不思議の国のファンタジー ★★★★☆
[99/独・オーストリア・日本] 1h47 7月29日よりシネスイッチ銀座にてロードショー
監督:バフティヤル・フドイナザーロフ
出演:チュルパン・ハマートヴァ モーリッツ・ブライトプトロイ アト・ムハメドシャノフ
配給・宣伝:ユーロスペース
「少年、機関車に乗る」や「コシュ・バ・コシュ~恋はロープウェイに乗って」のバフティヤル・フドイナザーロフ監督の中央アジアのタジキスタンを舞台にしたドタバタ・ファンタジー作品。昨年の東京国際映画祭芸術貢献賞受賞している。出演はロシアで活躍している女優チュルパン・ハマードヴァ、兄に「ラン・ローラ・ラン」のローラの恋人役モーリッツ・ブライプトロイ、父にタジキスタンの映画俳優アト・ムハメドシャノムと国際色豊かな組見合わせ。
中央アジア・タジキスタンの小さな村、ファル・フォール。土埃が舞い上がり、流れ弾であっけなく人が死んでしまう村に女優を夢見るマムラカット(チュルパン)は戦争で頭のおかしくなった兄(モーリッツ)と厳格な父(アト)と3人で暮らしていた。村にシェークスピア劇が来るのを楽しみにしていたマムラカットだったが、父と一緒に兎を売りに行く途中で戦車に乗る偵察隊の兵士の慰問に捕まり、戻るのが遅くなって劇を見損ねてしまう。がっかりした彼女は月明かりの森の中へ引き込まれて、役者を名乗る男と出会う。そして不思議の国のアリスが穴に落ちていくように、顔もよく分からない旅役者の一員と崖から滑りながら結ばれるのだった(このシーンはなかなか印象的)。お腹に子供を宿したマムラカットは父親に告白するが、激怒した父は責任をとらせるために名前も分からない相手の男を探すことに。かくして一家3人の父親探しが始まった。
このあともエピソードはひっきりなしに続くのだが、これは見てのお楽しみ。特にラストのオチには誰もが驚くだろう。スクリーンからみなぎるパワーがファンタジックな物語を盛り上げていて「黒猫・白猫」のようなドタバタハチャメチャ映画の好きな人は見逃せない作品。