無実の天才ボクサーの奇跡の実話映画 ★★★★☆
[99/米] 2h25 6月24日より日比谷映画劇場ほか全国東宝洋画系にてロードショー
原作:ルービン”ハリケーン”カーター
監督:ノーマン・ジュイソン
出演:デンゼル・ワシントン ヴィセラス・レオン・シャノン デボラ・カーラ・アンガー
共同配給:ギャガ・ヒューマックス/東宝東和
宣伝:レオ・エンタープライズ
ミドル級ボクシングチャンピオンのルービン・”ハリケーン”・カーターに起こった冤罪事件をデンゼル・ワシントンが演じた奇跡の実話映画。監督は36年に及ぶ監督生活の中で45部門のオスカー候補になる傑作を生んできたノーマン・ジュイソン。本作でもデンゼルが主演男優賞にノミネートされている。共演は「飛べないアヒル2」のヴィセラス・レオン・シャノン、「クラッシュ」「ゲーム」のデボラ・カーラ・アンガー、「スライディング・ドア」「ハムナプトラ」のジョン・ハンナ、「ファントム」「スクリーム」シリーズのリーヴ・シュレイバー。
稲妻パンチといわれた素早いパンチでハリケーンと呼ばれていたボクサーのルービン・カーター(デンゼル)は、1963年にはウェルター級のチャンピオンになった。しかし、その3年後に彼は、たまたま通りかかった殺人事件現場で容疑者として逮捕され、人種偏見を持った刑事の息のかかった裁判により有罪判決を受け終身刑を宣告されてしまう。自分は無実だからだと囚人服の着用を拒み自伝の執筆を続け、74年に「16R」を出版。自伝は大きな反響を呼び、ボブ・ディランやモハメッド・アリにより釈放運動が起こるが、再審で再度有罪判決を受けてしまう。カーターは妻とも離婚をして自分と社会の繋がりを完全に断ち切ってしまう。それから数十年が経ち、誰の記憶からもハリケーンの名が忘れられた頃に古本市でレズラ(レオン)という黒人の少年が、「16R」を買い、感動を受けカーターに手紙を送ると驚いたことに返事が戻ってきた。こうして始まった二人の文通。そしてレズラの保護者であるリサ(デボラ・カーラ・アンガー)、テリー(ジョン・ハンナ)、サム(リーヴ・シュレイダー)も力になり再び再審請求に動き出す。そして30年目にして連邦裁判所というリングでラスト・ラウンドが始まった。
無罪確定から10年が過ぎてからの映画化だったが、この事件を全く知らなかったので素直にストーリーに入り込めた。映画は無実の黒人VS人種差別の白人刑事と、生い立ちに多くの共通点のあったカーターとルービン少年とのやりとりがメインになっているので、後半の再審の描き方に物足りなさを感じるかもしれない。これはどうやらルービン少年と同じ世代に見てもらおうという配慮のようである。でも 45歳にしてボクサー体型になり挑んだデンゼルのボクシングシーンは凄いし、ラストは充分に感動に浸れる。