なかなか捕まらない彼女との切ない物語 ★★★
[原題] Love Phobia
[05/韓] 1h57 12月16日 シネマート六本木、シネマート新宿 ほかにてロードショー!
[監督] カン・ジウン
[製作] チョン・スンヘ
[脚本] ファン・イノ
[撮影] キム・ヨンフン
[音楽] パク・ギホン
[美術] キム・ヒョシン
[出演] チョ・スンウ、カン・ヘギョ
[配給] エスピーオー
[宣伝] アステア
オフィシャルサイト:http://www.cinemart.co.jp/tokage/
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とかげのように捕まえようとしてもなかなか捕まえられない初恋の人を思い続け、同時に切ない想いを抱える長い時間を越えてのラブストーリー。
8歳の時に転校生がやってきた。名前はイ・アリ(カン・ヘジョン)。
雨の日でもないのに黄色いレインコートに身を包み、とかげをポケットに入れている不思議な女の子。
彼女がレインコートを常に着ているのは、自分が呪われた子だからと言う。自分に触れば呪いが移るからと…。
だが席が隣になった男の子ジョガンはそんな変わったアリに夢中になる。
アリの話す言葉を全部信じて二人だけの秘密を持ったりして楽しんでいた。だがジョガンの家は引越ししてしまい、アリとは会わず別れてしまう。そして10年後、突然アリがジョガンに連絡を取ってくる。
以前と同じお寺で暮らしてるから一緒に勉強をしようと。10年ぶりに再会しても子供の頃と同様にジョガンはアリの不思議な話しに夢中になる。互いの気持ちが同じだと確認した後、ジョガンとアリは急接近する。
翌日、ジョガンは発病。アリは前回と同じように責任を感じ、姿を消す。そして8年後、銀行員となったジョガンの働く銀行に突然現われたアリ。だがアリは翌日、NASAに呼ばれアメリカへ旅立つと言い出す。何度も姿を突然消し、そして突然現われるアリ…。
アリの言う言葉が大人になったジョガンには信じられなくなっていた…。
そしてアリのついた嘘の裏にはすべて悲しい真実が詰まっていたのである。
子供のときに恋をした相手をずっと何年も想っていられるものだろうか。そんな純粋な話など滅多に無いのも現実だが、あり得ないことじゃない。
8歳の頃から恋した女の子が幾度も姿を消そうとも、想いは消えない主人公の純粋さに女性としては感激する。
そして不思議な少女アリが数度、姿を消し、何年か経ってから突如と現われる素朴なシーンは優しい風が吹くかのようにその場をパァーっと明るくさせる。
カン・ヘジョンは、現在公開中の「トンマッコルへようこそ」で素朴で不思議な少女を演じているが、本作でもその面が見られるし、本気で恋をする女性の切ない想いをありのまま演じている。その表情は女性として痛々しくもあり、共感し自分と重ねてしまうに違いない。
ただ、真実のアリの驚愕の事実だけは観ている側も切なさでいっぱいになり胸が詰まる。
(佐藤まゆみ)