リトル・チルドレン

大人になれない大人達 ★★★★★
[原題] Little Children

[06/米] 2h17 7月28日 Bunkamuraル・シネマ、シャンテ シネ他全国ロードショー!
[監督] トッド・フィールド
[製作] トッド・フィールド、アルバート・バーガー、ロン・イェルザ
[脚本] トッド・フィールド、トム・ペロッタ
[原作] トム・ペロッタ
[撮影] アントニオ・カルヴァッシュ
[音楽] トーマス・ニューマン
[衣装] メリッサ・エコノミー
[美術] デイヴィッド・グロップマン
[出演] ケイト・ウィンスレット、パトリック・ウィルソン、ジェニファー・コネリー、ジャッキー・アール・ヘイリー
 ノア・エメリッヒ、グレッグ・エデルマン、フィリス・サマーヴィル、ジェーン・アダムズ、レイモンド・J・バリー、タイ・シンプキンス、ルーシー・ピアース
[配給] ムービーアイ

オフィシャルサイト:http://www.little-children.net/
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 今年のアカデミー賞で主演女優賞をノミネートされたケイト・ウィンスレット。
惜しくも受賞は逃したが三部門でのノミネートとなり、たくさんの映画賞でもノミネートされた話題作である。

 アメリカ・ボストン郊外に引っ越してきた主婦サラ(ケイト・ウィンスレット)は三歳の娘と公園デビューも果たし、ご近所に住む主婦たちのたわいも無い会話に孤独感を覚える。
幼い子供連れの主婦たちは家庭での愚痴、変化の無い毎日を公園でお喋りをしながら送る。
そんな輪の中に溶け込めないサラは、主婦の一定の価値観に違和感を覚えながらも適当にあしらう。
郊外に住む主婦たちは、こんなものなんだろうかとも諦めにも似た距離感を知る。
そんなある日、昼間の公園に若い父親が幼い息子を公園に連れてやって来る。
主婦たちの視線はそこへ集まるが、近づこうとはしない。適当な妄想で現実を紛らわすには、それが一番正しいらしい。
だが、サラは気兼ねなく若い父親ブラッド(パトリック・ウィルソン)に話しかける。
幸い、サラの娘ルーシーとブラッドの息子アーロンも仲良くなり、自然と親同士が良き友人として話をする機会が増えるのである。
プールでサラは娘を連れ、ブラッドも息子を連れて泳ぎに来る。そんな昼間の友人関係が夏の間、続く。
この出会いがサラとブラッドには未来への変化となるのである。
そんな中、公然わいせつ罪で2年服役した男ロニーが仮釈放されたことで平和な街は騒然とする。
ロニーがどんな男で母親はどんな人間なのか…そしてサラとブラッドの一線を画していた矢先に互いの家庭問題が浮き彫りとなる…。
 誰もが日常のありきたりの自分に変化を欲している。そしてその平凡な日常を自ら疑問と感じ、幸せ探しに乗じてしまう問題に自分を重ねていく。
たとえば、ケイト・ウィンスレット演じる主婦サラは、仕事が忙しい夫の秘密を知り、愕然とする。
一方、主夫ブラッドは司法試験に三度目の挑戦を控えながら妻からの期待をプレッシャーとして感じ、子育てに追われる日々。
主夫という観点から全てを妻の管理下に置かれてしまう状況になっている。大人になった大人たちが本当に欲しかったのは、何だったのだろう?
 現実から眼を背け、問題を問題として向き合わずにいる大人になれない大人たちの姿は子供達にどのように映るのだろう。
何気ない普段の毎日に幸せを追い求める大人達の満たされない心にふと疑問をぶつけたくなるような作品である。(佐藤まゆみ)


カテゴリー: アメリカ | 映画レビュー

2007年7月28日 by p-movie.com