コードネームU.N.C.L.E.


©2015 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

米・ソ冷戦中の1960年代。核兵器で世界破滅を企む、凶悪テロ計画の情報をキャッチした両国は、カギを握る女ギャビー(アリシア・ヴィキャンデル)を確保しようと動く。アメリカはCIAで最も有能だが女性関係に問題アリのナポレオン・ソロ(ヘンリー・カビル)を、ロシア(当時はソ連)はKGBに史上最年少で入った超エリートだがメンタルに問題アリのイリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)を東ベルリンへ送り込む。1歩先んじたソロが、ハデな追跡劇の果てに逃げ切るが、初めて出会った両国のナンバー1スパイは、互いに相手へのライバル意識に燃えていた。

ところが、なんと彼らに与えられた次なる任務は、二人でチームを組んで凶悪テロに立ち向かうこと!恐るべき核兵器拡散を前に、両国は長年の政治的対立を超えて手を組むことになったのであった。

ギャビーは、元ナチスの天才科学者ウド・テラー博士の娘。博士は戦後、アメリカの核計画に貢献していたが、2年前に何者かに拉致された。その後の捜査から、イタリアの大企業ヴィンチグエラへの疑惑が浮上する。表向きは海運と航空宇宙業の会社だが、実はナチスの残党と組んでいる巨大な国際犯罪組織であり、組織を仕切るのは社長夫人のヴィクトリア(エリザベス・デビッキ)であった。もし博士の研究が成功すれば、誰でも簡単に原爆を作れるようになる。ソロとクリヤキンの任務は、組織に潜入して博士と研究データを奪回すること。キャラも思考も真逆。腕は最強・相性は最悪の2人はギャビーとともに、最大の敵に立ち向かう。しかし、最高レベルの重大ミッションはさらにその先だった。世界最強の国家となれるデータを、決して“相棒”に渡してはならない。必要なら命を奪ってでも…。


©2015 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

1960年代の人気TVシリーズ『0011ナポレオン・ソロ』を、『スナッチ』『シャーロック・ホームズ』などのガイ・リッチー監督が新たな視点で映画化。最も嫌いなタイプの男とコンビを組まなければならないという究極の設定で、バディムービーをさらに進化させた。東西冷戦下、CIAとKGBのエージェントが協力し合い世界規模のテロ事件を阻止すべく奮闘する。プレーボーイのソロと堅物クリヤキンという真逆のスパイコンビを、『マン・オブ・スティール』のヘンリー・カビルと、『ローン・レンジャー』のアーミー・ハマーが熱演。そのほか『アンナ・カレーニナ』のアリシア・ヴィキャンデル、テロ組織のトップに立つ魅惑的な悪女には『華麗なるギャツビー』のエリザベス・デビッキ、名優ヒュー・グラントらが脇を固める。

オリジナルTVシリーズでも原題は『THE MAN FROM U.N.C.L.E.』であるが、原題のU.N.C.L.E(アンクル)とは、=United Network Command of Law and Enforcement
国際秘密捜査機関。世界の平和を守るため国境を越えて法を執行する国際連合ネットワーク司令部 という設定。当時は実際の国連(United Nations)の機関であると勘違いされていた(笑)らしいし、国連そのものがTV番組に名称が使われることを良しとしなかったため、スタッフが適当に単語を組み合わせて作ったらしい。またMENでなく MANなのは当初、ソロ(ロバート・ヴォーン)メインのスパイシリーズの予定だったからだとか。話が進むにつれて、相棒のクリヤキン(デヴィッド・マッカラム)が大人気となり、登場回数も増え、名実ともにバディムービーへと変化していった。

さて、今回の作品、冷戦中、ナチスの残党、原爆、米ソ共同作戦、というまさにスパイ映画に欠かせない魅力的なプロットであるが、それを別にしても、60年代という珍しくて魅力的な時代の芸術、ファッション、音楽、考え方から視点に至るまで、当時格好いいとされた全てのものを正確に抽出しながらも、今世紀の躍動感を融合させた素晴らしい映画である。

ベルリンのセットは全体的に寒々とした飾り気のない色味が用いられ、それに比べてイタリアのロケ地は鮮やかで美的感覚に訴える色彩と質感が使われている。男と女の衣装もそのトーンに見事に調和しており、東ベルリンでは冷たくて固くて陰気。物語が西ベルリンと交わり始めるとプリント柄と模様になり、イタリアに入ると色彩は暖かくなり、全体が洗練されていくのである。撮影はわざと昔風、イキなセリフと緻密な謎解き、舞台となる1960年代のハイブランド・ファッション。世界初のラグジュアリー&クール&スタイリッシュ、でも時々熱いスパイ・サスペンス・エンターテイメントが完成した! 『キングスマン』『コードネームU.N.C.L.E』『007スペクター』今年はスパイ映画の当たり年。どれを見てもハズレなし!

<CREDIT>

■出演:ヘンリー・カビル、アーミー・ハマー、アリシア・ヴィキャンデル、エリザベス・デビッキ、ヒュー・グラント
■監督:ガイ・リッチー
■配給:ワーナー・ブラザース映画
■2015年/アメリカ/116分
■原題:『THE MAN FROM U.N.C.L.E.』

2015年11月14日(土)全国ロードショー
公式ホームページ 
http://wwws.warnerbros.co.jp/codename-uncle/

©2015 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

【ライター】戸岐和宏


カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2015年11月9日 by p-movie.com