愛が辿りつく時間 ★★★★
[原題] Time
[06/韓・日] 1h38 3月10日 渋谷・ユーロスペースにてロードショー!
[監督] キム・ギドク
[製作] キム・ギドク
[脚本] キム・ギドク
[撮影] ソン・ジョンム
[音楽] ノ・ヒョンウ
[美術] チェ・グヌ
[衣装] イ・ダヨン
[出演] ソン・ヒョナ、ハ・ジョンウ、パク・チヨン、キム・ソンミン、キム・ジヒュン、キム・ボナ
[配給] ハピネット
[宣伝] ムヴィオラ
オフィシャルサイト:http://zettai-love.com/
(C)2006 KIM Ki-duk Film. All rights reserved.
鬼才キム・ギドク監督最新作。韓国では去年の夏に公開されたが、公開直前にキム・ギドク監督は“韓国映画界引退”表明をしている。
だが彼が本作公開後も新たな作品を手がけている事を知り安心したのは私だけでは無いだろう。
今回も相変わらず、グサグサと痛みを突き刺してくれるから何とも言いがたい刺激である。
互いに愛し合い二年の月日が経ったカップル、セヒ(パク・チヨン)とジウ(ハ・ジョンヌ)。だがセヒには常に不安が付きまとっていた。
彼氏ジウが自分に飽きて来たのではないかと嫉妬してばかりなのだ。ジウが少しでも別の女性を見ているだけで怒りをぶつけてしまうセヒ。
時間が経てば経つほどジウが自分の顔、身体に飽きてくると疑って仕方の無いセヒだった。そんなセヒは突如ジウの前から姿を消す。
住まいも携帯も変えて音信不通になる。セヒは今後のジウとのことを悩んだ挙句、整形という手段に踏み切る。
姿を消したセヒを捜しまくるジウ。悪友たちから合コンに誘われても常にセヒのことが忘れられないでいた。
半年後、セヒと通った喫茶店で魅力的なウエイトレスと出会う。彼女の名前はセヒの名前と似ているスェヒ(ソン・ヒョナ)だった。
ジウは次第にスェヒに惹かれていく…。
彼が自分に飽きていると感じてしまった女性が、彼の愛を出会った頃の新鮮な時間に戻す為、整形し別人となって姿を現す。
その整形した別人の女性が元彼女だとは知らずに彼は愛し始める。だが彼自身は元彼女セヒを忘れられずにいる。
この事実を目の当たりにしている彼女セヒの思いは、整形した女性が自分だとは言い出せずに苦しむ。
彼はセヒを今でも愛してるし、整形し別人の女性も好きだと感じる。もちろん彼の愛を手に入れたことは間違いなくとも、真実を話せずにいるセヒの心は押し潰されそうになる。女性として観ているだけで切なく、狂おしいまでの彼に対する愛情で気が変になりそうだ。
この真実を知ることになる彼ジウはショックで言葉にならない。
だが、ジウが考え抜いた驚愕の行動は誰にも予測できない結末を迎え、衝撃的だ。女性として、男性としてどう受け容れれば良いのか解からず苦しい想いが後を曳く。
(佐藤まゆみ)