ヒューゴの<夢の発明>にあなたは驚き、涙する
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3月1日に迫った『ヒューゴの不思議な発明』の日本公開、そして最多11部門にノミネートされているアカデミー賞の発表(こちらは2月26日)を前に、あの巨匠マーティン・スコセッシ監督が緊急来日。六本木のリッツカールトン・ホテルにて記者会見を行った。
『タクシー・ドライバー』や『レイジング・ブル』でアメリカン・ニューシネマを牽引し、『ディパーテッド』で念願のアカデミー賞作品賞を受賞した彼だが、『ヒューゴ』ではこれまでとは打って変わって子どもたちの心の中に入り込み、たゆたうように自由で開放的なファンタジー映像を紡いでいく。しかも今作は彼の長いキャリアにおける初の3D映画となる。
「これは私にとってパーソナルな作品であり、これまでとは違った思い入れがあります」
そう口にするスコセッシは、その“パーソナル”な理由として、自分が歳を取ってから授かった、現在12歳になる愛娘の存在を挙げて表情をほころばせた。
これまでギャング映画などを手掛けてきた巨匠が、家に帰ると幼子と対峙して彼女の心理に寄り添わねばならないのだ。彼は娘やその友人たちの思考や感受性といったものに大きな影響を受けたという。それはまさに世界観が一変するような素晴らしい経験で、「かつて若かった自分が様々なものから創造性の刺激を受けていた時代に回帰することができた」のだそうだ。これらの経験を踏まえて彼はこう言う。
「大人の感覚を持つということは仕事をする上でとても大事なこと。しかしどれだけ歳を経ようとも、創造性だけは決して阻害されてはならない」
また今回の映画化を決心するにあたっては、奥様がふと漏らした言葉も彼の心を後押ししたようだ。彼女はそのときちょうど原作を読み終えたころで、彼にこう言った。
「あなたも時には、自分の娘のために映画を作ってみたら?」
スコセッシは今年70歳。この言葉が彼の心の中でどれだけ重く響いたかは、まるでスノードームを見つめるかのように彩られたこの映画を観ればすぐに伝わってくるはずだ。
ちなみにこの日は、女優の小雪さんがスコセッシ監督のために花束を持って来場。「ストーリー、脚本、美術、音楽、全てに渡って素晴らしく、そして3D効果が映画に奥行きを感じさせてくれます。まるで夢の中にいるかのような、あっという間の2時間5分でした」と感想を伝え、スコセッシ監督も持ち前のにこやかな笑顔で「アリガト。とても光栄です」と答えていた。
<CREDIT>
公式ホームページ http://www.hugo-movie.jp/
3/1(木/映画の日)機械仕掛けの奇跡が始まる―。
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
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【ライター】牛津厚信