無敵の殺人マシーン、ターミネーターの活躍が人気のSFアクションシリーズ第4弾。
現代の物語だった前3作から一転。ターミネーターが誕生した未来を舞台に、
これまで明かされることのなかった人類とターミネーターの戦いが描かれる。
コンピュータ”スカイネット”が引き起こした核戦争”審判の日”から数年後。
滅亡の危機に瀕した人類は反乱軍として、ターミネーターと壮絶な戦いを
繰り広げていた。ジョン・コナー(クリスチャン・ベイル)の活躍で、
ターミネーターの秘密を手に入れた反乱軍は、スカイネットへの総攻撃を計画。
一方、スカイネットは人類側の重要人物暗殺を企んでいた。
そのターゲットは、人類の救世主と預言されたジョン。
そして、本人は知らないが、過去に飛んでジョンの母を救い、
同時に父親になるカイル・リース(アントン・イェルチン)。
やがて、カイルの前にマーカス(ワム・ワーシントン)と名乗る男が現れる…。
追いつ追われつのアクション・サスペンスだったこれまでとは異なり、
人間と機械の戦いを重厚なタッチで描いた”戦争映画”。
SFXの迫力は申し分ないが、単なる娯楽映画には終わらない。
人間と、自分を人間だと思い込むターミネーターを対比させることで、
“人間らしさとは何か”という哲学的なテーマを盛り込んだ意欲作に仕上がっている。
骨太なドラマを取り入れたことで、これまでとは一味違う厚みが加わった。
監督が、世紀のオバカ映画「チャーリーズ・エンジェル」のマックGということで、
ターミネーターがビーチでサーフィンを始めるのではないかと、一抹の不安(?)も
あったが、予想に反する重厚な仕上がりに一安心。一部、説明不足や”?”となる
部分があるものの、迫力で押し切ってしまうところはご愛嬌。
一新されたキャストも見どころ。
主役のジョン・コナーを演じるのは、「ダークナイト」のクリスチャン・ベイル。
これまで、エドワード・ファーロングやニック・スタールが演じてきたが、
繊細な印象が強かった。それに対して、ベイル版ジョン・コナーは力強さに溢れ、
将来のリーダーとして成長した姿を見せる。大きくイメチェンしたジョン・コナーだが、
「ニューワールド」や「アイム・ノット・ゼア」といった人間ドラマでも活躍する
クリスチャン・ベイルは、人物描写重視の本作にピッタリ。物語のキーパーソン、
カイル・リース役のアントン・イェルチンは、現在公開中の「スター・トレック」にも出演。
二作品で180度違った役柄を演じており、その演技の幅に驚かされる。
人型ターミネーターを演じるサム・ワーシントンも、自分の運命を知らない
マシーンという複雑な役柄を人間味溢れる芝居で好演している。
本作をスタートに、新たな三部作が予定されているとのことで、
今後は前3作につながるエピソードが描かれることが予想される。
その意味では、主要人物たちが出会う本作は、今後のシリーズへの導入部として
見逃せない作品だ。
映画「ターミネーター4」
公式サイト:http://www.sonypictures.jp/movies/terminatorsalvation/
どこで誰が、未来を変えたのか?
2009年6月13日(土)より丸の内ピカデリー他全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
【映画ライター】イノウエケンイチ
タグ: ターミネーター4