チェコから届いた珠玉の感動作 ★★★★☆
[00/チェコ]2h03 6月29日より岩波ホールにてロードショー
製作:オンドジェイ・トロヤン
監督:ヤン・フジェベイク
原作:ペトル・ヤルホフスキー(集英社刊)
脚本:ペトル・ヤルホフスキー
出演:ボレスラフ・ポリーフカ アンナ・シィシェコヴァー ヤロスラフ・ドゥシニク チョンゴル・カッシャイ
配給:大映株式会社
宣伝:大映(株)宣伝部
[やさしく慈しむ感動作:MUSIME SI POMAHAT(私たちは共に助けあわねば)]
チェコからやって来た戦争という冬の時代に懸命に生きる人々の姿を柔らかな眼差しでとらえた珠玉の感動作。チェコ国内の主要な映画賞をすべて独占して大ヒットを記録。作品の評判はヨーロッパ中に拡がり、アメリカではアカデミー賞最優秀外国語映画賞にノミネートされた。出演者はチェコとスロバキアのベテラン俳優が結集し、ボレスラフ・ポリープカはチェコのコメディアン、アンナ・シィシェコヴァーはスロバキアの劇場出身、ヤロスラフ・ドウシェクは即興の名人として知られ、チェコ映画の脇役に欠かせない存在、チョンゴル・カッシャイは、スロバキア出身の俳優。またチェコ映画の伝説的俳優であり、数々の賞を受賞しているシモナ・スタショヴァーとイジー・ペハ、イジー・コデットが脇をかためている。監督のヤン・フジェベイクは発表した3本の長編劇映画全てが権威あるチェコ・ライオン賞を受賞した、世界の注目する新鋭。
第二次世界大戦下、戦場から遠く離れたチェコの小さな町にもナチスの影が忍び寄る。ある日、子宝に恵まれない夫婦ヨゼフとマリエは、収容所から逃げてきたユダヤ人青年ダヴィトを匿うことになる。ダヴィトはヨゼフのかつての上司の息子だった。この家に出入りするナチスシンパのホルストは、マリエに横恋慕していた。ホルストは隠し事をしているような夫婦の様子に疑いを持ち始める。ホルストは夫婦を試すかのように部屋を貸して欲しい人を寄越した。そこでマリエは、自分が妊娠していて生まれる子供のために部屋は空いていないと嘘をつく。ホルストは夫婦に子供が出来ないのは、ヨゼフに原因があることをうすうす感づいていた。崖淵に立たされたヨゼフは絶望の末にある策を考える。そして、ダヴィトに頼みマリエを本当に妊娠させようというのだ。嫌がる二人を説き伏せるヨゼフ。マリエとダヴィトは生き延びるためにこの運命を受け入れなければならなかった。だがマリエが臨月を迎えた頃、ナチスの勢力が弱まってしまう。突然産気づいたマリエに、慌てたヨゼフは医者を求めて町をさまよう。そこでホルストが捕らえられているのを偶然見つけたヨゼフは、彼を妻の主治医だと偽り、助け出そうとするのだが・・・。
チェコがナチス支配から解放されるまでの厳しい歳月、人々が生き抜いてゆく姿を描いた作品。思いテーマになりがちな題材だが、笑いと涙をまじえて敵と味方を隔てることなく、可笑しくて哀しくもある人間の行いをやさしく慈しむ。特に物語佳境での畳み掛けるストーリー展開には大笑い。役名のヨゼフとマリエは、イエス誕生のヨセフとマリアで、ダヴィトはダビデと聖書から付けられている。
オフィシャルサイト: http://www.daiei.tokuma.com/kono-suba/