容疑者

父と子の絆を描くサスペンス ★★★★☆
[02/米]1h48 10月12日より日比谷映画ほか全国東宝洋画系にて全国ロードショー

[製作]マシュー・ベアー
[原案]マイク・マッカラリー
[監督]マイケル・ケイトン=ジョーンズ
[脚本]マイケル・ケイトン=ジョーンズ ケン・ヒクソン
[出演]ロバート・デ・ニーロ フランシス・マクドーマンド ジェームズ・フランコ ジョージ・ズンザ
[共同配給]ギャガ・ヒューマックス
[宣伝]ギャガ・コミュニケーションズ宣伝部

[痛いほど皮肉なストーリー:CITY BY THE SEA 全米公開2002年9月6日]
ピューリッツア賞受賞作家のドキュメンタリー記事を原案に、ロバート・デ・ニーロ主演の刑事サスペンス大作。共演は「ファーゴ」のフランシス・マクドーマンド、「スパイダーマン」のジェームズ・フランコ、「ディア・ハンター」のジョージ・ズンザ、「ボーイズ・ライフ」のエリザ・ドゥシュク、「ワンス・アポン・ア・タイム」のウィリアム・フォーサイス、「ザ・プロフェッショナル」のパティ・ルポーン。監督は「ボーイズ・ライフ」「メンフィス・ベル」「ドク・ハリウッド」「ロブ・ロイ」のマイケル・ケイトン=ジョーンズ。

NY市警察殺人課・敏腕刑事ビンセント・ラマーカは、実の父親が幼児誘拐殺人犯として処刑された過去を持つ。新たな殺人事件を担当したヴィンセントは、その容疑者が離婚した妻との間にできた実の息子ジョーイであると知らされる。そんな中、事件を追っていた相棒警官が殺されてしまった。容疑者はまたしてもジョーイ。ヴィンセントは、家族と仕事とどちらにも正しい選択をするために人生を賭ける事になる。

ストーリーで分かるように、よくある刑事アクションではなく、デニーロの苦悩する演技が見所のエモーショナルなファミリー・ドラマと迫力満点の刑事サスペンス作品。父親に続いて息子まで殺人犯にという苦悩、同僚を殺したのが息子かもしれないのに通夜へ遺族に会いに行く苦悩、恋人にこれからの関係を問いださられる苦悩、息子と恋人の間に出来た子供の世話を押し付けられる苦悩、別れた妻から息子を助けて欲しいと頼まれる苦悩など、久々にデニーロの役者魂が爆発している。これは「ロード トゥ パーデイション」と共にアカデミー賞にノミネートされるかも。

オフィシャルサイト: http://www.gaga.ne.jp/yougisha/

.

カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2002年10月14日 by p-movie.com

ロード・トゥ・パーデイション

自分の息子には人生を与えたかった ★★★★☆
[02/米]1h59 10月5日より日劇1ほか全国東宝洋画系にて全国ロードショー

[製作]リチャード・F・ザナック ディーン・ザナック サム・メンデス
[監督]サム・メンデス
[原作]マックス・アラン・コリンズ&リチャード・ピアース・レイナー
[脚本]デヴィッド・セルフ
[出演]トム・ハンクス タイラー・ホークリン ポール・ニューマン ジュード・ロウ スタンリー・トゥッチ
[配給]20世紀フォックス(極東)映画会社
[宣伝]20世紀フォックス

[組織の掟と愛の再生を描いたアクション叙事詩:The Road to Perdition]
アカデミー主演男優賞に2度輝いたトム・ハンクスと「リプリー」で助演男優賞にノミネートされたジュード・ロウ、そして最後の銀幕のスターことポール・ニューマン。この3人の大スターと「アメリカン・ビューティー」でアカデミー作品・監督賞を獲得したサム・メンデスの夢のようなコラボレーションが実現させ久々のギャング映画が誕生。共演は「ミセス・パーカー/ジャズエイジの華」のジェニファー・ジェイソン・リー、「シェフとギャルソン、リストランテの夜」で共同脚本・共同監督&主演をこなした才人スタンリー・トゥッチ、「エリザベス」のダニエル・クレイグ、2000人のオーディションで選ばれた新人タイラー・ホークリンと「グッドナイト・ムーン」の子役リーアム・エイケンが、ハンクスの息子役で出演。

時は旧30年代、大恐慌真っ只中のシカゴ。マイケル・サリヴァンはアイルランド系ギャングの殺し屋として働いていた。しかし、ギャングのボスの息子・コナーが話し合いの途中で相手を射殺、仕方なく手を貸したマイケルは、興味本位で父親の仕事を見ようとした長男に殺しの現場を見られてしまう。コナーは、父親とマイケルの親密さを苦々しく思っていたのもあり、口封じでサリヴァンともども殺すことを決意する。妻と次男の命を奪われたサリヴァンは、生き残った長男とともに復讐と救済を求めて旅立った。コナーの凶行を許し再出発するためにボスから和解金が提示される。だが、サリヴァンは受け取ろうとせずにメッセンジャーの頭を銃でぶち抜いた。シカゴのイタリア系マフィアを牛耳るフランク・ニッティを訪ねて支援を仰ぐが既に彼のもとにはボスの父子が来ていた。二人の息子の狭間でボスが選んだのはデキが悪くとも血の繋がったコナーだった。ニッティは殺し屋マグワイアをサリヴァンに差し向ける。

旧30年代という時代が舞台だが、「アメリカン・ビューティー」と同じく父親の苦悩を描いた作品。物語を占めているのは、ファミリーから追われる身となったサリヴァンと長男の生きる術を伝えるロードである。タイトルの“パーディション”とはサリヴァンと息子のマイケル・サリヴァン・ジュニアが目指す町の名であり、同時に“地獄”を碗曲的に意味する言葉でもある。ここで大きく係わって来る殺し屋マグワイアは、年をとった役だった為に、ジュード・ロウは髪は禿げ、顔色は不気味で歯はボロボロ、殺した死体の写真を撮るのが趣味と不気味キャラに扮している。おそらくこの作品もアカデミー賞に絡んでくるだろう。

オフィシャルサイト:http://www.foxjapan.com/movies/roadtoperdition/

.

カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2002年10月7日 by p-movie.com

完全犯罪クラブ

戦慄の「次世代型完全犯罪」のすべて ★★★☆☆
[02/米]2h00 9月28日より丸の内プラゼールほか全国松竹・東急系にて全国ロードショー

[製作]バーベット・シュローダー スーザン・ホフマン リチャード・クリスタル
[原作](文庫刊)
[監督]バーベット・シュローダー
[脚本]トニー・ゲイトン
[出演]サンドラ・ブロック ベン・チャップリン ライアン・ゴズリング マイケル・ピット クリス・ペン
[配給]ワーナー・ブラザース
[宣伝]レオ・エンタープライズ

[戦慄のまったく新しい犯罪映画:MURDER BY NUMBERS 全米公開2002年4月19日]
繰り返す進化の果てに、ある日突然変異種が生まれ出るように、犯罪史に残るすべてのサイコキラーを軽々と越えて誰も思いもつかなかった犯罪をいとも簡単にやってのける少年たちが、警察に挑戦状を叩きつける。事件を追う捜査官に「デンジャラス・ビューティー」のサンドラ・ブロック 、「バースデイ・ガール」のベン・チャップリン。少年達は「タイタンズを忘れない」のライアン・ゴズリング、「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」のマイケル・ピット。監督は「運命の逆転」「ルームメイト」「死の接吻」「絶対×絶命」バーベット・シュローダー。

森の中の排水溝で女性の死体が発見される。殺人課の刑事キャシー・メイウェザーは、新しくパートナーになったサム・ケネディーとともに捜査を担当することになった。死体の近くにあった足跡は、高価なブーツのものだった。ブーツの持ち主である近くの高校生リチャードに会いに行く。しかしブーツは事件前に学校のロッカーから盗まれており、リチャードには事件発生当時の完璧なアリバイがあった。にもかかわらず、キャシーは直感的にリチャードとクラス1の頭脳を持つジャスティンが怪しいと感じる。他に有力な容疑者が現れたにもかかわらず、リチャードに的を絞って捜査を行うキャシーに上層部から圧力がかかる。リチャードは町の有力者の息子だった。しかしキャシーは独自の捜査をやめようとしない。彼女には自らのカンを信じる理由があった。自分自身がかつて犯罪事件の被害者になったことがあったのだ。やがてキャシーの常軌を逸した執拗な追及を受け、リチャードとジャスティンの間に微妙な亀裂が入りはじめる。

プロファイリング捜査の裏をかこうとする少年犯罪と、それを追う過去のトラウマに悩まされている女捜査官との息詰まるサスペンス。2人の少年の詰めの甘さと、サンドラ・ブロックが一人で事件を解決してしまうのが気になるが、構成と展開が上手いので2時間あるが飽きずに見れる。これはサスペンス映画の得意な監督の力でしょう。シリーズ化しても面白そうだけど、興行成績があまり成績がよくなかったので無理かな。

オフィシャルサイト: http://murderbynumbersmovie.warnerbros.com/

.

カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2002年9月28日 by p-movie.com

サイン

ある日、男と家族の前に現れた〈兆候〉 ★★★☆☆
[02/米]1h47 9月21日より日比谷スカラ座1ほか全国東宝洋画系にてロードショー

製作]フランク・マーシャル、サム・マーサー、M.ナイト・シャマラン
監督:M.ナイト・シャマラン
脚本:M.ナイト・シャマラン
出演:メル・ギブソン ホアキン・フェニックス ローリー・カルキン アビゲイル・ブレスリン M.ナイト・シャマラン
配給:ブエナビスタインターナショナル(ジャパン)
宣伝:メイジャー

[シャラマン・ワールド全開:Signs 全米公開2002年8月2日]
「シックス・センス」「アンブレイカブル」のM.ナイト・シャマラン監督最新作は、ミステリーサークルを主題にした超常現象スリラー。主演はブルース・ウィリスからメル・ギブソンへ、ほか「グラディエータ」のホアキン・フェニックス、マコーレと「危険な遊び」で共演していたローリー・カルキン、「キッド」のアビゲイル・ブレスリン、「エリン・ブロコビッチ」、そして今回は、かなり重要な役でシャマランがまたもや登場する。

グラハム・ヘスは信仰心篤き牧師であったが、ある日突然に最愛の妻を事故で亡くしてしまい、彼は神に対し大いなる疑念を抱き始め、牧師を辞めて農夫となる。元プロ野球選手の弟と 2人の子供たちとの穏やかな日々──だがその平穏は、突然に打ち破られる。農場のとうもろこし畑に忽然と現れた、巨大なミステリーサークル。どう考えても人為的に作られたものではない。果たしてこの“サイン”は何を意味するのか?そして、なぜ彼の農場に出現したのか?その答えを知ろうとした瞬間、グラハムは恐るべき真実への扉を開けてしまったのだ。

相変わらず秘密主義でひたむきに隠したがるシャマランの希望により、大雑把にしか紹介ができないけど。まず引っかかるのが、何故今更ミステリーサークルなの?と言う疑問。多分皆さんがすでにオチを想像していると思いますが、前2作に比べたらあっけにとられるようなオチは待っていません。でも分かっていながら、かなり恐怖と笑いが楽しめる作品です。それは、オチの前に登場する数々のエピソード(兆候)が不気味だから。特にメディアを使った(兆候)がよく出来ています。登場人物が少なく、低予算で撮れそうな作品ではあるけど、やっぱりM.ナイト・シャマラン監督作品と冠がつかないとヒットしない作品なんです。

オフィシャルサイト: http://www.movies.co.jp/sign/

.

カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2002年9月20日 by p-movie.com

アバウト・ア・ボーイ

精神未熟なグータラ男の日記 ★★★★☆
[02/仏・英・米]1h40 9月14日より日劇3ほか全国東宝洋画系にて全国ロードショー

[製作]ティム・ベバン エリック・フェルナー ジェーン・ローゼンタール ロバート・デ・ニーロ
[原作]ニック・ホーンビィ(文庫刊)
[監督]ポール・ウェイツ、クリス・ウェイツ
[脚色]ピーター・ヘッジズ
[出演]ヒュー・グラント ニコラス・ホルト トニ・コレット レイチェル・ワイズ ビクトリア・スマーフィット
[配給]ユナイテッド・インターナショナルピクチャーズ ファー・イースト
[宣伝]UIP映画

[珠玉のハートフルなドラマ:About a Boy 全米公開2002年4月26日]
ヒュー・グラントも惚れこんだという、「ハイ・フィデリティ」の原作者でもあるニック・ホーンビィの同名小説を映画化。英国では100万部突破のベストセラーで、「ブリジット・ジョーンズの日記」男性版登場と本年度 No.1のオープニングを記録している。ほかの出演者は、本作でデビューしたニコラス・ホルト、「シックス・センス」のトニ・コレット、「ザ・ビーチ」のビクトリア・スマ-フィット、そして「ハムナプトラ」シリーズのレイチェル・ワイズ。監督は「アメリカン・パイ」のポール&クリス・ウェイツ兄弟。

ウィルは、フリーマンという名字が示すとおり、何の束縛もなし、人生を謳歌している男。高級車を乗り回し、美容室でグルーミングに励み、クイズ番組とネット・サーフィンで時間をつぶす。毎日が日曜日な生活を満喫中の彼は、一期一会の交際相手を求め、今日もシングル・マザーのナンパに精を出す。一方、12歳のマーカスにとって、人生はもっと深刻なものだ。学校ではいじめの標的になり、情緒不安定な母親は自殺騒ぎを起こす始末。その母をたまたま病院へ運んだウィルに「いい人」の素質を見出したマーカスは、毎放課後ウィルのアパートへ通うようになる。マイペースな生活をかき乱され、迷惑顔のウィル。しかし、いつしか彼は、マーカスと過ごす時間を自分が楽しんでいることに気づく。そして、そんな彼の変化は、新しい恋のチャンスを呼び込むことになるのだが…。

責任の二文字と無縁の暮らしを送っていた男が、12歳の少年との関わりあいを通じて、「自分の人生に欠けていたものは何か?」に気づいていく。オトナになりきれないオトナの心情を等身大で描きながら、人間同士の絆・孤独・愛・家族といったテーマを浮き彫りにしていくという内容。ヒュー・グラントが惚れこんだだけあり、彼にピッタリの作品。彼のような生活に憧れる男性は日本にもいるのでは? ニコラス・ホルト演じるマーカスも、デビル眉毛で図々しい奴だけど何故だか憎めない。

オフィシャルサイト: http://www.uipjapan.com/aboutaboy/index.htm

.

カテゴリー: アメリカ | ヨーロッパ | 映画レビュー

2002年9月14日 by p-movie.com