犯人は人間なのか― ★★★
[原題] The Flock
[07/米] 1h45 8月4日 スバル座ほか全国ロードショー!
[監督] アンドリュー・ラウ
[製作] アンドリュー・ラウ、フィリップ・マルチネス、エリー・サマハ、ジェネット・カーン、アダム・リッチマン
[脚本] クレイグ・ミッチェル、ハンス・バウアー
[撮影] エンリケ・チェディアク
[音楽] ガイ・ファーレイ
[美術] レスター・コーエン
[衣装] デボラ・エヴァートン
[出演] リチャード・ギア、クレア・デインズ、ケイディー・ストリックランド、アヴリル・ラヴィーン、レイ・ワイズ、ラッセル・サムズ、マット・シュルツェ、クリスティーナ・シスコ、ドウェイン・バーンズ、エド・アッカーマン、フレンチ・スチュワート
[配給] ムービーアイ
[宣伝] フリーマン・オフィス
オフィシャルサイト:http://www.kieta.jp/
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香港出身のアンドリュー・ラウ監督、ハリウッド進出第一作目となる本作。
アンドリュー・ラウ監督作品は日本ではお馴染みの作品が数多く知られている。最近では「インファナル・アフェア」三部作や金城武主演「傷だらけの男たち」など香港映画界では無くてはならない存在である。
そのアンドリュー・ラウ監督がハリウッドで創り上げた作品は、アメリカ全土を脅かす性犯罪を犯した者たちとそれを管理する州の監察官との人間サスペンスである。
18年間、性犯罪登録者を観察する公共安全局に勤めてきたエロル(リチャード・ギア)は数週間後に退職をする。その後任としてアリスン(クレア・デインズ)がエロルの指導を受けることとなる。
そんな矢先、女子大生の失踪事件が発生。刑事ではないエロルが出来ることは、自分の管轄地域の性犯罪登録者を訪ね、様子を伺いに行くことだけだ。
全ての性犯罪者を見る時のエロルの鋭い視線の先には必ず、その犯罪者の犯した罪を重ねている。一度、性犯罪を犯した者が二度、三度と同じ過ちを繰り返すに違いないと踏んでいるからだ。
もちろん、すべての性犯罪者が再犯するというわけじゃない。ちゃんと更生し平和に社会生活を送っている人間もいる。
だが彼らは出所した後、性犯罪者という烙印を押されインターネット上で全て公開されることになる。
そこで性犯罪者たちも独自に情報収集し同じ登録者と群れるのである。一般社会への公開が性犯罪者にも公開されているというネットの落とし穴。
これが、女子大生失踪事件に大きく関係してくるのは間違いない。果たしてエロルとアリスンの辿りつく驚愕の真実に観客は耐えられるだろうか。
因みにR-15というのも、うなづけるが…あまり気分の良い題材ではないし、恐ろしすぎてたまらない。
アメリカでは2分に一人、性犯罪が起きているというから、とんでもない事態である。こんな事態を抱えたアメリカでの性犯罪者とそれを見張る公共安全局の職員のあまりにも過酷な問題の直視は現実問題として耐え難い。
因みに、この映画で女優デビューした歌手のアヴリル・ラヴィーンは、出演している時間が異様に短い。
謎の女性と描かれてはいるが、皮肉にも本当に謎を抱えている女性と化している。
(佐藤まゆみ)