過去のない男

未来にこそ存在する自分の場所 ★★★★☆
[02/フィンランド]1h37 3月15日より恵比寿ガーデンシネマほか全国順次ロードショー

[製作]アキ・カウリスマキ
[監督]アキ・カウリスマキ
[脚本]アキ・カウリスマキ
[出演]カティ・オウティネン マルッキィ・ペルトラ
[配給]ユーロスペース
[宣伝]ユーロスペース

[カウリスマス的幸福感動:mies vailla menneisyytta]
2002年カンヌ国際映画祭でグランプリ(パルムドールは「戦場のピアニスト」)、そして主演女優賞の二冠を受賞したアキ・カウリスマキ監督の至福の映画。出演は、カウリスマキ常連で主演女優賞に輝いたカティ・オウティネン、「浮き雲」「白い花びら」に脇役で出演していたマルッキィ・ペルトラ。

夜行列車でヘルシンキに辿り着いたひとりの男。しかし彼は暴漢に襲われ重傷を負い、過去の記憶を全て失ってしまう。港湾のコンテナに住む一家に助けられた男は、使われてないコンテナで暮らし始め、救世軍で働くイルマと出会った。それは男にとって暖かで満ち足りた時間だった。やっと仕事が見つかった男は銀行口座を開きに行くが、銀行強盗と出会い金庫に閉じ込められてしまう。名前も分からぬ男が銀行強盗に関与か?という記事が新聞に載り、男の身元が分かった。連絡をしてきたのは、男の妻だった。

過去を失い、過去を取り戻し、過去を手放す男の再生と希望をカウリスマキ独特のユーモアで描く楽しい作品。いつもカウリスマキ作品はセリフが少なく、前作ではモノクロのサイレントだったが、今回はセリフも多くカラフルで見事な方向転換。男が日本酒で寿司を食べるシーンが登場し、バックにクレイジーケンバンドの曲が流れるのだが、これは日本大好きな監督らしい粋な計らい。

オフィシャルサイト: http://www.eurospace.co.jp/kako/


カテゴリー: ヨーロッパ | 映画レビュー

2003年3月14日 by p-movie.com