ツバル

不思議な夢の国へようこそ ★★★★★
[99/独] 1h32 2月17日よりイメージフォーラムにて公開

監督:ファイト・ヘルマー
製作:ファイト・ヘルマー
脚本:ミヒャエラ・ベック ファイト・ヘルマー
出演:ドニー・ラヴァン チュルパン・ハマートヴァ フィリップ・クレー
   E.J.カラハン
配給:アルシネテラン
宣伝:アルシネテラン

ツバルとは南太平洋の南北に並ぶ9環礁からなる諸島で、大きさは八丈島の約3分の1。でも、そんな事はこの際関係ない。知って欲しいのは、この作品が字幕が全くなく、モノクロで撮影したフィルムに後からカラーで色付けした不思議ファンタジーであるという事。世界中の人が理解できる言語にするために、おおげさなジェスチャーを交えた英語や仏語など幾つかの言語を組み合わせて大人が楽しめる娯楽作品になっている。

出演は、「ポンヌフの恋人」ほかレオス・カラックスの常連のドニー・ラヴァンと「ルナ・パパ」のチュルパン・ハマートヴァ。ほか「葡萄酒色の人生 ロートレック」のフィリップ・クレー、「コンゴ」のE.Jカラハン。そして監督は彗星のごとく登場したファイト・ヘルマーで、これが初長編作品で世界中の映画祭にて数々の賞を獲っている。

舞台は荒果てた古い室内プール。プールのオーナーで盲目の父親の手伝いをしている息子のアントンは受付のマルタと一緒に父親にプールが繁盛していると信じ込ませて暮らしていた。ある日プールに若い娘のエヴァが来る。若い女性を見たことのなかったアントンはすぐに彼女に惚れてしまった。一方、アントンの兄グレーゴルは土地の再開発プロジェクトを企ててプールの取り壊しを考えていた。父親に断られたグレゴールは天上から石を投げ込んだ。石はエヴァの父親に命中して帰らぬ人に。事故現場の検証の結果、プールの管理状態が次の検査迄に改善されない限り営業停止になってしまう。アントンは寝床がなく訪ねてくるホームレスと作戦を練り始める。エヴァは父親の残した船で航海の旅に出ることにするが、船はピストンがないと動かない。島にはピストンの予備がなく、唯一あるのはプールの温水を出すための機械に付いてるものだけ。エヴァはピストンを盗みにプールへ行く。プールでは検査が行われていて、そこでエヴァは再び石を落とそうとしているグレゴールを発見する。

普段は字幕に目をとられて見落としがちな映像に集中出来て、この摩訶不思議な映像やコミカルな演技を思う存分楽しめた。奇妙な登場人物たちや受付女性のボタン収集やプールを支える巨大なボイラーと監督の演出も面白い。そして忘れちゃいけないのが、チュルパンがプールに全裸で入り、金魚と戯れる美しい映像。「ルナ・パパ」を見て、彼女のことがになった人は見逃せないぞ。


カテゴリー: ヨーロッパ | 映画レビュー

2001年2月26日 by p-movie.com