この戦い、かなり刺激的。
40年以上に渡って全米で人気を誇るフィギュアシリーズをベースにしたアクション大作。
監督は「ハムナプトラ」シリーズのスティーブン・ソマーズ。
秘密兵器満載で、爽快感溢れるスピーディーなアクションが見どころ。
NATO軍の精鋭部隊を率いるデューク(チャニング・テイタム)とリップコード(マーロン・ウェイアンズ)は、新兵器ナノマイト運搬中に謎の組織”コブラ”の襲撃を受ける。
秘密部隊”G.I.ジョー”の援軍により、ナノマイト強奪は阻止したものの、部隊は全滅。
指揮官ホーク(デニス・クエイド)は、生き残ったデュークとリップコードを”G.I.ジョー”のメンバーに迎える。
彼らの前に立ち塞がるのは”コブラ”の強敵ストームシャドー(イ・ビョンホン)とバロネス(シエナ・ミラー)。だが、バロネスはかつてデュークの恋人だった…。
スパイダーマンやバットマンなど、アメコミヒーローにもメッセージ性が求められ、ジェームズ・ボンドがシリアスな方向へ舵を切る昨今。
時流に逆らうように、頭を空っぽにして楽しめる直球のアクションエンターテイメントが登場した。
息つく間もなく畳み掛ける秘密兵器とアクションのつるべ打ちがとにかく圧巻。
スーパーパワーを発揮する加速スーツに、ミサイル飛び交うカーアクション、地底を進むドリル戦車などが続々登場。
敵味方入り乱れての新兵器争奪戦に悪の秘密基地という設定も元々、アクション映画の得意分野。
だが近年はこういう荒唐無稽さが影を潜め、ハイテクビルやコンピュータネットワークの悪用といった、
より現実的な設定が好まれてきた。
それは映画にリアリティをもたらす反面、自由なイマジネーションを阻害し、アクション映画なのにどこか重苦しいというジレンマを生んでいたのも事実。
だが、基本に立ち返った本作は、この重苦しさから解放。
かつてのジェームズ・ボンドを彷彿とさせる爽快な映画に仕上がった。
さらに、多彩な顔ぶれの出演者にも注目。
アジアの大スター、イ・ビョンホンが本作でハリウッド・デビュー。
派手なチャンバラアクションに加え、ファンサービスとして、肉体美もしっかり披露してくれる。
さらに、ジョニー・デップ主演作「パブリック・エネミーズ」(12月日本公開予定)にも出演のチャニング・テイタム、「スター・トレック」のレイチェル・ニコルズなど注目の若手に加え、「バンテージ・ポイント」のベテラン俳優デニス・クエイドまで幅広くキャスティング。
覆面の戦士スネークアイズに扮するのは、「スターウォーズ エピソードⅠ」で悪役ダース・モールを演じたレイ・パーク。
美男美女から渋いオヤジまで、よりどりみどりで楽しめる。
キャラクターの個性が薄いのがやや惜しいところだが、敵味方の因縁話を盛り込むなど、人物を描こうという意欲の一端は伺える。
この点についてはシリーズ化もありえるだけに、次回以降に期待したいところだ。
と、理屈っぽい話はさておき。
ひとまずは頭を空っぽにして、最新VFXの生み出す爽快なアクションを心ゆくまで楽しんでほしい。
『G.I.ジョー』
8月7日(金)日米同時公開
公式サイト:http://www.gi-j.jp/
(C) 2009 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.
【映画ライター】イノウエケンイチ