生きたいとはじめて思えた瞬間 ★★★★
[原題] Maundy Thursday
[06/韓] 2h4 7月14日 シネカノン有楽町、渋谷シネ・アミューズほかにて全国ロードショー!
[監督] ソン・ヘソン
[製作] キム・サングン
[脚本] ジャン・ミンソク
[撮影] カン・スンギ
[音楽] イ・ジェジン
[原作] コン・ジョン(蓮池薫訳・新潮社刊)
[出演] カン・ドンウォン、イ・ナヨン、ユン・ヨジョン、カン・シンイル、ジョン・ヨンスク
[配給] デスペラード
[宣伝] デスペラード
オフィシャルサイト:http://www.shiawasenajikan.jp/
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死刑囚と心に深い傷を持つ女性のひと時を描いた韓国映画「私たちの幸せな時間」。
人を殺したユンス(カン・ドンウォン)は死刑囚。生きる希望も無ければ明日さえ来るか解からない。
一方、過去に対して深い傷を持ち自殺願望の女性、元歌手のユジョン(イ・ナヨン)。
出会うはずの無かった二人は、ユジョンの三度目の自殺未遂により、叔母に刑務所へ連れて来られたことで始まる。
殺人という罪を背負い死刑囚として生きるユンスは、神父様にもシスターにも心を開かず、ただ死刑だけを待つ日々を送る。
ユジョンは、裕福な家庭で育ちながらも仕事に力も入らず、死にたいという気持ちだけが毎日を支配する。
こんな二人の出会いはトゲトゲしく、相手のことを思わぬ言葉で互いに傷つけあう。世界中を憎悪で見つめる死刑囚ユンスの目の前に現われたユジョンですら、朝が来ると苛つき自分を絶望の淵へと突き落とす。
そんな二人が毎週、木曜日に面会する中で次第に明らかになる過去と経緯。
その過程で幾度となく愕然とする真実にぶつかる。生きていく過程の中で歳だけが増え、背負った傷は決して癒える事が無く過ごしてきたふたり。
“明日かもしれない”死刑執行を抱えながらも、ユジョンに心の内を話すユンスは「生きたい」と願う。
過去の傷を話し、ずっと毎週木曜日にユンスと話がしたいと生きる希望を見出すユジョン。だが時は迫っていた…。
現実的な話では無いかも知れない。こうであったら、いいのに… と思いたくもなるストーリーだが、
気持ちだけはしっかりと受け止め、生きる意味を問わせてくれる。
罪を背負った人間と、傷を抱えた人間の交差点は交じり合うことなど容易じゃない。
だが心の中で、本心のどこかで二人の言葉に共感し一緒に考えたいと思うに違いない。
人間の本質を根本から悩ませてくれる作品である。
(佐藤まゆみ)