二次世界大戦で62人の若者を失っていた為に、ピーターは街のヒーローになってしまう。しかもルークにはアデルという恋人がいて二人は戦争が終わったら結婚しようと約束していたのだった。ハリーはかつて、「マジェスティック」という映画館を経営していた。今は見る影もなく荒れ果てたその映画館を、かつてルークはこよなく愛していたという。ルークを失った悲しみから、映画館を閉めてしまったハリーだが、最愛の息子が戻ってきたことで映画館を再建しようと決意する。町にも活気が戻り、ピーターは記憶が戻らなくても、この町で生きて行こうと心に決めていた。しかし「マジェスティック」で『サハラの海賊』が上映され、ピーターは記憶が甦ってしまう。そこに彼の居所を突き止めた警察がピーターを逮捕しにやって来た。

「マン・オン・ザ・ムーン」「トゥルーマン・ショー」と賞狙いに来ていたジム・キャリーが、フランク・ダラボンと組んで勝負に出た作品だが、あまりにもミエミエだったかアカデミー会員には見向きもされなかったが、映画を愛している人達、特にフランク・キャプラや、「ニュー・シネマ・パラダイス」の好きな方には絶対に見て欲しい作品。ジム・キャリーは、次回作が勝負。

オフィシャルサイト: http://www.themajestic.jp/

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2002年6月22日 by p-movie.com

ニューヨークの恋人

赤い糸は時を越える ★★★★☆
[01/米]1h58 6月15日より日比谷スカラ座1ほか全国東宝洋画系にてロードショー

製作:キャシー・コンラッド、スティーヴン・ロジャース
監督:ジェームズ・マンゴールド
脚本:ジェームズ・マンゴールド、スティーヴン・ロジャース
原作:ステイーヴン・ロジャース
出演:メグ・ライアン ヒュー・ジャックマン リーヴ・シュレイバー ブレッキン・メイヤー
共同配給:ギャガ・ヒューマックス
宣伝:オメガ・エンタテインメント

[時を越えた奇跡のラブ・ストーリー:Kate & Leopold]
メグ・ライアンと言えば、ラブコメ。今度はどんな赤い糸を結びつける?絶対にありそうも無い事。そうだ、タイムスリップはどうだろう!? と決まったかどうかは知らないが、今回は時を越えた奇跡のラブ・ストーリー。お相手は、「X-メン」「ソードフィッシュ」「恋する遺伝子」のヒュー・ジャックマン、元カレに「ザ・ハリケーン」のリーヴ・シュレイバー、弟に「ラットレース」のブレッキン・メイヤー、上司に「ハリウッド・ミューズ」のブラッドリー・ウィットフォード。監督は「コップ・ランド」「17歳のカルテ」のジェームズ・マンゴールド。

現代のニューヨーク。広告会社で働くケイトは、一人暮らしのアパートメントの階上に住む元ボーイフレンドのスチュアートのところに、やたらとクラシックな服を着て完壁な王立英語を話す不思議な男が転がり込んできたのを知る。彼が何者なのかを説明する暇もなく、スチュアートは突然故障したエレベーターから落下して病院送りに。どこか奇妙だがハンサムで礼儀正しい闖入者はレオポルドと名乗る。仕事にも恋にも疲れたキャリアウーマンで、自分の人生に奇跡なんか起こらないと考えているリアリストのケイトと、人生には愛と誠実さが不可欠と考えるロマンティストのレオポルド。非常階段で行き来できるアパートメントの上階と下階で、二人の風変わりな半同居生活が始まった。ケイトのもとに遊びに来た役者志望のケイトの弟チャーリーは、レオポルドの隙のない完壁な身のこなしと美しい発音に、彼が役者だと思い込む。だが、レオポルドは、19世紀のニューヨークで、愛する女性とめぐり逢えないまま結婚相手を決めざるを得ない状況にいた公爵だった。彼は、125年の時を行き来していたスチュアートにの後をつけて 2001年に来てしまったのだった。

“有能なキャリアウーマン”だったケイトを“幸福なレディ”にしたのは、現代男性にはないレオポルドの騎士道精神。あらゆる女性に「こんなふうに愛されてみたい!」と思わせる率直さと誠実さ、そしてどんな状況にあっても命がけで守ってくれる男らしさが抜群。セントラルパークでバッグをひったくられたケイトを観光馬車の馬を見事な手綱さばきで泥棒を追いかけ、バッグを取り返して戻ってくるレオポルド。その姿はまさに「白馬に乗った王子様」。こういうシーンが許せてしまうのも、この二人だからでしょう。タイムスリップ映画としては落第だが、デートムービーとして、見て損はなし。そういえば、上司がオフィスでケイトに枝豆を勧めるシーンがあったが、これはギャグ?それとも流行?

オフィシャルサイト: http://www.ny-love.com/

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2002年6月17日 by p-movie.com

アリ

闘い続けた男、モハメド・アリ物語 ★★★☆☆
[01/米]2h37 5月25日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にてロードショー

製作総指揮:ハワード・ビンガム、グラハム・キング
原案:グレゴリー・アレン・ハワード
監督:マイケル・マン
脚本:スティーブン・J・ライベル&クリストファー・ウィルキンソン、 エリック・ロス&マイケル・マン
出演:ウィル・スミス ジョン・ボイト ロン・シルバー マリオ・ヴァン・ピープルス ジェイダ・ピンケット・スミス
配給:松竹、日本ヘラルド映画
宣伝:松竹

[不滅の生き方を描く感動の人間ドラマ:ALI]
通算61戦56勝37KO5敗という圧倒的な強さ、“蝶のように舞い、蜂のように刺す”と言われたリングでの軽やかなフットワークで、世界ヘビー級チャンピオンとして不動の地位を築いた伝説のボクサー、モハメド・アリ物語。アリを演じるのは「メン・イン・ブラック」「インディペンデンス・デイ」「バガーバンスの伝説」のウィル・スミス、共演は「トゥームレイダー」のジョン・ボイト、「タイムコップ」のロン・シルバー、「パンサー」のマリオ・ヴァン・ピープルス、「マトリックス2&3」を撮影中のジェイダ・ピンケット・スミス。監督は「レッド・ドラゴン レクター博士の沈黙」「ラスト・オブ・モヒカン」「ヒート」「インサイダー」のマイケル・マン。

本作は、1964年に若くして世界ヘビー級チャンピオンのタイトルを獲得する日から、1974年“キンシャサの奇跡”と呼ばれる伝説のタイトル・マッチに挑むまでの10年間の魂の軌跡を力強く描く感動の人間ドラマである(残念ながらアントニオ猪木との異種格闘技戦はなし)。1964年にソニー・リストンを破り、弱冠22歳の若さで世界ヘビー級チャンピオンとなった青年カシアス・クレイは、タイトルを獲得した翌日突然、黒人イスラム教団体「ネイション・オブ・イスラム」へ入信し「モハメド・アリ」(賞賛されるべき人)に改名すると発表し、世間に驚愕と反発を与える。圧倒的な強さと勢いで、9回の防衛に成功し、美しいソンジーと結婚、未来は順風満帆に思えた。しかし、自らの信条からベトナム戦争への徴兵を拒否してアメリカ国家への反逆罪で起訴されたアリは、チャンピオンの地位を剥奪され試合に出場することさえ禁じられ、ボクサーとして最も充実した時間を奪われてしまう。アリはあきらめなかった。かつての自分のように無敵を誇る若きチャンピオン、ジョージ・フォアマンと対戦するため、アリはザイールのキンシャサへ向かう。今度こそ自分の王冠を取り戻す為に、そして真実を示すために……。

作品はアリを中心に、トレーナーやセコンド陣、3人の妻、スポーツ・ジャーナりスト、「ネイション・オブ・イスラム」の指導者マルコムX(デンゼル・ワシントンではない)と彼の周りを取り囲んだ人物との交流で描かれている。ウィル・スミスは撮影に入る前に、ほぼ1年かけてアリの話し方や癖、特徴を研究すると同時に肉体的なトレーニングを重ねて20kg近く体重を増量、臨場感あふれるボクシング・シーンでは一切スタントを使わず、激しい撮影に臨んだ。でもここでマイケル・マンが一番描きたかったのは、アリの本当の敵はリングの外に居たという点。ウィル・スミスが、アカデミー賞を受賞できなかったのも、ここにあるのかも。

オフィシャルサイト: http://www.ali-movie.jp/

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カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2002年5月27日 by p-movie.com