テヘラン 悪ガキ日記

世界のこども映画祭でグランプリ獲得 ★★★★☆
[98/イラン] 1h30 4月14日よりキネカ大森にてロードショー

監督・脚本:カマル・タブリーズィ
出演:ファテメー・モタメド=アリア ホセイン・ソレイマニー ゴルシード・エグバリ
配給:パンドラ
宣伝:パンドラ

世界のこども映画祭でグランプリ獲得している、これまでに評判になった子供が主役の作品とは一味違ったイラン映画。監督は96年に福岡アジアフォーカス映画祭で「夢がほんとに」が上映されてるカマル・タブリーズィ。出演はイラン映画界のトップスターで同じく福岡の映画祭で「これを最後に」が上映されたファテメー・モタメド=アリア、主人公の少年役のホセイン・ソレイマニーは実際に少年院に居たところを監督の目に止まり3ヶ月分の保釈金を払って出演した。その後、奨学金が貰えるほどの優秀な学生をしているとか。

少年院に居るメヘディは、いまだに母親の死を受け入れられず新聞の切抜きの女性を母親だと思って日々を送っていた。ある日、少年院に新しいソーシャルワーカーの先生がやって来る。メヘディは彼女を母ちゃんにする事に決めて少年院を脱走。どうにか家族にして貰おうと先生の家にやって来た。戸惑う先生だが情にほされて一晩だけ泊める事に、先生の娘とも早くも兄妹のように仲良くなってしまった。次の日に、先生は彼を少年院に帰そうとするがメヘディは逃げてしまい、タバコや新聞を売りながらお金を稼いでは先生の家の前で待つという日々が続く。実は先生の夫はメヘディのような浮浪者に殺されていたのだった。ある日、先生の娘から母の日のプレゼントを渡す事を聞いたメヘディは、寄り道をして二人でプレゼントを買いに行く事にする。そうとは知らない先生は娘が帰ってこずに泣きながら探していた。そこへ仲良く手をつないで帰って来る二人。その夜、先生はメヘディを家に招きいれて彼が寝込んでいる隙に補導員を呼んでしまう。「アニキが連れてかれちゃうよ!」と泣きながら叫ぶ娘と補導員に連れてかれるメヘディに先生は背を向けるのだが・・・・・。

今までの子供が主役のイラン映画は、いかにも素人の子供を使ってますよというような、セリフも少なくドキュメンタリータッチのものだったが、この作品の少年は、プロの子役のようにちゃんと演技してるし、セリフも喋るは喋るはで凄く上手い。少年院にいただけあり、口の悪さ(この字幕の付け方はなかなか笑える)や態度のでかさなど貫禄ありで、充分普通の映画として成立しています。「運動靴と赤い金魚」以来のイラン映画久々のお勧め作品です。


カテゴリー: アジア | 映画レビュー

2001年4月16日 by p-movie.com